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140. 火種

もうすぐ完結です。

最後まで読んでいただけるとうれしいです。

 アンドレとリリアナは三日後には普通に食事がとれ、生活できるほどになった。

 四人で囲む久しぶりの夕食にアンジェラも安心した様子だ。

 子供たちは目の届くところに置いたゆりかごで、眠っている。

「それで、一体何があったんだ?」

 アンジェラがアンドレに聞いた。

「はい、ユートレアの南側に隣接している国から、国の祭典の招待状が来たんです。

 国賓扱いで、王太子である私と王太子妃であるリリアナを指名され、王の指示の元出席したのですが…。そこには他の招待客などおらず、勧められるままに飲み物を飲んだ後、記憶が無くなり。気が付けば、リリアナは完全に眠らされたまま十字架に張り付けられ、薬剤注入用の首輪を嵌められ、痛みのためか翼が出た状態でした。私は鞭打たれ、痛みで目を覚ましたのですが、体が痺れて動けず、もがいているうちに翼が出てしまい。

 他に何人天使がいるかを吐けと剣で体を斬られたのです。」

 リリアナは最初から最後まで眠っていたらしく、何も覚えていないようだ。

「これは、僕の想像の域を出ないんだけどね、あのユートレアの悪魔信仰の本に、天使の血肉を食らえば、永遠の命を得られるという記述があったんだ。

 もしかしたら、それを本当の事だと思って捕まえようとしたんじゃないかって思う。」

 僕がそう言うと、アンドレは納得した顔をした。

「だから傷つけても平気で、他にもいたら捕まえようとしていたんですね。

 たちが悪いのは、リリアナの能力を知っていて、逃げられないように彼女を眠らせていたことです。リリィが来てくれなかったら、どうなっていたことか。」

 確かに、時間を超えて転移できるので、手遅れということはないかもしれないが、最初から死ぬような毒を盛られていたらアウトだったかもしれない。あ、でも食べようとしてるならそんな毒は飲ませないか…。


「とにかく、もう行かない方がいい。今まで、翼を隠したりせずふるまっていたことが、悪い心を持った者に付け入るスキを与えてしまった要因なのだから。」

 アンジェラは冷静に言い、そして続けた。

「他国で、しかもその国の王城や大聖堂でそのようなことをされたのであれば、ユートレアの王や王妃は事実を知らないままでいる可能性もあるな。」

「そうだ、ねぇ、オスカー王と王妃あてに手紙を書こうよ。リリアナの物質だけを転移できる能力があれば、できるさ。そして、返信は王の間の隠し金庫に入れてもらうんだ。毎日一回チェックしに行けば大丈夫だ。」

 そうと決まれば、早い方がいい。アンドレが着ていた血だらけのズタボロの服とリリアナの血まみれで抜けてしまった羽をボックスに入れ、アンドレが王と王妃に手紙を書いた。

『王命で行った隣国の祭典は嘘で、自分たちを捕らえ、食べるために仕組まれた策であった。リリアナが能力に長けていると知っている素振りから、城内にスパイがいるかもしれない。調査の上、対応していただきたい。何か、私たちに伝えたいことがあれば、王の間の隠し金庫に手紙を入れていただきい。命の危険があるため、しばらく訪問は控える。』

 そのように書いた手紙を箱の中に入れ、リリアナが王妃のサロンのテーブルに転移させた。


「ねぇ、話変わるんだけどさ、その物質だけ転移ってどうやってやるの?」

「コピーされてないの?」

「わかんない。」

「んー、やり方と言っても、私にもわからないわ。適当に思い描いたらできるっていう感じだったし…。」

「そっか、じゃあ今度試してみるね。」

 できるだけ能力は増やしておいて、お互い困ったときには助け合いたい。


 食事が終わって後片付けを終えると、リリアナがユートレア城の王の間の隠し金庫の中を見に行き、手紙を持ってきた。

 アンドレが手紙を読み、ため息をついている。

「その国と全面戦争に入るそうです。」

「やるじゃん、オスカー。」

 つい言ってしまった。しかし、そうだねぇ。自分たちが火種となり戦争ってのは嫌だね。もしかしたら家族に害が及ぶかもしれないしね。

 どうしたものか…。まぁ、それは後程考えるとしよう。


 食事が終わって片付けているときに、マリアンジェラが泣き出してしまった。

 僕が一番そばにいたので、駆け付けて抱っこした。

 ぐずってなかなか泣き止まない…。う、ううう…僕はどうもダメだ…つられて泣いてしまう。と思ったその時だ。

 僕とマリアンジェラが眩い光に包まれて、どこかに転移した。



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