プロローグ
炎の魔法使い、ディアロス・レッドイービル。
火の悪魔とも言われたその一族は魔術界隈に置いては最大派閥として名を馳せていた。
ディアロスは齢百五十の男性であり、利権にまみれた今の地位を嘆き、魔術の研鑽を禁止された。
まさしく不自由の魔法使い、魔術師にとっての標本。いや、弱き者達にとっての救世主として祭り上げられていた。炎の魔法は魔術界隈に置いて先の無い魔術師家系を引き入れ守る砦となっていたのだから。
ディアロスは、魔法使いとしても魔術師としても腐っていった。
「なら、曽祖父様の願いは私が叶えるよ」
そう分家の養子に出した娘の孫が言ってくれた。
にっこりと笑って。
そしてその子はディアロスの命が尽きる刹那に炎の原理魔術を完成させる齢十五の大天才だった。
その子の名前はハル・スカーレッド。真っ赤な長髪と、真っ赤な目を持つ炎の原理魔術師。即ち、この世から炎の魔法を奪い去った簒奪者である。
その後、ハルはディアロスの工房と研究成果を継ぎ、新たな炎魔術の体系が創られていく……筈だった。
最大派閥は炎の魔法を元に魔術を作り上げ派生していった。炎の魔法が失われればそれまでの成果は失われる、無かったことになる。
故に、原理魔術は目障りだし、それまで培った知識は無に帰るし、なんなら先細りになっている僻地の魔術師家系なども助けられるだけの権利や影響力も一からになる。
結果、ハルは暗殺されることになった。
ハルは空間移動魔術を使用しディアロスから譲り受けた宝剣の一つ【レーヴァテイン】を手に命がらがら逃げ延び、その先で彼女はいまだに人ならざる神に出会った。




