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3.違

「エマちゃん、これ2番テーブルのお客さんにお願いね!」


「はーい、おまたせしました!」


「エマちゃん、ビールおかわり!」


「エマちゃんこっちも2つビール追加で!」


「はーい!ただいま!」




昼時は目が回る忙しさだが、看板娘としてそれなりに頑張ってはいる






いつもニコニコ笑顔は忘れない!






「今日のエマちゃんも笑った顔が可愛いなあ」


「俺、今度デート誘ってみようかな」






どこかで、そんなヒソヒソ声が聞こえるが、残念ながらあまり嬉しさは込み上げてこない。


何故なら、彼らは私の好みの顔ではないからだ。






別にどこの高飛車な女だって事ではなく、単に顔の造形、美醜の好みが違うってだけで。






確かに私は看板娘というだけあって、笑うとなかなかに可愛いらしい。


美人!って訳ではないが、それなりにモテる?らしい。






可愛いと言われると悪い気はしないが、鏡で自分を見るたびに思う。






そうか?そんなに可愛いか?






何ていうか、普通。


ぱっちりお目々があるわけでも、高い鼻って訳でもない。


特徴の無い普通の顔。

要は有りがちな日本人顔。


笑ったら目なんて線のように細くなる。






そう、

前世とあまり顔は変わっていない。


髪色が違うだけで。






可愛いと言われるたびに、ずっと違和感があったが、前世を思い出した今ならわかる。納得した。


美醜の感覚が前世とは違うのだ。






だってそうでしょ?


目は細く、低い鼻、平坦な顔が美人の基準ですよ、なんて誰が教えてくれる。






私の育った村では、成人後直ぐに結婚して家庭に入る女性が多い。


私もそういうものだと思っていたし、そうなると思っていた。






が、一つ問題があった。


美醜の感覚が前世と違うせいで、ときめく男性に出会えなかったのだ。






村の女の子達と恋バナで盛り上がろうにも、

「隣の家の太郎君は潰れた鼻がチャームポイントだよね」とか、

「幼馴染みの二郎くんは線のように細い目が素敵すぎる」と言われても、

共感がもてずに盛り上がれなかった。






今思えば、ただ単に、前世の感覚に引きずられていただけなのだが。


当時は、皆それぞれ好みが違うんだな。


と無理に自分を、納得させていた。






だってそうだろう。


いきなり友人に、見るも耐えない顔の男の人が好きだと言われて、引かない人などいるだろうか?


私なら友人の頭を心配する。






なので家族に心配かけまいと、現世でいう不細工好きということは誰にも話せなかった。






特にこの世界は美醜に厳しい気がするし

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