全ては今この時のために 5話
どうして折角の休日なのに、平日と変わらず目覚ましのアラームで起きているのだろうか。あぁ、そうだ、月咲に勉強を教えてもらうんだった。なんてぼんやり思いながら、いつまでも頭上でうるさく鳴っているアラームを止めた。
よく考えると、昨日は疲れてバタンキューに近い形で寝たのに、ちゃんとアラームをかけていたので我ながら流石だと思う。まぁ覚えてないのだが。
いつものように起き上がり、部屋を出ようとした瞬間、今日は泣いていないことに気が付いた。
「やっぱり、昨日までのは偶然だったのか」
なんて思いながらリビングに行き朝食を食べつつ携帯を確認したら、1時間前に月咲からメールが来ていた。
『おはよー!今日、10時から駅前のファミレスでいいよね?』
とのことで、相変わらず朝が強くテンション高いなと思った。
とりあえず適当に返信を済ませ、準備をすることにした。
時間になり地獄……じゃなくて勉強の時間となった。
「さぁ、今日は何やろうか?」
「あ、日本史とこないだの続きで数学を……」
「日本史!?あんなん流れ覚えるだけじゃん。教えることなんてないよ?」
そんなに驚くことだろうか、なんて感じてしまう。
「その流れすらも覚えらんないんだよね……」
「よしわかった。小学生でもわかるように説明しよう!」
「あれ?なんか今しれっと煽られた気がしたよ?」
「ん?気のせいだよ、気のせい」
なんて笑いながら言う月咲。絶対気のせいじゃない。
そんなこんなで日本の歴史500年近くを3時間で詰め込まれた為、僕の頭はパンクしかけていた。
「そんじゃ、一回お昼にして休憩しようか。あ、安心して?ちゃんと値段は考えて選ぶから」
覚えてやがったな……何とかしてやり過ごしたかったのに。
「是非ともそうしてください。ほんとに破産するんで……」
もう切実な願いであった。
「そういえは、昨日透也君が引退試合の話してたけど、部活中ってどんな感じなの?」
「ん~、どうって言われてもなぁ~。あ、ちゃんと部長らしく頑張ってるよ?」
そのとうり、透也はテニス部の部長として頑張っているのである。
「運動神経いいもんな。ほんと僕からしたら羨ましいよ。」
「まぁ渚ちゃんが酷いっていうのもあるけど、あの双子は運動凄いできるもんね~」
二卵性とはいえやはり血は同じなんだ、といつも思う。
「そっか~あんな透也君でもちゃんと頑張ってるんだ」
「そうなんだよね。だから最後くらいは応援しようかなと」
「なるほどね~なら透香も誘って3人でいこっか!」
「賛成!」
よかった。1人で行く、という心配が無くなった。
「はい!というわけで休憩終わり!さっきやった内容確認したら次は数学やろう!」
どうやらまた地獄が始まるようだ。
「って渚ちゃん!?ここ30分前にやったとこだよね!?」
説明しよう。これが僕なのである。自慢できたものでないが。
気が付いたら外は暗くなっており、僕の疲労も完全に溜まっていた。
「よし、今日はここら辺にしておこう!おつかれ!」
「おつかれ~~」
限界を迎えた僕は机に突っ伏して死んだように答えた。
帰宅しながら透也の大会の話になり集合時間等を確認してるうちに、僕の家に着いたので解散となった。
「明日はやいなぁ。少し復習したら寝るか」
今日の内容を確認し、僕は眠りに就くことにした。