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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ある日の魔城

作者: 畳たたむ

連載を書いていると疲れるので短編でちょこちょこ書いていきたいです。

僕は魔王だ!!の日常短編です



最強と名高く、また最古の魔王、マオの城


果てしなく大きな城には多くの魔物や魔族、人間や亜人種が住んでいる


魔城は外から見ると霧が立ち込め、コウモリが飛び回る不気味な城だが、

一歩足を踏み入れると緑が繁る森があり、ユニコーンが住む湖もある

滑った湿地や、乾いた熱地、凍てつく冷山もあるここは様々な種族が暮らすにあたり楽園であった



あるものは最強と名高い魔王の側に侍る名誉を得るため、

あるものは身を守るため、

あるものは魔王達に救われ

皆それぞれの理由でこの城に住み自らの役目を全うしている。




その城の一角で最近はいったばかりのリザードマンの男が

ミノタウロスと話し込んでいた



「最近さ魔王様を見かける機会があったんだどよ」



「お、それは凄いじゃないか入ったばかりでお目通りが叶うなんてなかなかあることじゃないぞ」



「いや、それがさ正確に言うと寝ている魔王様をサティアス様が運んでる場面に出くわしたんだよ」


その場面を想像したのかミノタウロスは笑いながら

「バード様達は魔王様に甘いからなー」

と呟くと水を得たとばかりにリザードマンが続ける




「そうだよなっ!サティアス様は能力があって知略なんかは恐れ入るしそれこそ、この城はあの方で回ってるんじゃないかって程だ。

他のバード様達もまだ詳しくないが防衛と攻撃を担う魔軍の将軍閣下ガングラード・バード様は剣ひと振りで山を更地にしているのをみたし、皆様凄いのは分かるがな~」


リザードマンよりも少しばかり長く城にいるミノタウロスはその先を予想し焦った



「お、おいその先はいうな」


しかし勢いが出たリザードマンの口は止まらない




「バード様達は皆凄いのに魔王様を盲目的に崇拝しているだろ?

しょっちゅう甘やかしておやつを納めに行くのは誰かで争っているっていうし、

魔王様は見た目も子供で、おやつを食べるか寝るかしかしてないじゃないか本当にあんなのが強いのかね~。

俺は信じられないよ」



亜人種や精霊系の獣はそれほどではないが、魔物や魔族において強さは絶対である。



しかしその言葉を聞いたミノタウロスは何かに怯えたように焦って辺りを見回す



「おいおい、どうしたんだよ?なにかあったのか?」

不思議そうに問いかけたリザードマンに

逃げ腰になりながら逃げようとしていたミノタウロスは「いや、少し野暮用を思い出して。あとそういうことは今後一切」



と良いかけた所で




「おい」




とミノタウロスの後ろから声がかかった

飛び上がったミノタウロスが後ろを恐る恐る見るとそこには山ほどの屈強な体を持つバードの一人エイトスがいた



そんな大きな体をしているのに全く気配がなかったことにミノタウロスは更に恐怖を感じ真っ青になっているが、



「お目にかかり光栄でありますエイトス様!」



とリザードマンは嬉しそうに膝ま付く



しかしエイトスは眉間にシワを寄せ怖い顔をすると


「お前は最近見回り班に入った者だな?新任担当はティムオンだったな、キツく言っておこう。今後一切マオ様のことを口にするな、分かったら早急に城を出ろ」



と何故か急かすように言う。



しかし、リザードマンは魔王様を崇拝しているバードのエイトスに魔王様への軽口が聞かれていたことに焦る




「も、申し訳ありません。」

もう言わないので城に置いてください



そう良い募ろうとしたときエイトスの後ろにまた誰か現れた




「どうしたの?エイトス。」



そう目映いばかりに美しい笑顔を浮かべた少年はバードのひとりイルミスがそこにいた



「イルミス、」

エイトスは苦い茶を飲んだような顔をしてイルミスの名を呟くと大人しく道を開けた



「ダメじゃないかエイトス。その子は僕に任せて、行こうかリザードマンくん?」




この城で一番美しいのではといわれるイルミスの笑顔を見てリザードマンはぼーとしたように大人しく後をついていった



エイトスは呆れたようにため息をはいて一瞬で消えた




残されたミノタウロスは安堵の息を吐いた、この城で魔王、マオ様のことを悪く言った者は数刻で消えるから気を付けろと新任担当のティムオンに教えられていた。

屈強な体を持つエイトスがリザードマンを仕置きするのをイルミスが止めたと考えたのだ




「あ~あ、せっかくエイトス様が助けようとしたのに」

そう声を発したのはエイトスの副官デュラハンのユピュターだった



エイトスの後ろにいたが巨体のせいで見えなかったらしい

ユピュターの言葉に引っ掛かりを受けてミノタウロスは尋ねた



「助けるとは?エイトス様は失言したあの者を追い出そうとしたのでは?」



その言葉に分からない子だなーと言うような表情を浮かべ

「うん、だから助けようとしたんじゃん」

とユピュターはいったがますますミノタウロスには分からない




「あ、そっか君もこの城に来て長くないのかなら仕方ないね。

いい?覚えておきなよ何もかも見た目通りに受け取ってはいけないよこの城では命取りになるからね。」



そう怪しげに笑いながらユピュターは続けた


「この城では魔王様は至上の存在。特にバード様達にとっては信仰の存在さ。何故かって?最強の名の通りマオ様はバード様たちより強く、親でもあるからさ。

だからバード様達はマオ様に仇をなす存在は許せないのさ、だけどね度合いはそれぞれなんだ。

君はイルミス様の見た目に騙されて助けてくれたと思った口だろ?

あの方の本性を知らないから仕方がないけどね‥バード様たちの中で一番残酷なのは誰だと思う?」




ユピュターの整った顔は笑いすぎて口が割けたようになっていた

ミノタウロスは今や冷や汗をかいて震えていた



「ふふ、さっきのイルミス様の言葉翻訳してあげようか?




ダメじゃないか、

エイトス僕に黙って逃がそうとしちゃ、


そのトカゲは僕が仕置きするからつれていくよ


って意味だったんだよ。




でもねバード1残虐なイルミス様の言う仕置きがどんなものかわかるかい?





ミノタウロスは足が震えて立っていられなくなりへたりこんだ

それを見たユピュターは踵を返して去っていきながら言う




「見回り班のティムオンに一人いなくなるっていいにいかなきゃっ

ばいばい」




コワーイコワーイ魔王のお城。



ルールや掟は何個もある

破っていけない掟にはわけがある

命の保証が出来ないからね





見回り班のティムオンはそれから口を酸っぱくして教え込むようになる





この城で魔王様の悪口を言ったものは命がないと








____________




「お腹すいたー

わー!今日はイルが僕のおやつ当番なんだね!

よしよしいいこいいこ」



嬉しそうに頭を撫でられながらイルミスはマオの口におやつを運ぶ

「はい、マオ様あーん」




「あーん、ん、美味しい


ねえねぇイルちょっと血の臭いがするよ」




「ご、ごめんなさい!すぐに洗ってきますね!」




「いや、別にいいよ


ま、でも程ほどにね」




「はい!」



とても綺麗な笑顔でイルミスは頷く。



しかし、マオに絶対服従のイルミスでもその命令だけは聞けない。

マオに仇をなすものはイルミスにとって等しくゴミだからだ。





今日も魔王城は平和である。







見た目に似合わない人ほど残酷だと思う。

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