1人目の夢 篠田凜香
登場人物
探偵社メンツ(探偵社はシェアハウス)
儚 久遠 クール·····27
清水 琥珀コミュ力高·····27
↑↑↑2人はバディ。久遠を琥珀がフォローする
清水 永愛コハクの妹·····24
柊 笑舞 ホワホワ·····24
↑↑↑2人はバディ。エマエマコンビ
東雲 有彩·····26
風見 翔真·····29
↑↑↑情報屋。4人に協力してる。
篠田 凜香·····18 今回の依頼者
日和 真香·····18 篠田凜香の親友
次の日。
相変わらず同じ夢を見た。
ぐるぐる女性からの問の答えを考えるが笑舞達の声で現実に引き戻される。
「久遠?大丈夫か?食えるか?」
「あぁ。ちょっと考え事。」
「あの夢ですか?」
「私もまたあの夢見た·····。マジで気が滅入る。」
「私もそれで寝不足です·····。」
「俺も。いつになったら治るんだろうな俺達。」
そう僕達もそれぞれ夢に苦しんでいる。
それをお互い解決できるようにと僕達は組んでいるのだ。
少しどんよりとした空気で朝ごはんを食べる。
「·····コーヒーいります?紅茶でもいいですよ。」
「僕はコーヒー。」
「俺も。」
「私、ミルクティー。」
「あーこの空気無理!!」
急に永愛が叫ぶ。
「急にどうしたの?」
「いや·····どうせ毎日見るんだしなんかとりあえずこの暗い感じやだ!」
「確かに····· 」
「でしょ!」
「まぁそうな。俺達らしくないな。」
「ですね。あっ淹れ終わりました!」
「ありがとう笑舞。」
「うまそー。」
「ありがとう!!」
「今日は俺達は風見さんとこだけどお前らは?」
「新しい依頼者さんとの面談が午後あります。」
「男の子とか緊張!」
「しどろもどろになりそうで·····。」
「2人なら大丈夫。」
「緊張とかがらじゃねえって。」
「イケメンさんだといいね。」
「意外と笑舞ってメンクイだよな。」
「イケメンは正義ですよ?」
和やかな空気に戻る。
「じゃあ行ってくるわ。」
「いってきます。」
「行ってらっしゃい!!」
「お気をつけて!帰ってくるとき連絡くださいね。」
「風見さーん。」
「こんにちは。」
「おう。今回はどんなのだ?」
「資料見ろよ。」
「すまんすまん。」
「高3の女性。名前は篠田凜香。夢は親友の日和真香に殺される夢を毎日見るらしい。」
「おっJKか。」
「そこじゃねえだろが。」
「冗談だよ。精神的くるやつだな。」
「あぁかなり精神が衰弱していた。」
「殺され方がまたエグくて若干吐きかけた。」
「殺され方は?」
「ナイフで刺殺。毒殺。突き落とされる。その他諸々らしい。」
「聞かなきゃ良かったな。」
「だろ。」
「悩みは?」
「親友のことが信じられないらしい。」
「まぁそうなるだろうな。とりあえず2人とも調べるか。」
「どれくらいかかる?」
「1日ありゃ十分だろ。」
「じゃあ明日また来るよ。凜香さん達の学校方面に行ってみる。」
「おう。気をつけてな。」
「頼みます。」
「じゃあ明日。」
「っと。ここか·····。」
「女子校なんだな。」
「俺女性とか苦手だからやだな。」
「そういえばそうだったな。」
少し周りを歩いてみる。
近くには駅とバス停。
お店はオシャレなカフェばかりだ。
「ザって感じ。」
「そうだな。」
「もう早く帰ろーぜ。依頼者とかに見つかったらダルい。」
時計は17時を指していた。
「笑舞達の依頼者がいる可能性あるけど大丈夫か?」
「あーそっか·····。とりあえず連絡だけするか·····。」
連絡グルに琥珀が打つ。
『今から帰りたいけどそっち依頼者何時から?』
すぐに
『ちょうど終わりました!いつでもいいですよ!』
と笑舞から返信がくる。
「大丈夫そうだな。」
「よし、帰ろう。」
「帰りにお土産買ってこーぜ。」
「お前が食べたいだけだろ。」
「別にいいじゃん♪」
とケーキ屋に寄る。
「アイツら何食うんだろ?」
「永愛はお前がよく知ってるだろ?笑舞は·····無難にショートケーキとか?」
「そうだな。永愛何食ってたかな·····?モンブランとかか。」
「僕はティラミス。」
「俺はいちごタルト。」
