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121. 鬼嫁?

 アンジェラとアズラィール、そしてアンドレとリリアナの旅行はフランスの次はスペイン、そしてドイツへと移動していた。

 ドイツで宿泊するのは、いつものユートレア城である。

 アンドレとリリアナはいつもの自室=王の間を使い、アンジェラとアズラィールはそれぞれ客間を使った。

 ここで、アンドレがなぜか思い付きで言いだしたのが、「過去のユートレア城への旅」だった。

「アズラィールはアンジェラのお父様ですから、私もとてもお世話になっていますし、ぜひ私の実家で、おもてなしをさせてください。」

「いやいや、めっそうもない。なんだか怖いですよ。」

「それに、ニコラスの子孫、というか本当に似ていますね。」

「ハハハ、そうですね。否定はしません。」

 そんなやり取りの後、結局四人で行くことに…。

 アンジェラは王と王妃に面識があり、事情もわかっているので問題ないが、アズラィールはちょっと不安だった。


 四人はいつもアンドレが行っている時代のユートレア城の王妃のサロンに転移した。

 もう、そこには過去のアンドレは重複しておらず、週に二、三回は顔を出している状態だ。現在と過去の二重生活と表現するのが一番当てはまるだろう。

 リリアナが王の流行病を治したことで、王はまだオスカーだ。王位はまだアンドレには移っておらず、王太子として度々表舞台に出ているのだ。

 最初リリィにひどい対応だった王も、小さい頃から毎週やってきてはアンドレに勉強を教えるリリアナには心を開き、信頼を寄せているようで、手のひらを返したようにかわいがっているらしい。


 思いっきり現代の普段着で到着したアズラィールが若干浮いているのは仕方ないが、王妃はその来ている服装よりも、自分のもう一人の息子ニコラスとあまりに似ている容姿に驚愕した。

「あ、あら?ニコラス…?にしては、髪型が…。」

「初めまして、僕、あ、いえ私はアンジェラの父で、アズラィール・アサギリ・ライエンと申します。ニコラスの孫に当たります。と言っても時代が前後しておりまして、見た目ほとんど同じ年なんですが…。息子の方が年くってますし…。ハハハ」

「おい。」

 アンジェラが肘でアズラィールをつつく。

 アンドレとリリアナは顔色一つ変えずに、五百年後の日本で自分もニコラスもアズラィールには大変世話になっているのだと説明した。

 王妃はとても好意的に接してくれた。

 問題は王である。夕食に招待されたのだが、アズラィールは緊張で味がわからなかった。

 何しろ、リリィを剣で斬り殺そうとしたと聞いている本人である。

 でも、その王が何やら企んでいるような顔をした時、リリアナが冷静な声で呟いた。

「陛下、死にたいのですか?落雷と溺死、どっちがいいですか?」

「え、私は何も企んではいない。気のせいだ、リリアナ…。」

『こわっ。怖すぎる…。鬼嫁じゃん、リリアナ。それなのに、アンドレは表情一つ変えず、ごはん食べてるし…。体に悪いな~。』

「リリアナ、そんな暴力的な言葉はやめなさい。」

 注意をしたのはアンジェラだった。

「ごめんなさい。」

 リリアナもしゅんとして謝った。どういう力関係?

 アンジェラがラスボス?ひぇ~。まぁ、いつも堂々としているとは思っていたけど…。

 背筋の凍る晩餐は二時間ほどかけて終了したのだった。

 これは、一回徠夢にも経験させた方がいいんじゃないか?

 リリアナの父親として…。


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