地殻変動呉越同舟
「総理、日本海の地殻変動が活性化しているとの報告が地震先端科学研究所から来ています」
「それは、どういう影響があるのかね」
「朝鮮半島が中国から切り離されて島になる可能性があります」
朝鮮半島が島と化してしまった。中国からの陸路の補給が期待できない北朝鮮の苦境は想像に難くないが、1つの島に分断された2つの国だけがある状態はかなり特殊だ。
「総理、やはり朝鮮半島いや、朝鮮島ですね。いろいろ混乱しているようです。まさに呉越同舟」
「言葉遊びは止めたまえ。とりあえず日本は静観するしかなかろう」
「ごもっともです」
そこに若い男が駆け込んでくる。
「そ、総理、大変です。朝鮮島の地殻変動が激しく、横向きになって本州に接岸しました」
茫然とする総理。
「北朝鮮は新潟あたりかのう。北朝鮮への密輸をしていた連中は楽になるのう。ハハハ」
「総理、冗談を言っている場合ではありません。日本は今まで国境を持ったことが無いため国境警備ができずあちこちで混乱が起きています」
「もう、国境を諦めて全部で1つの国にすれば良いんじゃないの。ハハハ」
「ダメだ。総理が壊れている。防衛大臣、自衛隊を日本海側、いや国境に配備してくれ」
「もう、やっていますが、国境が長すぎてカバーできていません」
「チリよりはましだろう、気合で何とかしろ!!」
「無理です。アメリカの支援はまだですか?」
「全て無視されているようです」
「フォッフォッフォッ、お困りのようですな、諸君」
「あ、あなたは、地震先端科学研究所の狂島教授」
「そうじゃ、この地殻変動はわしは予知できておった。この日に備え日本海岸全てに大量の爆薬をしかけておったのじゃ、このスイッチを押すと朝鮮島は再び分離されるのじゃ」
「お、お願いします!!」
「ポチッと」
再び単独の島となった日本は激しい地殻変動変動に引き摺られ太平洋の海溝に沈んでしまった。もともと日本があった位置には朝鮮半島いや朝鮮島が安定して存在するようになった。周りから完全に分離されたこの島は幾つかの内紛があったものの、しだいに落ち着き、世界で一番平和で治安がよい国になったそうな。
めでたしめでたし。