南の島で 2
「シャル。もう大丈夫か?」
「流石にもう大丈夫。」
宿屋に着き、まずシャルを休ませた。
今回の宿はセキュリティが良いらしく、心配せずに男女別に部屋を取れた。
まぁ、心配は心配だから隣の部屋にしたのだが。
「じゃあ、取り敢えず明日からの予定を確認しよう。」
「明日は俺の実家に行くんだったよな?」
自分は頷いた。
「今回の調査の拠点として、安全が確率された場所が必要だ。一般の宿だって完璧には信用しきれない。だからといって警察や軍の施設を利用するという事にはならない。アナテルは異世界犯罪が多発しているし首都から遠く離れている。反政府勢力が活動するにはもってこいの場所だ。軍も警察も当てにはならない。」
自分の村でも警察が奴等とのグルだった。
地方に行けば行くほど公的機関は当てにはならない。
「俺の実家はアナテル自治区の都市部にある。両親はその近くで漁師をしている。ここからそう遠くは無い。」
「でも、しばらくご両親とは連絡を取っていなかったんてしょ?本当に大丈夫なの?」
シャルの言う通りだ。
人の考えなど時が経てばいとも簡単に変わってしまう。
反政府勢力の考え方に靡いていないか心配なところではある。
予め、トマスの両親について話を聞いていたが、安心はしきれない。
「ま、お嬢さんの言う通りだな。だからいかに両親と言えど、最大限警戒して行くつもりだ。だから今回なんの手紙も送ってない。そうすればいきなり奇襲を受けるなんてのも無いだろうからな。」
「お嬢さんって言うな!」
トマスはシャルの事をお嬢さんと呼ぶ。
何故そう呼ぶのかは分からないが、からかっているのだろう。
だが、後で警告しておこう。
シャルは怒らせない方が良いと。
だが、トマスの行動は大変助かる。
もし、彼の両親が異世界犯罪に加担していたり反政府勢力と通じていたら訪れた途端いきなり襲われかねない。
実の息子を殺すような事は無いとは思うが、念には念をだ。
そうなってしまえば、いきなりハードモードだからな。
「まぁ、少佐が念の為に現地の協力者を手配してくれてるそうだから、最悪はそっちを拠点にするって事だな?」
「そうだな。まぁ、最初に顔だけ出してから行った方が良いかもしれない。明日は情報収集がてら先にそっちに行くか。」
2人が頷く。
これで、取り敢えず明日の最初の予定は立った。
「まぁ、現地の協力者も自分達が来ることは知っている筈だが、情報が漏洩していた場合は逆に待ち伏せされている可能性がある。慣れぬ土地で不安要素が多いから油断せずに行こう。」
「ええ、頑張りましょう。」
シャルもやる気だ。
もう無茶な事はしないだろうし、安心して任せられる。
「……もう無茶な事はしないし、危なかったらすぐに助けを呼ぶようにするから……。」
シャルが近付き耳打ちをしてくる。
少しだけドキッとした。
が、最後だけ殺気に満ちた声だった。
「着替えを覗いたら殺すから。」
「あ、はい。」
トマスは訳が分からないという顔をしている。
頼むから訳が分からないままでいてくれ。
シャルの下着姿を見たと知られればトマスから白い目で見られるかもしれない。
それに、シャルにも殺される気がする。
下着姿を見られた事を言いふらされて良い気分な人は居ないだろう。
「じゃ、じゃあ何かあったらすぐに呼べよ。すぐに駆けつけるから!じゃあな!」
そのままトマスを無理矢理引きずり、シャルの部屋を後にする。
なんだか疲れたので自分も今日は早く休むとしよう。
明日も明日でやることがいっぱいだ。
休めるうちに体を休めなければな。
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