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文化研究部  作者: 松竹
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最初の依頼

文化研究部に入ってから2週間の月日がたった。俺が入ってからというもの部活動らしい部活動はなく毎日部室で本を読みたまに勉強をして帰るだけの単純な日々を過ごしていた。

 俺自身の周りにはあまり大きな変化は、なかったのだがクラスの中では部活に対する良くない噂を耳にする。美術部でセクハラが横行しているというものだ。

 話を断片的につなげ合わせると、なんでも2年の小池という美術部の男子生徒が女子生徒に必要に障るとのこと。

 勿論1年のクラスの中で話題になるほどなのだから勿論2、3年の耳のも入っており部室ではその話題が熱い。

 「美術部って去年も問題起こしてなかった?」

 「俺はそんな話知らん」

 「龍馬友達少ないもんね」

 「お前の様に無駄に交友が広くないだけだ」

 「ああー!無駄とは何よ無駄とは!」

 部室で繰り広げられる先輩がたの言い争いを横目に今日も読書にいそしむ。

 「鈴木君はお茶飲む?」

 とこの2週間ですっかり給仕係と、なってしまっている遠藤が声をかけてくる。

 「ああ、俺やるから座っておいて」

 「いいよ、私やることないから」

 「じゃあ、よろしく」

 部室に置いてある電気ケトル(龍馬の私物)の電源を入れ鼻歌を口ずさみながらお湯が沸くのを待って居る遠藤に萌えつつ読書に戻る。

 「あ、なにお茶入れてくれるの?佳苗ちゃん私にも入れてー」

 と遠藤に後ろからハグをする木村、この二週間ほぼ毎日繰り広げられるこのやり取りに遠藤も慣れてしまい「ちょっと待ってくださいね」と軽くあしらうだけでリアクション少ない。前までは「きゃ」とか可愛いビックリの仕方をしていたのに・・・慣れって良くないね!

 俺が脳内会議をしているといつの間にか横に座っていた龍馬が話しかけてきた。

 「いいよな、百合」

 「いや、俺百合萌えとかないんで」

 「あ?八倒すぞ」

 「切れられても」

 龍馬は最初こそクールの様な印象だったのだが実際は変態だ。もう一度言う変態だ。最近のブームは同性愛らしくあの遠藤、木村の百合百合しい行動に胸を躍らせているとか、いないとか。

 そうこうしている内にお茶が出来たようでテーブルの上に俺と龍馬の分が置かれる。

 「現役JKの温かい薄い黄色の液体」

 ぼそっと龍馬がそんな事を口にした。

 「おまえ、今のセクハラだぞ」

 「直接的に危害は加えてない、それに俺はお茶の事を文学青年が形容しそうな言葉で言ったつもりだ」

 場を静寂が包む。あるものは顔を赤くして俯き、またある者は日常茶飯事と気に留める様子もなく、またある者はこいつ馬鹿なんじゃないの?という視線を向ける。

 「そういえば小池のセクハラ内容について気になるんだけど」

 静寂を破り近藤が口を開く。

 「しばしウエイト」

 龍馬はコップを置くと畳の上に置いてある、これまた私物のパソコンを立ち上げ慣れた手つきで何かをしている。

 「ほい、できた」

 そう言って画面に映し出されたのは学校の掲示板。

 「なんですかこれ」

 「んー?裏サイト運営者は俺」

 「龍馬先輩ってなんでもできるんですね」

 「褒めてもハグぐらいしかしないぞ」

 そう言って腕を広げ待ちの姿勢をとるがそこに入ってきたのは遠藤ではなく木村の拳。友達とかにふざけてやる感じの緩いパンチではなく本気でダメージを入れに来ている感じの右ボディーが入りゴフっとうめき声が漏れその場にうずくまる。

 「ひ、ひどい・・・」

 「あんたがキモイのが悪い」

 木村は龍馬の前に置いてあったパソコンを奪い取りこれまた慣れた手つきで小池に関しての書き込みを探す。

 「お、あったあった」

 『美術部セクハラの実態』というタイトルの書き込みをクリックして記事を開く。

 そこには匿名で小池におしりを触られたとか胸を触られたなど事実か判断しにくい書き込みの中『2年のkさんは体操服盗まれたらしい』と唯一事実確認が可能そうな書き込みを木村が見つけた。

