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134. ラスボス・復讐へのカウントダウン

 僕は、とてもギリギリのところで自分を抑えていた。

 徠人との約束を守るために、僕も一度閉じ込めた自分を外に出してきたんだ。

 でも、閉じ込めた原因の父様が、また僕を闇に落とそうとしている。


 今回は、それを遮った人がいた。

「ライル、よかった。無事だったんだな。どこで療養してたんだ?もう痛くないのか?

 後遺症はないか?」

 そう言って僕の頭をさすり、抱きしめてくれたのはお爺様だった。

「あ、うん。七か月ぶりに意識が戻ったばかりだから、ちょっとまだ辛い。」

「部屋、片付いてるから、横になっておいで。」

 あ、僕がめちゃくちゃにしたのを片付けてくれたのか…。

「お爺様、ありがとう。」

 僕はアンジェラに支えられ上階の自室に入り、しばらく休んだ。


「リリィ、家に帰ろう。」

 アンジェラが僕に優しく言った。

「でも、まだやることが残ってて、今すぐは帰れない。リリアナ呼んでくれる?」

 僕は色々な説明をする気力がないので、リリアナに記憶を渡し、説明を求める人への対応をお願いした。

「リリアナ、ちょっと言ってほしくない部分もあるけどね。その辺は察して欲しい。」

「誕生日の日のこととか?」

「えっ?」

 アンジェラと僕が赤面してると、アンドレがキョトンとして「何かあったの?」と聞いている。リリアナは相変わらずのクールさでスパっと言った。

「大丈夫よ。言わないから。」

「それだけじゃないけど…。まぁ、よろしくお願いします。」

 僕が言いたくなかったのは、そんなことではなく、過去に行った復讐の事だ。

 僕は三人にドクター・ユーリを五百年前の封印の間に閉じ込めてきたことを伝えた。

「あいつをどうにかしたいけど、どうするべきか、迷ってるんだ。」

 あの男をお婆様を助けた時に殺したりしては、それ以降の未来が変わり、今の自分達や、すでに封印の間に捕らえられている者たちを助けることもできなくなってしまう。

 かと言って許すこともできない。もっと後の全てが終わった時点でのあの男を捕まえなければ…。

「あ、そっか。赤い目で今日、ここに訪問してくるように言えばいいんだ。」

 今、二〇二三年七月二十九日の午後三時か。

「じゃあ、今日の午後五時にここに来るように命令しておく、その前にすべての協力者や拉致している者を解放するようにしよう。」

「うまくいかなかったら、私が北極にその男を置いてきてあげるわ。」

 頼もしいリリアナの言葉に三人で苦笑しながらも、僕は立ち上がった。

 今日は徠人の弔いの日だ。今日で決着をつけたい。


 僕はドクター・ユーリを封印の間に送った直後の時間に合わせて自分も封印の間へ転移した。彼は、ルシフェルの亡骸から距離を取ってそれを眺めていた。

 悪魔信仰の元ともいえるルシフェルだが、その姿は悪魔ではなく美しい天使だ。

 彼がルシフェルに近づこうと動き出した時、僕はそれを遮った。

「おい。お前がドクター・ユーリだな?」

「あんた、さっき墓の所にいた女だな。あんた、誰だ。」

 僕は一切彼の質問には答えずに言った。

「今日、ここを出たら、徠人の墓の前で遭遇したところから封印の間でのことを全て忘れろ。そして、二〇二三年七月二十九日の午後五時ちょうどに、朝霧の家を訪ねて僕に会いに来い。その前にお前の協力者全員を解放し、洗脳を解き、ユートレアと悪魔信仰の記憶をお前も含め全員から消せ。そして、ライラから奪った蛇を解放しろ。いいな。」

 僕の赤い目が炎で揺らぐ、ドクター・ユーリの瞳に赤い輪が浮き出た。

 僕は、その男の首筋に触れ意識を奪い、徠人の墓の前に置いた後で、戻ってきた。


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