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122. 盗賊討伐

 その日の夜遅く、アンジェラとアズラィールはテラスでワインを飲みながら夜空を見ていた。

「五百年前ともなると、星がはっきり見えるもんだね。」

 そう言ったアズラィールにアンジェラは、星が見えにくくなったのはわりと最近じゃないかな?と思ったその時、数キロ先の谷底から、夜空に向かって金色の光が放射状に打ち上げられていく。

「花火、じゃないだろうな?ちょっと見てくるか…。」

 アンジェラがそう言うと、雷が轟き出した。

「嫌な感じだね。」

 そういうアズラィールをアンジェラは翼を出し後ろから抱えるとテラスから飛び出した。

「アンジェラ、た、高い。怖すぎる。」

「目を瞑れ。」

「ひぇ~。」

 あっという間に光の発せられた場所に着いた。地上に降り、その場で光の粒子で出来た矢に撃ち抜かれて地面に串刺しにされている二十数名の盗賊を見つけた。

「これって…。盗賊かな?」

「そのようだな。こんなことをするのは、一人しかいないな…。」

「え、誰かわかるの?」

「あぁ。リリィだよ。」

「ふぇ?リリィは無事なのか?」

「まぁ、これは複雑なんだ。」

 そこへ、アンドレとリリアナも飛んできた。

「ずいぶん、派手にやってますね。騎士団を呼びに行ってきます。」

 そういうと、アンドレは城に戻った。

「アンドレ、あんな普通に飛び回っているのを見られて平気なのか?」

「大丈夫よ。天使と結婚して自分も天使になった王子って国中で認識されてるから。」

 リリアナが感情のこもらない顔で平然と言う。

「で、どこにいるのかな?張本人は…。」

 リリアナがぐるりと周りを見渡すと、崖の向こうの突き出た岩にニコニコしながら座っている長身で赤い目の黒い翼の天使がいた。

「う、うわっ。徠人じゃないか。おまえ、なんでこんなところに、つーかおまえがこれやったのか?」

 アズラィールが動揺して言うと、黒い翼の天使が立ち上がって言った。

「あれ?アズちゃん、こんなところにいるなんて珍しいね。帰れなくならないように気を付けてね。あ、アンジェラ。ニコラスを襲った盗賊の略奪した物とかお金は教会に届けてあるから、オスカーに言っておいて。じゃ、またね~。」

「あ、おい。待て。」

 アンジェラが、声をかけるも、彼は消えてしまった。

「なぁ、アンジェラ。今の徠人か?おかしくなかったか…。アズちゃんって…え?あ?ん?」

「今のは徠人の体に入っているリリィだ。多分。」

「え?そういうのありなの?で、なにやってるわけ?」

「よく、わからない。」

 そこにリリアナが口をはさむ。

「今までのを見てると、自分では殺してはいないわね。」

 そんな話をしているうちに騎士団がアンドレと共に到着した。

 一度城に戻ることにしたが、アンドレがもう一人いるようにしか見えないアンジェラを見て、騎士団が固まっている。そんな様子にも全く動揺せず、翼を出してアズラィールを抱きかかえ飛び立つアンジェラを見て、騎士団はさらにざわめいていた。

 大丈夫なのか?とアズラィールが心配していたが、当人たちは至って平気な様子だ。

 おいしいワインのいい気分が台無しと言いながら、また城で飲みなおすアンジェラに、自分の息子は肝が据わっているなぁ、と感心する父アズラィールであった。



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