 「このkって子誰か分ける?龍馬」

 「部活連の加入者名簿で検索かけて」

 言われたとうり木村がファイル検索をかけ目的のファイルを見つける。そこから龍馬に代わりあれよ、あれよと言う間に2年生の中からその女の子を見つけ出した。2年4組7番『加藤久美かとうくみ』一緒に添付されている画像には可愛い顔立ちのショートカットの女の子が映し出されている。

 「加藤ちゃんか」

 「龍馬知り合い?」と木村。

 「いや、2年でトップ3に入る可愛い子」

 「誰調べ?」

 「もち俺」

 「まあ、取りあえず。鈴木この子呼び出してきて」

 「は?俺?」

 あまりにも急な展開で素っ頓狂な声が出た。

 「当たり前じゃん」

 何が当たり前なのかまずはそこの説明が欲しいのだが。

 「えー俺が行きたいー」

 「あんた二年の中で女子の中ではブラックリストだから」

 「は!何で!」

 「当たり前でしょ手当たり次第に口説きまわったんだから」

 「龍馬先輩・・・。」

 「違うよ!今は佳苗ちゃん一筋だからね!」

 遠藤が苦笑いを浮かべ肘を抱え込みながら距離を取る。確実に好感度下がりましたね龍馬さん。

 「残る男子は鈴木しかいないのよ」

 「まず男子しか行っちゃ行けないのはなぜ」

 「え?女の子働かせるの?」

 こいつバカなの?死ぬの?みたいな表情で俺に視線を向けてくる。

この学校はアレかな俺の人権は保障されてないのかな?

 「いや、俺面識ないし」

 「誰もが初対面は面識ない物さ!ささ早く行った!」

 グイグイと背中を押され扉から部屋の外に追い出される。本気で抵抗すればそんな攻撃訳ないのだがこんなことに本気になるような男ではない。クールだ俺。

 任命された時点で諦めはついていたので美術部の居る美術室へ向かう。

 美術室に着くとそこからはワイワイと賑やかな騒ぎ声が聞こえる。

 ソーッと中を覗くと誰一人絵を描くことなく長机を円形に囲みワイワイと談話している。それはさながらリア充の会話の様にオーバーアクション。

 うわ、寒い寒い。これから夏になるというのにカーディガンが欲しくなる。

 「あれ、もしかして部活見に来たの?」

 そこに立っていたのはショートボブの身長約160前後の女子。 

 「加藤久美先輩探してるんですけど」

 「あ、久美ね。ちょっと待って」

 そう言って美術室に入り「おーい、クミー」と加藤先輩を呼んでくれた。

 「えーっと、初めましてだよね?」

 現れたのは茶色がかった髪の毛が印象的なロングの女子。龍馬の情報の通り可愛い。

 「木村先輩に連れて来いって言われて」

「木村さんか・・・。分かった。ありがとうね恵子けいこ

 恵子と呼ばれた女子生徒に別れを告げ文化研究部部室を目指す。

 部室前まで来るとガヤガヤと中から騒がしい物音が。

 扉を開けると椅子に縛られて髪の毛を弄られているイケメン。もとい龍馬の姿が。

 「助けてくれ、鈴木!食われる!」

 「食べないわよ!あんたの前髪が鬱陶しいからセットしてあげるだけでしょ!」

 「やめろ!この前髪は俺のアイデンティティーなんだ!」

 「どうでも良いけど加藤先輩連れてきたんだけど」

 俺が告げると木村が龍馬に興味がなくなったらしくいそいそと畳の上へ。

 「加藤さんどうぞ」

 向かいの席を勧め加藤先輩もそこに腰掛ける。

 「それで私なんで呼ばれたのかな」

 「この記事に心当たりは」

 そう言って先ほどの記事を加藤先輩の前に置く。

 加藤先輩はどこか困ったような顔を浮かべゆっくりと口を開く。

 「これ、デマだよ」

 その声は自分に言い聞かせるように、そしてこの事には関わるなと木村に対し牽制するように。

 「あなたが隠すのは自由だけど。事実この数日小池学校に来てないよね」

 加藤先輩の表情はうかがえないが、木村の話を聞いた途端一瞬固まった。

 時計の秒針が動く音だけが部室の中でやけに大きく聞こえる。その音はまるでこの緊迫した状況を表しているようにも思える。

 「貴方たちは何がしたいの」

 「これがデマであるって確証と小池の復帰」

 木村の目には嘘の色は見られない。それどころか確固たる意志の強さも見て取れる。

 「信じていいのね?」

 「ええ、もちろん」

 「このことは本当でもあり嘘でもあるの」

 


