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違和感 1

 退院してから数日が経った。

 怪我自体はそれほど酷くは無かったので退院してからは直ぐに仕事に戻った。

 シャルに任せっきりになっていたので、どうなってるか心配だったが、それは杞憂だったようだ。

 逆に部屋は更に綺麗になっていた。

 依頼も特に無く、他の異世界人の情報が入ってくることもなかったので、彼女も暇だったのだろう。

 あの鉄の玉についてだが、元の持ち主の名前は偽名だったらしく住んでいるという場所にシャルが行ってみたらしいのだが、そこは空き地だった。

 周辺住民に聞くと昔から空き地だったとのことで、店を襲った犯人は偽の住所を聞かされていたのだろう。

 警察も被害を出したわけでも無い人物の捜査なんかするわけもなく、手掛かりは途絶えたかと思えた。

 が、思いもよらぬところから手掛かりを発見したのだ。

「で、その手掛かりって何?」

「あぁ、病院でこの本を読んでたんだけど……。」

 今はシャルを研究所に呼び、新たに得た手掛かりについて話していた。

 異世界記録のページをパラパラとめくる。

「あ、これこれ。」

 ページをめくるのを止め、該当の箇所を指差す。

「鉄球を1000℃に熱して氷(その他諸々)の上に落とすという動画が流行っていたらしい?何これ?」

「あぁ、動画というのは……説明が難しいな。」

 自分は本から得た知識で動画について説明した。

「へぇー、異世界って凄いね。そんなことが出来るなんて。」

「あぁ、本当にな。」

 自分自身、説明していてあり得ないと思ってしまっている。

 写真と言うものもまだしっかり理解できていないのに動画とかいう情報も入ってきて頭がパンクしそうだ。

 異世界の情報はインパクトがありすぎる。

「で、この鉄球。それっぽくないか?」

「うーん……。まぁ、確かに異世界人で鉄球となると一致しそうだけど……。そもそもこんな鉄の玉どうやって入手するの?それにこの世界で1000℃まで熱する道具なんてあると思えないし……。」

 まぁ、その疑問はごもっともだ。

 この資料ではガスバーナーとやらで熱していたそうだが、この世界にそんな物は無い。

「その鉄球が黒く変色してるのは熱した事による酸化だと思う。だからやったこと自体は確かだと思うんだ。それと鉄球の出所はなんとなくなら分かるかもしれない。それと1000℃まで熱する道具が簡単には使え無いから飽きて店を襲ったやつにあげたんじゃないか?」

「……なるほどね。で、出所って?」

 まぁ、それはまだ予測の段階だ。

 今は言わなくても良いだろう。

「まぁ、それは追々。確信が持てたらな。」

「……まさか1人で調査するつもり?」

 シャルに睨み付けられる。

 怪我をしてないから暴力を振るわれるかもしれない。

 純粋な力で言うと向こうの方が上なのだ。

 情けないことに。

「いや、別の路線で調査しようと思ってね。」

「別の路線?」

 シャルは首を傾げている。

「ああ、1000℃まで熱せなくてもかなりの高熱にしなくちゃならんだろ?そんな道具この世界でも数が限られるんじゃ無いか?」

「なるほどね!じゃあ、そういう機械を扱っている業者を当たるってことね!」

 頷き、肯定を示す。

「あぁ、もしかしたら自作している可能性もあるからそういうのも含めて調べようと思ってる。」

「……じゃあ、手分けして探してみましょう。お父さんにも聞いてみる。……絶対無茶しないでよ。」

 睨み付けられながら頷く。

 睨み付けながら言う台詞ではないと思うのだが。

 シャルは席を立つとそのまま研究所を出ていった。

「……さてと。」

 席を立ち、大きく伸びをする。

「シャルには悪いが、勝手に動かさせてもらうとするか。」

 これから向かう先はもしかしたら危険かもしれない。

 それにシャルを巻き込む訳には行かないからな。

 まぁ、出来るだけ早く帰れるようにしよう。

 シャルに殴られたくは無いし、気付かれない用にしなくては。

 しかし、何か違和感がある。

 だが、その違和感が何かは分からないのだ。

 何か、見逃している気がするが……。

 まぁ、良いか。

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