「選択が可愛いな。」
「美味しいからな!」
「ただいまー。」
「おかえり!わっケーキだ!!」
永愛が嬉しそうに言う。
「えっケーキですか?!ありがとうございます!!夜ご飯後に食べましょ!」
夜ご飯の準備をしてくれている笑舞も嬉しそうだ。
今日は少しいいことができた気分だ。
翌日。
朝ごはんを食べた僕達は風見さんの所へ行った。
「おはよーっす。」
「おはようございます。」
「おはよう。調べてみたぜ。」
と資料を差し出す。
「まぁとりあえず座れや。おーい有彩ー。何か飲みもん淹れてくれー。」
「自分で淹れろバカ。」
「久遠と琥珀もいるぞー。」
「はぁ?!先に言ってよ!!」
「お気づかいなく·····。」
「気にしないで!」
有彩ちゃんがコーヒーを淹れてくれる。
「今紅茶切れてて·····。」
「全然大丈夫だよ!ありがとう。」
「あぁ。ありがとう。」
有彩ちゃんはニコニコしながら戻っていった。
資料に目を落とす。
「先に篠田凜香から。」
【篠田凜香】
聖三田女子高等学校3年生吹奏楽部元部長。
妹が1人。両親とも特筆すべきことはない。
本人自体も今までいじめられた経験、問題行動なし
「まぁ正直面白味の欠片もねえ子だったよ。それより親友の方が気になるね。」
【日和真香】
聖三田女子高等学校3年生吹奏楽部元副部長。
一人っ子。父親が政治家の日和清志郎。母親は背立
銀行の令嬢。両親に溺愛される。小学校、中学校共に
彼女のクラスでは毎年自殺者がでている。
いじめの噂もある。依頼者とは高校の部活で知り合
う。
「金持ちの令嬢か·····。」
「自殺者が毎年·····。高校はないのか?」
「いや1年生の時に2人出てる。」
「学校側はなんも思わねえのかよ。」
「揉み消しの可能性もあるな。」
「中学校の同級生に聞いてみたがなんも言ってくれなかったよ。だが大変なことになるとか消される。とか言ってたからいじめはクロだな。」
「今日依頼者に会うから聞いてみるよ。今回もありがとう。」
「今回はこんだけでいいのか?」
「あぁ。」
「まぁお前らも心壊すなよ。」
「もうとっくに壊れてるよ笑」
「お邪魔します。」
「いらっしゃい。」
「夢はどう?」
「相変わらずです·····。」
「変なこと聞くけど真香さんのクラスでいじめがあるとか聞く?」
「え?」
「少し真香さんについて調べさせてもらったんだけど小中高と自殺者が毎年出てるのはおかしい。知ってることは教えて欲しい。俺達は君を救いたいんだ。」
「し、知りません。それにもしかしたら他のいじめっ子とずっと一緒だっただけかもしれないじゃないですか!!なんで彼女がいじめっ子だって決めつけるんですか?!」
いきなり怒鳴る。
「わかったわかった。とりあえず落ち着いて。」
フーッフーッと彼女は息を荒らげている。
「ちょっと紅茶淹れてこい。席外せ。」
と琥珀に耳打ちする。
「あぁすまねえ。」
「疑ってすまない。もし話が聞ければと思ったんだ。紅茶は飲めるか?」
黙って頷く彼女。
その目には涙が溜まっているように見えた。
「はい。ミルクと砂糖はお好みでどうぞ。」
と営業スマイルを貼り付けた琥珀が戻ってくる。
「もう大丈夫なのか?」
「あぁ。あんまりほっとくとお前もキツいだろ?さっさと終わらせようぜ。」
「受験生だったらさっさと終わらせたいだろうから次回でケリをつけたいんだが。」
「·····お願いします。」
「眠ってもらわなきゃいけないんだけどココか君の家どっちがいい?家だと親御さんの許可がいると思うんだけど·····。」
「自宅で大丈夫です。母親の勧めで来たので。」
「じゃあ日にち決めようか。」
「怪しいな。」
「あぁ。何か知ってる感じ。いや庇ってる感じだったな。」
「土曜日にわかる。」
「はぁー。女ってやっぱ怖ぇな。」
「久しぶりにあんなの見たな。」
「お兄ちゃん大丈夫?顔真っ青。」
「やばい。」
「横になります?毛布持ってきますよ?」
「いや。大丈夫だよ笑舞ちゃん。ありがとう。」
「ちょっと置いとけば多分いけるだろ。」
「人を物みたいに!久遠ひどーい。」
「元気じゃん。」
少し休憩したあとご飯を食べた。
ー土曜日ー
「「お邪魔します。」」