 新学期が始まってすぐの日いつも通りの午後部室に行ってみると小池君が一足先に来て絵を描いていた。

 「早いね小池君私もすぐ教室出たのに」

 「早く書きたくてさ」

 彼の前には書きかけのキャンパス。そこに描かれているのは洋風な一軒家。なんでも小池君の家の近くにあるらしい。

 私は荷物を置いて水差しに水を入れに廊下へ出た。

 階段の踊り場の水道で水を汲み部室に戻ろうとしたら丁度友達に会って2、3分話してから帰ると慌てている小池君が。

 「どうした・・・の」

 彼の手には私の体操服が握られていた。

 「ち、違う。俺じゃない」

 彼はそれだけ言い残すと鞄をつかみそのまま帰ってしまった。



 「これが真相。でどうしてか掲示板に書かれていたわけ」

 「小池がやったかは分からないと」

 「でも彼じゃないと思う」

 加藤先輩ははっきりと確信を持っているようで、その声音には迷いや疑いなどはない。

 「彼はそんな事するような人じゃない。証拠はないけど断言できるわ」

 加藤先輩が帰った後俺は今まで気になっていたことを木村に聞いた。

 「なんでそんな必死に真相究明してんの」

 「困ってる人が居たら助けるが私のもっとう」

 「不登校の一人や二人いるだろ、それに有難迷惑って可能性もある」

 「ん」

 そう言ってパソコンを渡してくる木村。

 龍馬作成の掲示板の『お悩み相談ダイレクトメール』というコンテンツにメールが来ている。差出人は小池「俺はやっていない。助けて」とそれだけが記入されたメール。

 「この学校の誰が運営しているかも分からないサイトで苗字名乗ってメールしてくるって相当切羽詰ってるって思わない?」

 人助けなんて偽善だ。困っている人に手を差し伸べるなんて傲慢である。彼女もまた偽善者なのだ。

 人は一人では生きられない、しかし結局生きていくのは自分一人だ人生に他人から救いの手なんて差し伸べられやしない。

 俺と木村のにらみ合いを気まずく思ったのかその空気を和ませようと遠藤が話に割って入る。

 「そ、そうだこの後みんなで新しくできたケーキ屋さん行きません?すごく美味しそうで、龍馬先輩は行きますよね!」

 「え、うんそうだね!何なら二人でもいいよ」

 「馬鹿じゃないの、私も行くわよ」

 「鈴木君は?」

 「ああ、行こうかな」

 遠藤の言う新しいケーキ屋さんは何でも東京の有名店の支店だそうで出店の際には雑誌でも大きく取り上げられてたとか。

 先行して騒いでいる先輩組の後ろ3歩を歩く俺と遠藤。やだ俺って大和撫子の才があるかも!

