表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/12

洞窟にて

 アイルは体をゆすられて眠りから覚めた。彼が目を開けると、アリアが彼の体をゆすり、上から顔を覗き込んでいた。

 アイルは瞼をこすりながら体を起こした。

 彼は激しい雨音に気がついた。洞窟の外を見ると、土砂降りの雨が降っていた。洞窟の庇からは、滝のような勢いで雨水が滴り落ちていた。

 彼が毛布をはだけると、ひんやりした外気に体をさらされて、彼は肌寒さを感じた。

 彼が起きると、他の仲間たちはみなすでに目を覚まし、アイルを注視していた。

 テオは、洞窟の奥を指さした。その先には褐色のエルフがいた。彼女もまた眠りから覚め、今は体をおこし、洞窟の最奥部から、そのグリーンの瞳でアイルのことをまっすぐ見下ろしていた。



 彼はそう言い、立ち上がった。オールの漕ぎ過ぎで上腕の筋肉がまだ痛んだが、体の他の部分については疲れが取れていた。

 彼らは荷物を背負い洞窟から出た。強い雨が一瞬のうちに彼らをずぶ濡れにした。外は真っ暗闇に閉ざされていた。斜面の草地は水を吸いところどころに川ができており、歩くとすぐに靴の中まで水びだしになった。

 彼は船まで歩いた。小舟の中には水が溜まっていた。彼らは手で水を掻きだして、船に乗り込み、強い支流の流れに船を漕ぎ進めた。


 彼らは夜じゅう船を進めた。雨水が船の底にすぐにたまるので、彼らは一晩中ずっと水を掻きださなければならなかった。幸いなことに夏の雨は生ぬるく、さほど体温を奪うほどでもなかった。

 遠くで激しい雷鳴がとどろき、時々炸裂する稲光が一瞬だけ周囲の森を青白く照らし出した。

 男たちは船を漕ぎ続けた。雨に濡れた木製のオールが水に濡れふやけて柔らかくなった。

 やがて夜は白んでいき、雨も止んだ。川は濃い霧に覆われた。この濃霧の中ならば、朝の早いうちなら多少は進行できるだろう。

 アイルはルイとオールを交代し、上着を脱いだ。そして服を絞って水を絞り出した。


【アリア】「いいなあ、男は丸裸になれて」


 アリアがそう言った。

 テオは立ちあがり、服を脱ぎだした。そして胸をはだけ、服を絞った。


【テオ】「あなたたちも服を乾かしたほうがいいわ。もう裸を見られるとかいってる場合じゃないでしょ」


 女たちは彼女に習い服を脱いだ。男たちは、なるべく前方のあらぬ方向を向いていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