8、神狼の友
『見事だ』
守護者はゆっくり起き上がると手を扉に向かって掲げる。すると扉は重低音を響かせながら開いていく。
『ついて来い』
守護者のあとに続いて僕達は扉をくぐると景色が一変し、様々な植物が生える森が広がっていて頭上には巨大な根っこが空から伸びている。
守護者は根っこの伸びている方向に進んで、どんどん近ずいて行く。
そして僕達は巨大な湖に辿り着く。根っこは湖の底まで伸びていて、湖の中心にある小島には虹色に輝く薔薇が咲いている。
守護者は湖を渡り、薔薇を一輪摘むと戻って来る。
『受け取れ』
「ありがとう」
薔薇に触れると、光の粒になりイベントリに収納される。
『認められし者よ。何かあればまたここに来るといい。我はいつでもお前達を歓迎する』
その瞬間、僕達は青い光と浮遊感に包まれルーク達の元に戻っていた。
急いでルークに駆け寄ると、ルークの衰弱が酷く体を動かすことも出来ない。
イベントトリから薔薇を取り出しルークに近付けると、薔薇が輝きを増しルークに降り注ぐ。薔薇は徐々に輝きを小さくして行くとそのまま散っていき、ルークは立ち上がる。
「人間、感謝する」
「大丈夫なの?」
「少しふらふらするが大丈夫だ。それより、客が来たようだ」
ルークが言った瞬間、巨大なハエが現れる。
ハエは耳障りな奇声を発しながら、悔しそうに地面を蹴る。
「くそおおおおおおおおおおおおおおおお!邪魔な神獣をやっと見つけ、ここまで来たのに!呪いが解けているだとおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
「残念だったな」
「くそおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!お前も呪いを解いた奴も全員殺してやるうううううううううううううううううううううううううううううう!」
ハエが襲いかかろうとした瞬間、ルークが物凄い速さで移動し一瞬でハエを真っ二つに引き裂く。
そのままハエは光の破片となって消える。
「凄い」
「ララ」「ルル」
ルークが僕達の目の前に来る。
「人間、私の頭に触れるんだ」
僕はルークに言われた通り頭に触れる。
すると白い光の玉が現れ、僕の手に吸い込まれていく。
「これは?」
「私が与えられる力を渡した。私達はもう行かなくては、人間また会おう」
そう言って、ルーク達が空に向かって駆け出して行く。
その瞬間、クエスト達成の報告と共に僕達はボートがあった場所へと飛ばされた。
「ルル?」
「また会えるよね」
「ラララ」
僕達はルークにまた会えることを願いながら歩き出す。
クエスト《神狼の友》を達成。
【狩人の群れ】、【神狼の刻印】を入手した。