 「鈴木君はどんなケーキが好きなの?」

 と俺と同等の才を持つ大和撫子が声をかけてくる。

 「あんまりケーキなんて食べないからなー。強いて言えばショートケーキ」

 「美味しいよねショートケーキ、私も好きなんだー」

 そんな話をしていると前方を歩いていた二人が目的地に着いたようで「おーい」と俺たちを呼んでいる。

 「今行きまーす」

 遠藤が返事をし走り出す。それに習い俺も後に続く。

 普段と何ら変わりない夕焼け空がこの日はなぜか普段よりも明るく見えた。



 翌日

 美術部部長である今井いまいが文化研究部へと呼ばれている。

 「単刀直入に伺います。小池君が学校に来ない理由に心当たりは」

 「うーん。考えられるのは掲示板かなー」

 「小池君はそんな事をする人でしたか?」

 「わからないな、でも現に近藤さんの体操着を持っていたって話だし。他の女子部員もセクハラされたって相談も受けたことがあるんだよ」

 苦笑しつつ今井は答える。

 「他の部員とは?」

 「それは彼女のプライバシーに関わるからなー。そこは深くは追及しないでくれ」

 その後も木村が2,3質問をぶつけるがどれも当り障りのない事を言うだけで真犯人、もしくは小池の決定的証拠になる発言はなかった。

 「どうするよ、他の部員にも聞くか?」

 龍馬が木村に尋ねる。

 「ううん、昼休みとかに2年の人に聞いたけどあんまり」

 「先生とかは?」

 「美術部の顧問ってあんまり部活出ないらしくてわかんないって」

 「八方塞がりか」

 木村たちが頭を悩ませているのを横目にブレイクタイムを決め込む。

 「木村先輩たち大丈夫かな」

 「何が、好きでやってるんだから本望だろ」

 「違くて、友達とか居なくなりそうじゃない?」

 言われてみれば人の噂を根掘り葉掘り聞いて回っているのなら俺なら確実に距離を置く。

 「私なら人の目とか気になって無理かな」

 木村たちの方をちらりと見るとパソコンを囲みあーでもない、こーでもないと絶賛討論中。まだ諦める様子は伺えない。

 彼女たちの様な人にもう少し早く出会っていたら。

 ふとそんな戯言が思い浮かぶ。

 「佳苗ちゃんーお茶ちょうだーい」

 「はーい」

 その声が耳に入り我に返る。いかん余計なことを考えすぎた。

 しかし、まあ俺も今は一部員なわけで手伝わないわけにはいかない。

 「俺ちょっと出てくるわ」

 そう言い残し部室を後にする。目指すは職員室。

 もし仮に小池の一件が冤罪だとするなら小池が居なくなって一番喜ぶ奴が犯人なわけで、部活という閉鎖的な交友を築く団体に置いては運動部ならレギュラー争い、文化部ならコンテストなどだろう、今回は後者だ。

 職員室に着くと美術部顧問の先生を呼んでもらう。

 「どうかしたのかい?」

 出てきたのは50代風な見た目のおじさん。

 「美術部について聞きたくて」

 「あーこの前来た女子生徒にも言ったけど個人の性格とかはわかんないんだよね」

 「いえ、俺が聞きたいのは一番近い大会がいつなのかなーって思って」

 「ああ、そういう。ちょっと待ってて」

 机の引き出しから紙の束を取り出し持ってくる。

 「これ新入生歓迎の時の奴なんだけど、詳しく書いてあるから」

 手渡された冊子に目を向けると案の定7月の頭に絵画コンクールが開かれるらしい。

 「この7月の高校生美術展ってまだ選出者決めてないですか?」

 「まだ決まってないけど、6月のはじめの方に絵を描き終えてもらえないとダメだから今からだと難しいかな」

 聞きたいことを聞き終え先生にお礼を言い部室へ戻る。

 「龍馬、パソコン借りる」

 「え、いいけど」

 龍馬の了承が得られたのでパソコンを拝借し6月開催の絵画コンクールのホームページへ。

 「さっきから何してるの」

 木村がパソコンの画面を覗き尋ねてくる。俺が操作している横から覗きこんでいる訳で自然とその距離は近くなる。吐息が聞こえそうなほど近づいているから少し距離を取りパソコンを指さす。

 「これは?」

 「前年度の絵画コンクールの入賞者」

 この学校が参加しているコンクールの中で一番大きい大会はこの高校生美術展である。そして前年度金賞は小池、銀賞は今井。

 こういう大きな大会での成績はその人の評価に大きく関わってくる物だ。しかもこの大会は6月までに描き終えなければならず新1年は厳しいものがある。しかし小池はその短い期間で描き、その時2年であった今井より上の成績ここから分かることは一つ。

