全ては今この時のために 2話
午後の授業は英語に数学と1番苦手で眠くなる科目だった。
襲ってくる眠気を覚ますために昼に分からなければ聞いてくれ、と言っていた透也に聞こうとしたが案の定爆睡していたので諦めて自分と戦うことにした。
自分では頑張っていたのだがノートの字が解読不能なのを見ると恐らく意識は飛んでいたのだろう。後で月咲に聞くとするか。
放課後、月咲と一緒にいつものカフェに行き、本当にコーヒーを奢らされた。これは今月残り厳しくなりそうだ。
「ところで渚ちゃんは何の科目のどこが分からないの?」
「えっと、数学のここからが分からなくてさ…」
「あんた…これ1年と2年の応用じゃない…」
「嘘でしょ!?僕そこから理解できてなかったっけ」
「こりゃ長くなりそうね…」
ため息を吐きながら月咲が言ったように、僕は理解するのにかなり時間がかかってしまった。
「とりあえず今日はここまで、後は宿題として少し問題出すから明日までにやること!」
「は〜い、わかりましたぁ〜」
とても少しとは思えない量だったが流石に疲れていた為反論する気も起きなかった。
「あれ?雨、降ってる?」
「え?」
外を見ていた月咲がそう言ったのを聞き、僕も外を見ると少し雨が降っていた。
「少し…降ってるみたいだね。でもこの感じなら走って何とかなりそうだね」
「いや、私は走って行けるけど渚ちゃん平気?私のペースで行ける?」
そうだった、月咲の運動神経はかなりいいんだった。それに対して僕は普通かそれ以下、特に体力には自信がなかった。
「きつそうだけど雨が強くなる前には帰りたいから頑張ってみるよ」
「そう、でも無理しないようにね?」
「そこは大丈夫、無理そうなら言うから置いていっていいよ」
「わかった。とりあえず急いで帰らないと、頑張ってね渚ちゃん!」
やはり月咲のペースは早く、店を出てすぐに差を付けられたが僕も何とか頑張って付いていった。
あまり強くならないうちに家に着いたが、僕は死にかけたのに対して月咲は全然元気だった。
「渚ちゃん、大丈夫?これでも落とした方だったんだけど…」
おいおいまじかよ。と思ったが流石に強がりたかった。
「いや、大丈夫。とにかく濡れないうちに月咲は早く家へ」
「うん。風邪引かないようにね!」
そう言って月咲は僕と走っていたペースよりも早く走っていった。
「あれ、ほんとに落としてたんだ…」
ちょっと運動しないとな、と思った瞬間だった。
翌日、起きると僕は何故か泣いていた。