7、聖域の守護者
「暇だね」
「ララ~」「ルル~」
シルとホノと一緒にボートの上で横になってただ空を眺める。
森を出てシルとホノを連れて歩いていた僕は、巨大な河に辿り着くとシルとホノが僕を引っ張ってボートに向かったので、2人を乗せて河の流れに沿って行く。
「ララ、ラ~!」「ルル~ルルル~~!」
気が付くと僕は眠っていて、シルとホノが体をゆする。
起き上がると、ボートはいつの間にか陸に着いている。目の前には深い森が広がっている。先にボートから降りて、シルとホノを抱えてゆっくりボートから降ろす。
「ここは何処だろ?」
「ララ~」「ルル~ル~~?」
僕達は森の中に入る。
しばらく歩き続けたが、モンスターには遭遇せず森だけが続いている。更に歩き続けると僕達は広場に辿り着く。
巨大な岩が折り重なって出来た穴に、巨大な真っ白な狼が横たわっている。
真っ白な狼の周りには、小さな狼達が寄り添ってこちらをじっと見ている。
「この匂いは人間?それに2人のドリアード」
巨大な狼は顔をこちらに向ける。
すると目の前に黄金の板が現れる。
クエスト《神狼の友》
僕はYesを押して受注する。
「人間、私を助けてくれないか」
「何があったの?」
「私はルーク。神に仕える獣の1匹だ。私はこの地を守護しているのだが、突然悪魔の手下どもが現れ私に呪いをかけた。
徐々に体が衰弱すると共に体の機能を1つずつ奪い、最後の数時間を絶えまない激痛が襲う。この呪いを解呪するには、世界樹の根元から流れ出た水で育った虹色に輝く薔薇が必要なんだ」
「それを取って来ればいいんですね」
「これを使えば、この地に咲いている薔薇の元へ連れて行ってくれる。だが、その場所は強力な守護者が守っているから気をつけるんだぞ」
僕はルークから羽根の首飾りを貰う。
それを装備すると、僕達は一瞬だけ青い光と浮遊感に包まれ気が付くと遺跡の中に立っていた。
遺跡の壁や床には水晶が光を放ち中を照らしている。
目の前の階段を登ると巨大な扉があり、その前に巨大な斧を持った牛の頭をした人間の彫刻がある。
すると彫刻の目が赤く光、ゆっくりと立ち上がる。
『人間、お前はここに何を求めて来た』
「ルークの呪いを解くために、虹色の薔薇が必要なんです」
『ならば、お前の力を我に示せ。そうすればお前の求めている物を授けよう』
彫刻は雄叫びをあげる。
聖域の守護者という名前とともに、3本のHPバーが出現する。
『行くぞ!』
守護者が斧を掲げると大地が蠢き出し2本の巨大な槍となって飛んでくるのを、シルとホノが大樹を出現させ槍を防ぐ。
僕は魔導銃を構え、守護者に向け引き金を引く。
銃弾は守護者の目の前で眩く光り輝き視力を奪う。
悪魔との戦いの後に発現した<銃弾変化Lv1>がさっそく役に立った。
「ララ!」「ルルールルルー!」
視力を奪われた守護者は、シルとホノの攻撃を避けることが出来ず直撃する。一瞬で守護者の1本目のHPバーの半分を消す。
視力を取り戻した守護者は、シルとホノの攻撃を防ぎながら距離を縮めてくる。
「【バインドウィップ】【スタンショック】!」
守護者の足に鞭が絡み付き、僕は力いっぱい引っ張って倒しスタン効果が付与された鞭で守護者を攻撃する。
スタンが入り守護者が動けなくなった所を、シルとホノが一気に攻撃する。
最後の1本を削りきる前にスタンが切れ守護者が再び動き出す。
『我をここまで追い込むとはな。ならば我も本気を出すか』
その瞬間、守護者は白いオーラの物を纏うとものすごい速さで走り出す。シルが大樹を繰り出すが守護者にはダメージがなく、逆に大樹を粉々に粉砕する。
「ルルルー!」
ホノが3本の大樹を操り守護者を攻撃する。
ダメージを与えることは出来ずにいたが、攻撃し続けると守護者の纏っていた白いオーラが砕け散る。
『何だと!?』
「くらえ!」
僕は守護者に向かって、6発の弾丸を撃つ。
弾丸は守護者に全て命中し、最後のHPバーを削りきる。