 「これが原因で今井が小池をはめた可能性がある」

 「お手柄!」

 早速木村が今井を呼び再び尋問が始まった。

 「俺忙しいんだよね、コンクールの作品描かないといけないから」

 「それは分かってます、そこで私たちも色々と調べまわって昨年度の高校生美術展の結果が小池君が学校に来なかった理由だと推測しています」

 今井の目が揺れる。

 「それで誰が犯人だと」

 「今井先輩あなたです」

 はー、っと大きなため息をつきギロリと木村を睨む。

 「仮にそうだとして俺にどうしろと?学校やめればいいのか?」

 「そんな事は思っていません。ただ小池君が学校に来れるよう手伝ってもらいたいのです」

 ガシガシと頭を掻きながら以前高圧的な態度で木村の質問に答える。発言は簡潔にまとめられていて矛盾する点はない。

 「つーか、小池が加藤さんの体操着盗ったのが原因だろ。なんで俺が疑われるんだよ」

 「ダウト」

 「は?」

 俺が言ったことが理解で来ていないようで今井は素っ頓狂な声を出す。

 「もう嘘とかいいから」

 「う、嘘ってなんだよ」

 「なんで加藤さんの体操着の一件を知ってるんだよ」

 「掲示板見れば誰でも知ってるだろ」

 「俺が言いたいのはそこじゃない、何で加藤さんって知っているかだよ」

 ここに居る誰もが俺の言いたいことが分かっていないようで、は?頭でも湧いてんの?みたいな目で見てくる。いや分かれよ。

 「掲示板には美術部のkさんとしか書かれてなかったはずだけど」

 「あ!」遠藤がついに気が付いたようで声を上げる。

 「美術部にカ行の人は加藤さんしか居なんだよ」

 流石にここまで予め話すことを用意されていると犯人臭がすごくする。

 「でも下の名前がkの人はいますよね。たとえば恵子先輩とか」

 「そ、それは」

 「まさか加藤先輩から直接聞いたとか言わないですよね」

 言葉を失う今井。正直イニシャルでkなんて言ったら苗字だと誰もが思う。俺たちが加藤先輩に行きついたのだって龍馬が苗字で判断したからだ、だが何か隠し事をしている奴ほどちょっと揺すれば簡単にその供述が崩れる。

 「あいつが悪いんだ」

 観念したのか犯行を話し出す。

 「あいつが居なきゃ前回俺が金賞で国際展示場に飾ってもらえたのに」

 その眼は俺に向けられているのだがどこか遠くを見据え俺は捉えられていない。

 「唯一の誤算はお前らが嗅ぎまわってたことだな」 

 「なんでこんなことを」木村が問う。

 「俺の2年間が無意味になったって思ったからかな」

 「それで掲示板に嘘を書いたと」

 「そう、それに学校の掲示板なんて少しの人しか見てないと思ったけど割と見ているもんなんだな。ストレス発散のつもりだった」

 彼は根は真面目なのだろう、この一件が解決されどこか肩の荷が下りたようにすがすがしい顔をしている。

 「じゃあ、私たちに協力してくらますか?」

 「俺にできる事なら」

 


 今学校で熱いのは龍馬考案『美男美女投票』第一回は龍馬の独断と偏見。が誰もが認める人選である。

 選ばれるのはトップ3のみ全校生徒で1000人近いこの高校において選ばれなかったとして特に気に病む人は居ないだろう。逆に選ばれれば有頂天だ。

 「これなんで私入ってないわけ」

 いや、ここに一人入らなかったことを気に病む人が居た。

 「え、逆に入ると思ってたの?」

 「身内が審査員なんだから票の操作とかできるでしょ」 

 「香、美女じゃないじゃん」

 ふん、という掛け声と共にボディーブローを決められ悶える龍馬。学習しない奴だな。

 「それはそうと君たちはどうするの」

 急に問われ何のことか理解できなかったが、よくよく考えれば今週で4月も終わりである。

 「わ、私は入ろうかなって」

 木村が遠慮がちに話す。

 「先輩たち見ててカッコいいなって思って、それで私もそんな風になりたいなって」

 えへへと恥ずかしそうに遠藤が。

 「鈴木は?」

 今回の一件調査している分には面白かったし何よりこの部活の雰囲気が好きだ。2馬鹿を見つつ遠藤と話すこの環境が。だから答えは既に決まっている。

 「俺も入るよ。なんたって救世主だから」

 遠藤は何の話か分からず、きょとんとしているが木村はしっかりと理解している様で嬉しそうに笑っている。

 「改めて。ようこそ文化研究部へ!」

 


お読みいただきありがとうございます。

やっぱり創作はたのしい。

我ながら文才ないなーと痛感させられましたが創作自体が好きなので気にしない!

また読んでいただけたら幸いです。

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