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初仕事 1

「えっと、初めまして。私はシャル・セインって言います。」

「自分はロイ・ヤンです。あなたのお祖父さんが攫われたということで良いですか?」

 今は自分がクレアさんを初めて訪ねたときのようにテーブルを挟み対峙している。

 因みに冷蔵庫にあったお菓子とかも出してみた。

 それをシャルは一瞬で平らげた。

 目の前の少女は同い年くらいかと思ったが、所作を見るに自分よりは歳下なのかもしれない。

「はい。そうです。あ、因みに私には敬語じゃなくていいですよ。多分私のほうが年下ですし。で、お祖父ちゃんが昨日の夜に友達の家に行くって言って家を出てから帰ってこなくて、心配でその人の家に行ってみたらその人の家が襲われてたんです!」

「……因みにその家ってどこにある?あと、何時頃かも覚えてたら教えてくれ。」

 昨日、既に旧市街で1件襲われている。

 場所や時間によっては同一犯の可能性がある。

 いや、もしかしたら……。

「旧市街です。サン・ジョルジュっていう店なんですけど。時間は9時過ぎくらいですね。」

 昨日は1日片付けをしていたので、その時間はまだ起きていた。

 今日訪ねたのもまだ12時を過ぎてはいなかったので痕跡はまだ残っているかもしれない。

 そして、もしやと思ったがやはりサン・ジョルジュのことだったか。

 つまりは目の前のシャルという少女は情報屋の関係者ということか。

 いや、彼女は祖父の友人だと言っていたし関わりは無いかもしれない。

 もう少し情報を聞き出してみよう。

「このことを警察には話した?」

「はい。でも後回しにされてしまって……。あ、あの!お祖父ちゃんは体が弱いんです!なので早く助けて欲しくてここに来ました!」

 ……少し気になることがある。

「……ここは異世界研究所だ。なんでここに来たんだ?」

「……えーと、それはそのー、お祖父ちゃんの友達に、困ったらここに行けって言われてたんですよ。はい。」

 一瞬、間があった。

 少し違和感はある。

 が、敵意は感じないし初依頼だ。

 どういう結末になるかは分からないが引き受けてもいいだろう。

「分かった。じゃあ、サン・ジョルジュへ行こう。まず、現場を調べる。その後に聞き込みをしてお祖父さんがどこに連れて行かれたか、可能なら犯人は誰なのかも調べてみるか。」

 するとシャルは笑顔を浮かべる。

「ありがとうございます!じゃあ早速行きましょう!」

 手を引っ張られ外へと連れて行かれる。

「あっ!ちょっと!」

 中々ヤンチャな子らしい。

 正直に言うとこういうタイプは苦手だ。 

 クレアさんみたいに常に落ち着いている人のほうが自分は好きだ。

 ……まあ、あの人は少し面倒臭い所があるがが。

 なんとか踏ん張り、引き止める。

「え?どうしたんですか?」

 キョトンとした顔でこちらを見る。

「いや、こっちにも準備があるんだよ。」

 まぁ大して支度する事はないのだが。

 腕時計を見る。

 今は午後の5時だ。

 因みにこの腕時計はクレアさんの私物だ。

 勝手に使わせて貰っている。

「じゃあ6時にサン・ジョルジュ前に集合しようか。」

「わかりました!6時ですね!待ってます!」

 まさか今から待つというのだろうか。 

 シャルはそのまま走り去って行ってしまった。

「……少し早めに行ってやるか。」

 少しゆっくりしてから行くつもりだったが急ぐとしよう。

 初めての依頼人を待たせるわけには行かないからな。

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