7.5許
レオン視点回想続き
まさかの出会いに内心の動揺を押し隠し、顔を見られないよう、俯きながら座った。
どうやら今日の彼女は飲みたい日らしい。
そっと話を聞いていたが、ガラの悪い奴とやらに怒りを覚えた。
許可無く女性に触れるなんて、男の風上にも置けないやつだな。
今度、昼休みに彼女の定食屋に行ってみるか。
いや、ダメだ。
一度一緒に飲んだからといって、職場まで押しかけていたら、ただのストーカーじゃないか。
やめよう。
彼女が危険な目に遭わないよう、しっかり取り締まりを強化しよう。
ふと、彼女が気怠げに顔を上げ、俺と目が合った。
ヤバい。
彼女がこちらを見ていないのをいいことに、俺はずっと彼女を見ていたのが仇になった。
今嫌悪を向けられたら、立ち直れない気がする。
ああ、罵声を浴びせられないだけマシかもしれないな。
顔をうつむかせながら、何を言われるかと戦々恐々とし俺は落ち込んだ。
俺が毎朝巡回中に彼女を見ているなんて知られたら、それこそ恐怖だよな
いつまで経っても罵声は聞こえてこない。
そっと顔を上げると、彼女は顔を赤く染めてアレクの事を神の様に格好良いと言っていた。
そうか、俺なんか視界にも入らないよな
昔からこれが当たり前の反応だ
心の奥底がズキリと痛む
俺はいつの間にか彼女の事を好きになっていたのか
友人を格好良いと言う彼女を見ていられず、顔を背けた。
あの笑顔を俺だけのものにしたいなんて、俺はなんて浅はかなことを考えるようになったんだ
この顔じゃあ、どれだけ愛を乞うと叶わぬ夢なのは分かりきっている
ただ、あの笑った顔が脳裏に焼き付いて忘れられない
こんな醜い俺だが、心の中で貴方を想うことは許されるだろうか