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全ては今この時のために 1話

「渚ちゃーん!」


 雲一つないきれいな青空、心地良く吹き抜ける風、そして目の前には…


「ねぇ、渚ちゃんってば〜」


 美少女が少し不機嫌そうに僕を見ていた。


「どうして無視するの?渚ちゃん?」


「あー!もうその渚ちゃんってのやめてよ!」


「やっと反応してくれた、でも別にいいじゃない。だって渚ちゃん可愛いんだもん」


「あのね月咲、僕ちゃんとした男だからね? 男に対してちゃん付けってなかなかきついよ?」


「でも渚ちゃん女の子みたいだから付けたくなっちゃうんだよね〜。それに流石にもうそろそろ慣れてきたでしょ?」


「はぁ…そりゃ毎日言われ続けてれば嫌でも慣れるよ…」


 朝からテンション高いこいつは九蘭(くらん) 月咲(つかさ)、お互いの親が仲がいい為僕と月咲は昔から幼馴染となる。


「それににしても3年間も渚ちゃんと同じクラスだなんてほんとすごい事だよね」


「ほんとここまで同じだと何か意図があるんじゃないかって思うよね」


「そんなのあるわけないじゃん、相変わらず渚ちゃんそこら辺頭回らないよね〜」


「あー、もううるさいなぁ〜!」


「いやー、朝から仲良く楽しそうですなぁ」


「なんだよ透也、朝からって」


「学校でも仲良く更に通学でもだなんていいですな〜、ってね」


 笑いながらからかってきたこいつは綾坂(あやさか) 透也(とうや)、僕達とこいつとは去年から同じクラスで出席番号が近いこともあり仲良くなった。優しく友達思いなのでこうしてからかわれても憎めないやつなのだ。


「おはよう透也君、朝から会うなんて珍しいわね」


「珍しく朝ちゃんと起きれたんだよな、こんな事1年に数えるくらいしかないけど」


 笑いながら言っているがそれ普通なのでは?と思ってしまうが朝が弱くいつも遅刻ギリギリな透也からしたら珍しいことなのだろう。



 いつもの様に雑談をしながら登校し、退屈な授業を乗り越え昼休みになるといつもの4人で集まり昼食を取るのが習慣となっていた。


「それよりもうすぐテストだけどみんなどんな感じなの?」


 月咲の横に座っているふんわりとした感じの少女は綾坂(あやさか) 透香(とうか)。名字の通り透也の双子の姉で僕と月咲とは1年で同じクラスで仲が良く、また僕らが透也とも仲がいいこともあり他クラスだが昼になると僕らのクラスに来て昼食をとっている。


「月咲ちゃんはいつもどうり大丈夫だと思うけど渚君と透也は大丈夫?今回そこそこ難しそうだよ?」


「まぁ俺は多分乗り切れるだろうけど、渚…お前授業の様子見てて思うけどかなりやばいだろ?」


「うっ…、べ、別にわからない訳では無いんだ、なんか上手く解けないなぁみたいな…」


「それは大丈夫じゃないんだよ渚君」


「こりゃ渚ちゃんの為にまた勉強会になりそうね…」


 いつもテスト前になると僕のために勉強会が開かれる。月咲と透香に教えてもらうのはいいのだがいつもギリギリと言っておきながら点数は取れる透也は気に食わない。


「別に授業中わかんなければ俺に聞いてもいいんだぞ?」


「いや透也基本寝てて起きてる時間ほとんどないじゃん!」


 授業中寝てる癖に出来るのが更に気に食わないとこである。


「なぁに?また透也授業中寝てるの?家で夜遅くまで起きてるから寝ちゃうんだよ?」


「別に俺は寝てても点数取れっから問題ないわ」


「あー、そんな事言ってるともう家で勉強教えてあげないよ〜?」


「がぁ…、それだけは勘弁を…」

 なるほど、透也がなんで出来るのがやっとわかった。


「とりあえず透也は透香に任せるとして渚ちゃんは私と勉強だね」


「今回も…お世話になります」


「いつものカフェのコーヒー3杯奢りでやってあげよう!」


「3杯!?せ、せめて2杯で…」


「透也はどこわからないの?ちょうど暇になったから教えてあげるよ?」


「あー!わかった!ちゃんと3杯分出すよ!」


 お小遣いのみで生活している高校生男子からしたらなかなかきつい出費だが我慢するしかない。


「よし、交渉成立っと。とりあえず今日の放課後からでいいでしょ?」


「うん、それで平気だよ」


「透也と透香も来る?」


「あー、悪い、俺今日顧問に呼ばれてるからパスだわ」


「私も委員会の仕事あるから今日はパスで〜」


「そっか〜、ならしょうがない、渚と2人でになるね」


「うん、ごめんね〜」


「いいよいいよ、また時間が合う時に4人でやろうね」


「ま、そん時は俺がちゃんと渚の面倒見てやるから安心しとけ」


「お前だけは絶対勘弁だわ!」


 なんて会話をしてるうちに昼休みは終わり、放課後の勉強会の為眠い眠い午後の授業へと向かうのだった。

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