初仕事 2
その後、予定よりも早くサン・ジョルジュに到着した。
案の定シャルはもう待っていた。
早めに来て正解だったようだ。
「あれ?ちょっと早くないですか?」
「いや、こっちのセリフなんだけど……。」
さて、目の前の少女は多少抜けているように見えるが何か裏があるのは確かだ。
不審な点が多すぎる。
警戒はしておこう。
「さて、襲われたということだけど君が来た時にはどういう状況だったか詳しく教えてくれるかい?」
「はい。私が来た時には建物ほぼ全体に火が回っていました。野次馬も集まっていて、お祖父ちゃんを探してみたんですけどどこにもいなくて……。」
旧市街の建物は大体はレンガで出来ている。
火が回っていたのは飲食店というのもあったからだろうか。
引火し易いものも沢山あったのだろう。
「そして、あそこの路地裏の方へ数人走っていくのが見えたんです。」
シャルが指を指した方向には、目立たないが人が通れる路地裏があった。
「何人くらいだったかわかるか?」
「3人以上はいたと思います。」
つまり相手は複数犯。
人数によっては警察に任せたほうが良いかもしれない。
「じゃあ、店内を見てみるか。」
「はい!」
店内へと入ると窓ガラスが散乱していた。
椅子やテーブルも倒れていたり、酒が入っていたであろう瓶が割れて散乱していた。
「これは……。」
足元に転がっていた異様な物を拾い上げる。
黒く、手のひらサイズだがとても重い。
感触からして鉄の玉だろう。
黒く変色しているのは熱によってだろうか。
「……。」
警察による調査が入っていると思ったが、思っていた以上に痕跡が残っている。
ここで得られる情報はここまでだろう。
それに、なんとなくわかった気がする。
「じゃあ、その路地裏に行ってみるか。」
「わかりました!」
シャルは相変わらず元気だ。
しかし、今となってはこの元気も怪しく見えてきてしまう。
路地裏へ行くと、すぐに行き止まりだった。
だが、マンホールがありその先に行ったのだと予測できる。
「この先に行ってみるけど、ついてくるか?」
「……はい。」
心底嫌そうな顔をしている。
それもそうだ。
年ごろの娘がこんな汚い所に行きたいと思う訳は無い。
「じゃ、行こう。」
「うぅ……。」
マンホールを開き、入っていく。
マンホールの中は電気がついており、明るかった。
人が歩ける道の横には排水が流れていた。
整備する為の設備は整っているようだ。
道は背後が行き止まりになっていたので真っ直ぐ進んでいった。
「……。」
「……。」
しばらく何もなく、ただひたすらに歩いていった。
会話が無い。
こういうのが正直一番つらい。
先程から何か痕跡が無いか探しつつ歩いているが、何も無い。
「……シャル、大丈夫か?」
「……え?」
流石に気まずくなり声をかける。
「いや、ここあまりいい匂いとは言えないだろ?それに、年頃の娘がこんな所に居たいはずも無いしな。」
「……まあ、正直いい気分では無いですけど、お祖父ちゃんのためです。頑張ります!」
まあ、何か裏があるのは違いないが、この子自身は悪い奴では無いらしい。
相変わらず敵意も感じない。
まぁ、警戒はしておくが。
「あ、行き止まりみたいですよ。」
「ああ。」
しばらく歩いていると確かに行き止まりだった。
別の出入り口があり、そこから逃亡したとも思ったが違うようだ。
「……いや、まだ先があるみたいだ。」
「あ、本当ですね。」
よく見ると奥に扉があった。
壁と同色なので一瞬気が付かなかった。
「じゃあ、行ってみるか。」
「了解です!」
この先に敵が居る可能性がある。
最大限警戒していこう。
扉を開け、奥へと進む。
すると、広い場所に出た。
何かは良く分からないが大きな排水関係の装置が大きな音を立てて動いていた。
そして、その装置に気を取られていると後ろから敵意を感じた。
「っ!」
すぐに振り向き、退く。
後ろにはシャルがいる。
他に気配は無かった。
つまり……。
「やっぱり裏があったか……。」
「ちっ。やっぱ勘づかれてたか。」
そこには先程までの元気なシャルの姿は無かった。
「さぁ、諦めな。異世界研究所の所長代理。逃げ場は無いぞ。」
「……キャラ違いすぎない?」
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