全ては今この時のために 8話
目を覚ますとやはりあの空間にいた。昨日とは何かが違う、なぜだろうと思ったがそれはすぐにわかった。
「今日は・・・体が動くぞ・・・!」
これは大きい、幸か不幸か今はあの謎の女もいない様だしいろいろ調べるなら今しかないと思いとりあえず辺りを散策することにした。
しかしどんなに歩いても手がかりすら見つからず、それどころか見渡す限り真っ白で景色すら変わらないのだ。流石にここまでなにもないと精神的にキツイものがある。
「ん・・・?あれは・・・扉か?」
どれだけ歩いたかわからない程進んでいると遠くに扉のようなものを見つけた。やっと何かを見つけたのだ、必死に走って辿り着こうとしたがいつまで経っても着かない。それどころかなぜかどんどん遠ざかっている気がする。
「なんで、どうして遠くなっていくんだ!」
体力も限界になり溜まってきたイラつきを払うかのように叫ぶとどこからか声がした。
『おや、きょうも帰ってきたのですね。ただ今の貴方ではそこへ辿り着くことはできませんよ』
「そんな・・・どうして!」
『簡単ですよ。貴方はまだ何も知らなすぎる。それ相応の資格を持ってないのです』
資格?何なんだ一体。知らない?一体何をだ。昨日と今日とでどんどん謎が深まるばかりだ。
「何を言っているんだ!何が足らないというんだ!」
『そのままですよ。何もかもが足らないのです、残念ながら私からは何も教えることができません。だからこそ、自分の力で真実に到達してほしいのです』
困った、元々頭がいい方ではないからだんだん混乱してきた。
『また次回会うまで時間があるでしょう。それまでに頑張って少しでも・・・どうかこの忌まわしき輪廻に終結を』
そう言い残しあの謎の女の気配が消えると共に僕の意識も薄れていった。
目が覚めた。それもいつもよりもかなり早くに。早く目覚めた朝は散歩すると決まっている、
この涼しい気温、静かな感じが色々考えるにはもってこいだ。
しかしどんなに考えても何も手がかりになりそうなことが閃かない。
「困ったな。ほんとに何もわからないぞ」
勿論ぼやいたところで何かがつかめるわけでもなくただただ時間が過ぎていくだけで気がつくといつも起きる時間になっていた。
しかしこんなモヤモヤした状況で集中できる訳ないと判断し、罪悪感を感じつつも今日は学校を休むことにした。そして折角時間が出来たのだ、今の状況の整理も兼ねて色々調べることにしたのだった。