1話
………………
ここはどこだろう。
目を覚ますと俺は見覚えのない場所で仰向けになっていた。
一瞬拉致られたかと思ったがそんなはずはないと自分で否定する。
うちには身の代金を払う余裕なんてないし、家族は多分脅されても気にもしないだろう。
面倒だし後で良くね?
みたいな雰囲気になりそうだ。
ゆっくりと体を起こし、辺りを見回してみる。
20立方メートル程で、壁の材質は…コンクリートみたいな感じだが、なんとなく違和感を感じる…。
触れてみると確かにコンクリートの感触ではなかった。
ますますここがどこだか分からなくなってきた。
辺りをもう一度見回してみると、ふと何かあるのに気付いた。
見た感じは本みたいだけど何でこんな所にあるんだ?
不思議に思い手にとってみると、表紙には次のように書いてあった。
『はじめてのダンジョン(かみのひ☆ま☆つ☆ぶ☆し☆)』
…………………は?
ダンジョンって迷路があったり、モンスター作ったり、魔王居たりするやつ?
何で俺が?
…いろいろ聞きたいことはあったがひとまず読んでみることにした。
いや、したんだか………
長いッッ、長過ぎる。
新手のいじめか?
そう思えるぐらい長かった。
あんまりにも長いので要点を纏めると次みたいな感じだった。
・俺達は神の暇つぶしでダンジョンマスターにされた(…殺されてぇのか神)
・ダンジョンはDPで拡張出来る
・DPは生物を殺傷して獲られる
・逆に自分が殺されたらゲームオーバーでダンジョン諸共消滅する
・ダンジョンは2週間で解放される
…あまりにテンプレ。うん。何も言うまい。
はぁ。
こんなとこでいじけたってしょうがないし、とりあえず作ってみるか。
本によると呟くだけで操作できるらしい。
「メニュー」
呟いた瞬間に俺の目の前にウィンドウが浮かび上がる。
ダンジョン広げたり施設追加したり出来るけど……
やっぱり最初はクリーチャー作成かな?
だってどんなのが居るか気になるじゃんか。
「クリーチャー」
呟くと償還出来るクリーチャーが表示される。
おぉー、やっぱいろんなのが居るのか。
『モンスター』
ってカテゴリーには、ゴブリンやらオークやらダンジョンの定番がいた。安いけど比較的弱い奴らが多いみたいだ。
『アンデット』
ってカテゴリーにはゾンビなどのこれまた定番のヤツら。こんなヤツらに囲まれてダンジョンやったら自分までヤられそうだ。
『龍』
というカテゴリーにはワイバーンみたいな比較的小型のから街ぐらいの超巨大なのまで幅広くいた。単体でも脅威だがDPを多く消費してしまう。
…どれもこれも一長一短だな。
しかもテンプレだし。
なんか他にいいのは無いのか?
そう思って見ているとカテゴリーがもう1つあるのに気がついた。
『ランダム』
…いや、これカテゴリーじゃねぇだろ。