邀撃作戦 【撃破】
吸血鬼の体が燃えている。青白い光を放って。
聖職者の力が吸血鬼の不死を浄化した。
対フィア戦は、四人による決死の攻防で勝利を掴み取った。
その傷跡は決して浅くは無い。
「アイン!楓!」
最も重症だったのはアイン、全身が酸の熱傷により赤く爛れている。アリウスも肌に軽い熱傷は見られるもののアインほどでは無かった。
「とりあえず水で流せる場所まで行かないと」
アインの傍に寄った十輪が冷静に傷を分析する。
「私は冬樹隊長の所に行くね」
「楓もダメ!」
足がふらついているアインを十輪が肩を貸して支え、反対側をアリウスがとっさに支えに入った。
「酸による化学熱傷は時間経過でもっと酷くなる、楓も、頭から水浴びて流し落とさないと」
「でも……」
まだ二人が戦っている。もっと強い敵を相手取っている。その二人を置いてはいけない。行きたくは無かったのだ。
「生きるのも役目、死んだらあの世で文句言われるわよ」
「……分かった……」
「応急処置が終わったら行って良いから」
『では東雲隊長の方には私が出向きます』
耳に付けた連絡機器に突如声が入る。よく知った彼女の声が。
「え、ちょ、ダメに決まって」
『そう言うと思ってもう向かっています。説教は後で』
「……あーぁもう!ほんっとうに、後で説教だから!シャルロット!問題児ばっかかここはッ!」
「うるさいです」
遠くで星が落ちる、その方角に楓は振り向いた。鮮やかで輝いている流れる星とは裏腹に落ちた場所は建物や道路が壊されていって、とても穏やかではなかった。
その落ちてくる光の柱に、機械の蜘蛛は駆けて行った。
愛する人を守る為、例えその恋が永久に実ってはならないものだとしても、天使の愛称を持った少女は駆けつけずにはいられなかった。




