表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
127/696

127. 監禁場所

 リリィの魂が入った状態の黒い翼の天使は、次の行動をどうしようか、少し思い悩んでいた。ドクター・ユーリ=由里拓斗だとしても、実際に話したり、触ったりしていない者の居場所を特定することは難しい。ユートレア城の窓越しに横顔をチラッと見ただけで、顔もちゃんとわからないのだ…。

 彼はまた封印の間に来ていた。静かなこの場所で考えたかったからだ。

 自分の体の前に近づき顔を近づける。

 毒リンゴを食べた白雪姫みたいだな。王子様のキスでは目が覚めなかったが…。

 思わず頬を触ってしまった。リリィの両目が大きく開き、大粒の涙がこぼれる。

 まただ、これは何を意味しているのだろう…。

 以前、ルシフェルの目からも大粒の涙がこぼれ落ち、白い石になった。

 今回、リリィの涙は、青い小さな石になって足元に転がった。

 これを触ると、また涙が止まらなくなって、女神像のある鍾乳洞のようなところに飛ぶのかな?白い石の時はあの部屋が明るくなっただけだったが、また何か違うことが起きるのか…。


 いやいや、そんなことをしに来たのではない…。考えにきたのだ。

 玉座の隣の妃の座に腰かけ、あれこれ考える…。

 足元に、赤い石が転がっている…。違う色の涙石…。そんなこともあるのか…。

 いや、いかん、いかん。これに触っては面倒なことになる。

 ちょっと待てよ…色によって何か変わるのか?とりあえずスマホで写真を撮っておいて後から確認してみよう。


 うーむ。そういえば、以前誘拐の実行犯を逮捕したときに、アメリカの宗教団体が運営する研究所で六年働いていたと言っていたな…。数日前に行った研究施設の外に出なかったため、場所はわからないまま帰ってきてしまったが、場所を知ることで、何かヒントが得られるのではないか?

 それだと、今すぐにでも確認が可能だ。よし、行ってみよう。


 また、杏子がいた場所に転移した。が…杏子はいなかった。

 この前来たのがバレたのか…。一旦地上に転移し、スマホで場所の確認をする。

 地図アプリで場所を特定し、画面を画像で保存し、アンジェラに送る。

「二日前に杏子がいた場所…っと。」その地上には、普通の教会が建っていた。

 宗教団体が運営する研究所と言っていたが、外側は宗教団体そのもの。

 で、杏子はどこに行っちゃったんだろう?

 杏子の現在地に転移を試みる。

 おや?転移の能力が発動しない…。この二日の間に消されてしまったのか…。

 あるいは、別の時間に飛ばされてしまったか…。

 やはり、ドクター・ユーリは転移の能力が使えるのか?

 謎が多い。

 その場所の現在地を調べた後で、もう一度地下三階に当たる杏子がいた空間に転移した。

 牢獄のような部屋のドアも開錠され、ドアが半開きだ。あわててどこかに連れて行ったか…。他の部屋も見てみよう。

 朝霧城の跡地の地下にあった空間によく似ている。監視の部屋がある。

 病室のようなものもある。通路に隠し扉があり、中に魔法陣も確認できた。

 やはり転移されたか…。魔法陣の写真を撮っておく。

 ここにはもう、人はいないようだ。

 地上の教会は、はるか昔に閉鎖されたのか、チェーンで入り口がふさがれており、建物もかなり傷んでいる。


 杏子に話を聞いた時の同時刻に転移するほかないな…。

 その時間の監視の部屋にそっと転移する。

 二日前の僕を映し出している監視カメラを監視している男が見て、どこかに電話をしている。

 電話が終わったと同時に首筋に手を当てその男には寝ていてもらう。

 監視カメラに映る僕の姿が消えた後、他のスタッフ二人が杏子の部屋に走って行った。監視カメラ越しにはっきりと見える。

 何か薬物を注射され、杏子は意識がなくなったようだ。

 杏子を担ぎ、二人のスタッフは魔法陣のある隠し部屋ではなく、別の隠し扉から

 階段をさらに降りて下の階へと進んでいった。

 その下の様子は監視カメラでは監視していないようだ。

 その場所に僕の能力では到達できない空間があるか、消されたかのどちらかだろう。

 僕は監視員が使っているスマホの履歴の番号を写真に撮り、アンジェラに送った。

 一人でさらに奥まで深追いして眠らされたりしてはただでは済まない。

 今日の所は帰るとしよう。


 どうも、この施設に入ると疲労感が増すようだ。

 体が重くなった。家に帰ろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