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真逆の世界の君との物語  作者: 吉川 青
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第五話 怒りと恐怖

その日の授業が終わり、帰りの準備をしていると、珍しくスマホが鳴った。開いてみると、普段広告か親からぐらいしか届かないLINEに隼人からメッセージが届いていた。どうしたんだろうと思って見てみると、『今会える?』と書かれていた。すぐに『大丈夫』と送信すると、すぐに待ち合わせ場所と思われる場所が届いた。さっき会ったばかりなのに…。なにかあったかと心配しながらも急いで荷物を整理し終えて、指定された学校の空き教室に向かった。


教室に入ると、誰もいなかった。なんで隼人がいないんだろうと思っていると、急に後ろからドンと押された。とっさのことで反応できなかった。転んでしまった。振り返ってみると、そこには5,6人程の女子が立っていた。恐ろしい目力だ。その内2人はさっき話しかけてきたクラスの女子だ。女子集団の中の一人、リーダーっぽい子が

「なんでお前なんかが小野寺君と仲良さげにしてるんだよ!」

といった内容のことを叫んできた。

どういうこと?隼人はどこ?騙された?また?

怖い。やばい。泣きそう。思い出しちゃう。ある昔の出来事と重なってしまい、動けなくなった。それに気づいたのか否か女子達は数人がかりで俺をロッカーに閉じ込めた。それで満足したのか、女子達は去っていったようだ。

ロッカーの中からどうにか出ようとしてもガムテープか何かでガッチリと塞がれているようで、開きそうもない。しかもこの教室は、誰も来ない棟にある。

終わった。どうしよう……。なんか少女漫画でありそうな展開だな。一周まわってそう楽観的(?)に思えるようになった。そのおかげか少し冷静になり、誰かに連絡を取ろうとする。LINEを開き、誰に助けを求めようか考えた。でも、友だちリストには父,母,そして、小野寺隼人しかいない。

どうなるかわからない。そもそも隼人がスマホを持っているのかも不明確だ。だけど助けてほしい。隼人に。そう思って、俺は隼人に連絡しようとした。すると、急に物音がした。扉が開く音だ。

誰か来たのかも。助けて!!

そう思ってロッカーを叩いて居場所を知らせようとした。テープが剥がされてるような音がする。助かった。そう思っていると、ロッカーの扉が開き、光が入ってきた。

光の先には隼人がいた。


そこからは早くて、隼人はすぐに助けてくれた。俺が事情を説明すると、心当たりがあったようで、俺を閉じ込めたヤツらを連れてきた。

「こいつらで間違いない?」

俺が頷くと、隼人は俺をその場から離れた喫茶店に行くように指示した。大人しく喫茶店に行き、オレンジジュースを頼んで待っていると、隼人がきた。

「あいつらにはしっかり制裁を与えたから」

そう言った隼人の目は怒りで満ち溢れていた。どんなことをしたのか気になったが、怖かったから聞かないことにした。

事件の流れを隼人に説明してもらった。

まず女子達は俺を呼び出すため、隼人の隙をみて、スマホを盗み、俺に隼人からだと思わせるように連絡したそうだ。そして、隼人には

『スマホ落としたよ』

と言ってスマホを返した。でも、それに対して不審に思った隼人は女子達が消えた後でスマホを調べたそうだ。すると、心当たりのない俺とやり取りした履歴が残っていた。それを見て助けに来たそうだ。俺を閉じ込めた女子達は案の定隼人のファン(?)で、俺に嫉妬したらしい。

「今回は僕のせいでもあるけど、真琴も気をつけてよね。けっこう抜けてるとことがあるから」

と言ってきた。反論しようとも思ったが、

「ごめん」

と素直に謝った。それにしても、説明上手だったな。小説ではあんなに下手だったのに。落ち着かせるためか、隼人は少し長めのお話をはじめた。


2人共落ち着いたから、喫茶店を出て帰ることにした。なんだか気まずくて何も話せずにいると、すぐ家に着いた。

「じゃあまたね」

と言い、隼人は去っていく。俺はその後ろ姿に向かって小さく「ありがとう」と伝えた。


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