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初めての仲間 3

「……ここは。」

 目が覚めると見覚えの無い天井だった。

「やっと目が覚めたのね?そのまま死ぬのかと思ったわ。」

 自分はベッドに寝かされており、その横にはシャルがいた。

「あんた丸一日寝てたのよ。」

「一日!?」

 自分では気が付かなかったが、相当疲れていたのだろうか。

 あの傷はそこまで深くは無かった。

 と思う。

 ほんの数時間で目を覚ますのだろうと思っていたのだが……。

「ここはあの現場の近くの病院よ。急いで搬入したの。」

 詳しく話を聞くと付近の警察が駆けつけてくれたお陰であの犯人達は連行され、自分はシャルに病院へと連れていかれたらしい。

 犯人達は既に事情聴取を受けており、転生者ではない事がわかっている。

 だが、サン・ジョルジュを襲った奴等ではあったらしい。

 というか複数犯だったのか。

「でも、この鉄の玉の出所は分かったわ。」

 シャルは懐から鉄の玉を取り出す。

「何でも異世界人の友人から貰ったもので、遊び終わってもういらないからあげるとかって言われて貰ったらしいの。」

 ここで異世界人が絡んでくるとは。

 その人物を当たれば何か分かるかもしれない。

「まぁ、店に投げ込んだのは只のいたずららしいわ。」

「そうか……。」

 結局犯人は異世界人では無かったが、手がかりは掴めた。

 そこから探っていけば良いだろう。

「……ねぇ、あんた私に何も言わないの?」

「……何か言って欲しいのか?」

 シャルの気持ちは理解出来る。

 この怪我はシャルが原因なのだ。

 思うところはあるのだろう。

「……はぁ。私があんたを遠ざけたりしなければそんな怪我負わなかったでしょ?あんたは私を叱って良いんどけど?」

「そうか、なら。」

 体を起こし、シャルを見つめる。

 腹は少し痛むがそこまで酷くはない。

 手を出すと、殴られると思ったのかシャルは目をつぶり萎縮している。

「……。」

 目をつぶっているのを良いことに焦らしてみる。

 が、流石に可哀想に見えてきたのでそっと頭に手を置く。

「……え?」

「殴られると思ったか?」

 シャルは静かに頷いた。

 若干泣いている。

 何かトラウマでもあるのだろうか。

 ちょっと悪い気がしてきた。

「良いか?誰でも失敗はあるんだ。お前は自分以上に修羅場を潜り抜けてきたかもしれない。だからって自信過剰になったら今回みたいな危険が生じてしまう。今回、自分が居なかったら本当に危なかったぞ?とにかく、無事でよかった。無事で良かったのに殴って怪我させたら意味わからんだろ?」

 シャルは静かにこちらの話を聞いている。

 少し上から目線過ぎたかもしれないが話を続ける。

「……まぁ、失敗は成功の元だ。恥なんかじゃ無いさ。これを糧に更に成長していけば良い。」

「……うん。」

 やけに素直だ。

 これまでの様子からだと、演技では無いかと疑ってしまう。

 少し怖くなってきたので、手を離す。

 すると、間を置いてからシャルは踵を返す。

「せ、せめて何かさせて!そんな怪我させて何も無しっていうのは私がキツイから!」

「あ、あぁ。じゃあ自分がここを出るまでの間、研究所の留守を頼むよ。あとお菓子の差し入れと……あ、研究所にある本を持ってきてくれ。」

「……注文多くない?」

 マズい。

 少し調子に乗りすぎてしまったか。

「まぁ、分かったわよ。」

「お、おう。」

 シャルはそのまま部屋を出ていく。

 かと思うと立ち止まり、口を開く。

「そ、その……ありがとう。助けてくれて。」

「ん?何だって?」

 すると案の定シャルはキレた。

「もういい!」

 そのまま出ていってしまった。

 まぁ、聞こえていたのだが。

 意地悪し過ぎたかもしれない。

 しかし、自分は怪我人だ。

 シャルも怪我人相手に乱暴な事は出来ないだろう。

 これまでやられてきた分、仕返ししたい。

 次からは少しやさしめに意地悪するとしよう。


「はぁ……。」

 シャルは病室を出ると、先程のことを思い出していた。

(あのときのあいつ……。)

 ロイが失敗は成功の元だと言った時、どこかクレアさんの面影が重なった気がする。

 彼がクレアさんと一緒にいた時間はとても短いものだった筈なのに、彼は段々とクレアさんに近づいているのかも知れない。

 しかし、と言うことはロイの最後もクレアさんと似るかも知れない。

 昨日の出来事を思い返せばあり得なくは無い。

「……よし!」

 小さい声で気合いを入れる。

 これまで何度も危ない目には会ってきたが全て自分で対処してきた。

 誰かに助けて貰ったのは初めてだった。

 これからも彼とは行動を共にすることがあるだろう。

 いや、そうじゃなくても今回助けて貰った恩を返すために危険な事をしないか見張っておこう。

 これまでは自分の食い扶持を稼ぐための仕事だったが、誰かを守るためというのはとてもやりがいがある。

 さぁ、まずは研究所へ急ぐとしよう。

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