洞窟にて
アイルは体をゆすられて眠りから覚めた。彼が目を開けると、アリアが彼の体をゆすり、上から顔を覗き込んでいた。
アイルは瞼をこすりながら体を起こした。
彼は激しい雨音に気がついた。洞窟の外を見ると、土砂降りの雨が降っていた。洞窟の庇からは、滝のような勢いで雨水が滴り落ちていた。
彼が毛布をはだけると、ひんやりした外気に体をさらされて、彼は肌寒さを感じた。
彼が起きると、他の仲間たちはみなすでに目を覚まし、アイルを注視していた。
テオは、洞窟の奥を指さした。その先には褐色のエルフがいた。彼女もまた眠りから覚め、今は体をおこし、洞窟の最奥部から、そのグリーンの瞳でアイルのことをまっすぐ見下ろしていた。
彼はそう言い、立ち上がった。オールの漕ぎ過ぎで上腕の筋肉がまだ痛んだが、体の他の部分については疲れが取れていた。
彼らは荷物を背負い洞窟から出た。強い雨が一瞬のうちに彼らをずぶ濡れにした。外は真っ暗闇に閉ざされていた。斜面の草地は水を吸いところどころに川ができており、歩くとすぐに靴の中まで水びだしになった。
彼は船まで歩いた。小舟の中には水が溜まっていた。彼らは手で水を掻きだして、船に乗り込み、強い支流の流れに船を漕ぎ進めた。
彼らは夜じゅう船を進めた。雨水が船の底にすぐにたまるので、彼らは一晩中ずっと水を掻きださなければならなかった。幸いなことに夏の雨は生ぬるく、さほど体温を奪うほどでもなかった。
遠くで激しい雷鳴がとどろき、時々炸裂する稲光が一瞬だけ周囲の森を青白く照らし出した。
男たちは船を漕ぎ続けた。雨に濡れた木製のオールが水に濡れふやけて柔らかくなった。
やがて夜は白んでいき、雨も止んだ。川は濃い霧に覆われた。この濃霧の中ならば、朝の早いうちなら多少は進行できるだろう。
アイルはルイとオールを交代し、上着を脱いだ。そして服を絞って水を絞り出した。
【アリア】「いいなあ、男は丸裸になれて」
アリアがそう言った。
テオは立ちあがり、服を脱ぎだした。そして胸をはだけ、服を絞った。
【テオ】「あなたたちも服を乾かしたほうがいいわ。もう裸を見られるとかいってる場合じゃないでしょ」
女たちは彼女に習い服を脱いだ。男たちは、なるべく前方のあらぬ方向を向いていた。