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違和感の正体 1

「すいませんでした……。」

「分かればよろしい。」

 自分は今正座をしてシャルの説教を受けていた。

 既に数時間は正座している。

 説教の内容は嘘をついたこと。

 信用していない事。

 容易に尾行されている事。

 その他諸々であるを

 そう、シャルは自分の後を尾行してきたのだ。

 つまり、あの時自分が研究所にいたこともバレていた。

 やはり、あの台詞は自分をビビらせる為だったらしい。

 なぜバレたかと言うと気配がダダ漏れだったようだ。

 気配とかよくわからんのだが。

 先に手紙を見つけていたから一芝居打ったらしい。

 まんまと騙されたようだ。

「因みに向こうはどうなったんだ?」

「お父さんが調べてくれるって。何か分かったら手紙くれるって言ってたわ。」

 なるほど、情報屋のシャルルならば直ぐに分かるだろう。

 ならば、任せておいても大丈夫そうだ。

 ならば、シャルも来てくれた事だし、こちらの調査に本腰を入れられる。

「じゃ、行くか。」

 立ち上がろうとするが足に力が入らずよろけてしまう。

「おっと!」

「きゃぁっ!」

 足が長い正座のせいで痺れて立てなかったのだ。

 そして、最悪にもシャルを押し倒す形になってしまった。

「す、すまん。」

 殴られるのを覚悟する。

 が、拳が直ぐに飛んでくることはなかった。

「……早くどいてよ。」

「あ、ああ。」

 直ぐにどく。

 足が痺れているが根性で立ち上がる。

 殴られたくは無い。

 そして、シャルは少し顔を赤らめていた気がする。

 だが、シャルの顔を見るといつも通りだった。

 気のせいだったのだろうか。

 既に日も落ち始めているし暗くてよく見えなかった。

 やはり気のせいだったのだろう。

「で、今日はどこに泊まる予定なの?」

「ああ、近くに宿があったからそこに泊まる予定だ。」

 シャルを町へと案内し、宿へと導く。

 既に部屋はとってある。

 勿論自分の分だけだ。

 宿に行き、追加で部屋を取れるか心配だったが、難なく取ることが出来た。

 その日は取り敢えず夕食を取り、解散することにした。

 解散と言っても隣の部屋なのだが。

 夕食の途中、シャルから首都で強盗に襲われたが顔面を殴って無力化したと聞いた。

 それを聞き、まず怒らせないようにしようと思ったが、そこでまた違和感を感じた。

 その場では特に何もしなかったが部屋に戻ってからしばらく考えてみた。

(あの飲食店で襲われたのはシャルだった。あの男達は何故シャルを殺そうとした?それに何故『男達』だったんだ?仲間がいたとは聞いていない。それにまずシャルを刺そうとしたのは後から来た男だった。仲間か?だとすれば組織的な犯行だ。仲間が捕まるのが嫌だった?いや、だとすればあんな人通りのある場所で決行するとは思えないし。そんなことをすれば仲間だと言っている様な物だ。そんな軽率な行動は起こさないだろう。)

 やはりずっと感じていた違和感の正体はここだ。

 自分の怪我もあったしその後は警察が対応してくれたのでスルーしていたがやはりそこが少しおかしいのだ。

(そうだ。警察だ。あれほどの事件、もっと噂になっていてもおかしくはない。事情聴取をしたのならば奴等が組織的な犯行だったということは容易に推測して調査が入る筈だ。なのになんの情報も入ってこない。そもそも捜査をしていない?では、何故だ?まさか警察がグル?もしそうならば揉み消す事も出来る。そう考えれば鉄球を渡した男の情報が偽造された物だと言うのも頷ける。そして、シャルがまた襲われた。偶然とは思えない。つまり、狙いはシャルか。もしくはシャルを人質にシャルルを狙っているのか。どちらにせよシャルの身が危ないのは確かか。)