「夢探偵の儚と清水です。」
と彼女の母親に名刺を渡す。
「今回はありがとうございます。凜香はまだ学校で·····。」
「いえいえ。よければ少しお話聞いてもよろしいですか?」
「えぇ。」
「凜香さんがお友達関係で問題を抱えてたりとかないですか?」
「うーん。親友?にベッタリなことが気になるぐらいですかね·····。前1年の時にあの子のクラスで自殺した子がいたんだけど前はクラスの子が·····って泣くような子だったのに今回はケロッとして親友がーってニコニコしながらだったのがすごい気味悪くて·····。」
ガチャ
「ただいまー。」
「凜香 おかえり。来てくださってるわよ。」
「ありがとうございます。早速いいですか?ちょうど眠くて。」
「わかった。」
彼女は自室ですぐに眠った。
2人で彼女の手を握る。
「お母さん。僕達の体は適当に転がしといてください。」
「わ、分かりました。どうか娘を·····。」
「大丈夫ですよ!じゃあ行ってきますね。」
視界がブラックアウトする。
目を開くとどこかの駅。
「久遠大丈夫?」
「あぁ。」
「ココが彼女のセカイ。」
カツカツ
「あんた達だれ?」
振り返ると日和真香の姿。
普通僕達の姿が見えるのは依頼者か夢に干渉してる人物だけ。
「へぇー俺達のことが見えるんだ。」
「普通は見えないはずだが。」
「私も夢の侵入者だからね〜。」
「ちょうどいい。君に聞きたいことがあるんだ。」
「何か?」
「君、いじめしてる?」
「ははは!!笑お兄さん達直球だね!!そうだよぉ。ずぅーっとしてるよ?」
「やっぱりか。」
「え?なんで真香もいるの?」
「やっほー凜香。」
「ずっと君は凜香さんの夢に入ってたのか?」
「うん!」
「なんで·····。」
「だって殺してるのわたしだからね!」
場が凍りつく。
「え?嘘?!だっていつも親友って·····。」
「うっざー!そういうのうざいよ。現実でも私にベタベタベタベタ。うざすぎて殺しまくってるの♡。現実世界だともうそろそろバレちゃいそうだからねー。」
「じゃあやっぱり自殺者に関わってたか。」
「うん!いじめてた子だねー。でも凜香も同罪だよね?」
「違う·····だって真香が·····。」
「でもやったのは凜香だよね?」
「どういうことだ?」
「あーそこまでは調べてないんだね。この子も一緒にいじめてたんだよ?楽しかったよねー。でも死んじゃってしょうがないからぜーんぶパパにもみ消してもらったの!」
ニコニコしながら言ってくる女に寒気がする。
「だから庇って声を荒らげたのか。」
「ち、ちがっ。」
「違くねーだろっ♡」
「お願い、やめて。殺さないで。」
「あはは楽しー!」
「やめろ。」
琥珀が固め技をかます。
「何すんだよ?離せよ。パパに言いつけんぞ。」
「全部録音してるけどいいんだな?」
「は?」
ボイスレコーダーを流す。
「チッ。明日覚悟しとけよ凜香。」
「い、いや。」
「これ以上誰かに何かするんだったらこれをばらまく。お前こそ覚悟しとけ。」
「流したらお前と家族全てが終わる。よく考えろ。」
「·····わかったよ。なんもしなけりゃいいんだろ?夢の中でも。」
「物分りいいじゃねえか。じゃあ最後に1つ。誰だ。お前に夢干渉させてるのは。」
「知らないよ。パパに頼んだらやらせてくれた。パパの人脈にいるんだろうよ。でもパパの人脈広いから見つけるのはまず無理。」
「そうか。」
「じゃあ帰るよ。」
「真香·····。」
「もうあんたとは関わらないから。」
目を覚ます。
丁寧に客間のベッドだ。
「すみません。わざわざ。」
「いえいえ。」
「多分これで大丈夫だと思います。もしこれ以上あるようでしたら名刺の番号にお願いします。」
「はい。本当にありがとうございました。」
「凜香さん、これで懲りた?全ては自分に帰ってくるんだ。それを忘れないようにね。」
「··········はい。」
帰り際泣き腫らした目の凜香さんに言う。
「めっちゃサイコだったな。」
「あぁ。まぁボイスレコーダーもあるし大人しくなるだろ。」
「それを願うしかねぇな。」
こうして僕達は仕事を終えて帰る。
また夢を見るために。