⑨おじさん結ばれる
夢を見ていた。
中学生になりたてで怖い人に告白されてどうして良いか分からず泣いていた私。
その横には体格の良いおじさん
全てを聞いた上で
〜勇気を出して断りなさい!
君の運命の人が待っているのだから
その人の為に強い意志を示しなさい!
これと思う人が現れたら不器用でも全力でぶち当たりなさい。
きっと受け入れてくれるさ
運命の人なんだから⋯⋯〜
そう語るおじさんの胸には【前田友作】と書いてあった。
何か騒々しく目を覚ますと時計は9時⋯⋯
扉からはトモトモの声⋯⋯
「えっ帰ってくる早すぎない!?」
部屋のベルを押しても反応ないから静かにミサを呼びかけながらノックする。
「トモトモもう帰ってきたの?布教活動は?」
「色々あって疲れたから帰ってきたよ」
「少しゴタゴタしてるから時間を潰してきてくれる?」
「疲れているし何よりミサの顔見たい」
扉越しに悶えているのが感じられる。
鍵が開き部屋の中へ入ると服が散乱していた。
「トモトモを悩殺しようと服選んでたの⋯⋯」
あのミサの可愛らしい一面にたまらなくなり抱きしめてキスをした。
※読者の想像にお任せします。
散乱する服の中一つの毛布にくるむ俺たち
「時がみえたわ⋯⋯」
どんな時かは分からないけど2人の幸せなら良いな⋯⋯。
「【前田友作】さん全部貴方のお陰でありがとう〜」
「えっ前田友作?」
「ごめんなさいトモトモと居るのに他の人の名前出してしまって⋯⋯」
そう言えばお互い本名を名乗ってない事に今気が付いた。
「その人は大事な人?」
「ちょっと違うかな?私が恐怖で震えている時に励ましてくれて勇気をくれて今の私になるキッカケをくれた恩人?
⋯⋯初恋の人かな?」
「マジか⋯⋯」
俺は近くにある俺のジーンズから財布を出して免許を取り出すと
「【前田友作】ことトモです」
「え?え?え?どういこと?」
「それ俺も知りたい!いつの話?」
「二十年前の春、公園で泣いていて⋯⋯」
記憶を辿ると
「あのコがミサなの!?
確か不良か何かに告白されて震えてた」
「うんそう!
え?私の初恋の人が最愛の人で結ばれたの?」
「そうなるね⋯何で名前知っていたの?」
「名札付けていたから」
となると今のミサを決定付ける何かを語って励ましたって事はストーカーされて恐怖したのって自業自得!?
「運命の人だ♡」
胸に顔を埋めるミサの頭を撫でると顔を上げて見つめるので口づけして再び⋯⋯
※読者のご想像にお任せします、その2