 そうこう考えていると隣のシャルのいる部屋から凄い物音が聞こえた。

 普通に暮らしていたらあんな音はしない。

 最悪状況が頭をよぎる。

 シャルが襲われる光景が。

 急いで部屋を出る。

「シャル!大丈夫か!?」

「……え?」

 無我夢中でシャルの部屋の扉を開けると下着姿で転んでいるシャルが居た。

 やはり、胸は無い。

 ハンガーラックが倒れ、辺りには服が散らかっている。

 そして、シャルは半分ズボンを履いていた。

 いや、恐らく着替えるためにズボンを履こうとしたか、脱ごうとしていたのだろう。

 で、バランスを崩しハンガーラックに掴まった所、ハンガーラックにはキャスターがついていたのでそのまま転んだというところだろう。

 そして、シャルの顔は真っ赤である。

 情けない所を見られた事か、それとも下着姿を見られたことなのか。

 どちらにせよ自分の運命は決まっている。

「……何冷静に観察してんだ!あんたは!」

「……失礼しましたー……。」

 静かに扉を閉める。

 よし、取り敢えず部屋に戻って遺書でも書いておくか。

 部屋に向かおうと振り返ると後ろの扉が開いたのを感じる。

「……ん?ぐっ!」

 突如として視界が奪われる。

 何かで目隠しされたようだ。

 そのまま部屋に連れて行かれる。

「おい、何か弁明は?」

「……眼福でした。」

 すると、目隠しがきつくなる。

「ごめんなさい!嘘です!」

「じゃあ、眼福でも無いってか!?」

 更にきつくなる。

 どうすれば良いのだろうか。

「と、取り敢えず無事で良かった!」

「あんたに見られて無事と言えるか!」

 

「で、どういうこと?」

「……お前が襲われてるのかと思ったんだよ。」

 落ち着きを取り戻したシャルに何故か問われる。

 あの後何とか落ち着かせ、服を着るのを待ってから事情を説明しようとしていた。

 自分がシャルの部屋に突入した時の様子がどこかいつもと違うというのでシャルも何かあったのだと理解してくれた。

「こんな宿屋で襲われることなんてないでしょ?」

「いや、用心に越したことは無い。」

 自分は先程考えていた仮説をシャルに伝えた。

「……なるほどね。それなら腑に落ちるところもあるか。」

「ああ、それを考えている時にあんな物音がしたんだ不安にもなるだろ。」

 すると、シャルは少し顔を緩ませる。

 心配されて嬉しかったのだろうか。

 しかし、すぐにそっぽを向かれてしまった。

「ま、まぁ心配してくれたことには感謝しておくわ。ありがとう。」

「何かあったら大声で自分を呼んでくれ。絶対にすぐに駆けつけるから。」

 これ以上自分の周囲で親しい人者を失いたくは無い。

 誰かを護れる為に強くなるんだ。

「……分かったわ。じゃ、今日はもう遅いし寝ましょう。」

「ああ、そうだな。あ、最後に誰かに襲われたら分かるようにちょっとした罠を仕掛けておいても良いか?」

「罠?」

 あんな仮説を思いついてしまった以上、安心して朝を迎えられそうにない。

 寝る前に少し細工をしておきたい。

「ああ、紐を張っておいてそれに引っかかったら鈴がなる仕掛けとかどうだ?」

「……面倒臭い。それよりもっといい方法があるんだけど。」

 なんだろうか。

 まるで思いつかない。

「一緒の部屋で寝れば良いじゃない。」

「……なるほどな!」

 それは盲点だった。

 てっきりシャルは自分と一緒は嫌だと思っていたのだが、シャルがそう言うのならそうしよう。

「……もうちょっと躊躇いなさいよ。」

「え?なんか言った?」

 実は聞こえているのだが。

 やはり本心は嫌なのだろうか。

「何でもない!女将さんに言ってベッドが2つの部屋に変えてもらいましょう。」

「ああ、自分が行ってくる。待っててくれ。」

 さて、何事もなく夜を明かせられれば良いのだが。

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