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焼肉食べよう(義理姉弟。ほのぼの)

作者: 飛鳥井作太


 じゅ~、じゅじゅぅ~

「はーい、どんどん食べてねぇ」

「……」

 肉の焼ける匂いと、煙の匂いが充満する店内。

 今、俺は義理の姉と近所の焼肉屋に来ていた。

 そんなに値段は張らないものの美味い肉が食えるとあって、いつも人気の店だ。

 俺の前では、義理の姉がせっせと肉を焼いている。

 今日は、姉の提案で此処へ来た。

『いやあ、二度も倒れてるところを救われたからねぇ、お礼だよ、お礼』

 とのことで。

 そういえば、姉の家で、倒れていない姉を見るのは今日が初めてだった。

 玄関を開けて、そこに立っている姉を見ると不思議な気持ちになった。

「アンタも食べろよ」

 姉が、どんどん俺の皿に焼けた肉を入れて来る。

「あ、私、肉、食べられないんだよねぇ」

「は!?」

 俺は、思わず声を上げた。

「あ、でも鶏肉と魚肉は食べられるよ?」

「じゃ、何で焼肉屋に連れて来た!?」

 アンタが食うものねぇだろうが、と言えば、姉はきょとんとした顔になった。

「え? 君が好きらしいって聞いたから」

 カチカチ、とトングを鳴らして言う。

「あと、焼肉屋の方が肉食べられない奴にとっちゃ楽なんだよねぇ。店に寄るけど」

「はあ?」

「肉が食えなくても、野菜ならいけるし。ここは、鶏肉も置いてるしね。ほら、ここで鶏焼いてるでしょ」

 あ、もちろん君も食べていいからね、鶏肉コレ

 姉が、にこにこ笑いながら言った。

「……もっと食いでのあるやつ頼めよな」

 数少ない食えるやつまで、他人に譲ろうとするなよな……何だこの人。

 俺は、深いため息を吐いた。

「食いでのあるやつねぇ」

 姉が、小首を傾げる。

「参鶏湯とか、何かあるだろ」

「うーん……食い切れるかどうか……」

 チッ

 つい、舌を打ってしまった。

 どうしてこう、自分に関しては吃驚するほど頓着しない大人なのか。

「残ったら俺が食うから。でも、肉はちゃんと食えよ」

 チーンと呼び鈴を鳴らし、店員さんを呼ぶ。

 参鶏湯を頼んだついでに、鶏肉も追加注文した。

「だから貧血で倒れんだよ、アンタ」

「ハハッ、面目ない」

「本当に思ってんのかよ」

「ハハハハ」

 相変わらずへらへらと笑うだけで、反省の色が見られない姉だ。

 俺は、もう一度舌を打った。


 END.



 ※こちら【https://ncode.syosetu.com/n4393hd/】とこちら【https://ncode.syosetu.com/n9416hc/】の義理姉弟でした。

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