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天才二人でやることか?  作者: 炒り玉子
6/10

5話 凡庸なカラオケ回(後編)

「俺はウルトラソウルを3回邪魔された!」

「僕はプリンが届かない!あと、一瞬楽しみにしたデラックスパフェにくしゃみされた!」


二人は憤っていた。よく考えたら大したことでもないのに。


この時点では亜例苦栖は変な客に絡まれたかわいそうな店員に見えるだろう。

だが、こいつもまたかなりのやばい店員であった。


「で、どうやって仕返しするんだ?白井」


「たった今、あいつのスマホをハッキングした。あと店員用の事務室の監視カメラもハックしたぞ。」


白井はカバンから出してきたパソコンに事務室の映像とアレックスのスマホを映し出す。


「とんでもないことが分かったぞ。アレックスのやつ、事務室でほかの店員もいるのにAV見てる。」


白井のパソコンには結構ハードめなAVが流れている。ついでにインカメラのアレックスのニタニタ顔も映っていて画面上はひどい絵面になっている。


「バイト中にAVとかクレイジーすぎるだろアレックス!」


坂谷がツッコミを入れると同時に白井が何かのプログラムを打ち、エンターキーを押した。


「まず仕返し一つ目。事務室中に響く大音量で、アレックスのスマホからAVの音声を流す!」


直後、亜例苦栖のイヤホンの接続が切れて事務室中に響きだすAV。


「せいぜい最高に気まずい空気になりやがれアレックス!」


何もしていないけどとりあえず罵倒はする坂谷。


すると、事務室のほかの店員が


「店長!田中君がAV見てます!」

防犯カメラ越しに見ている坂谷は


「店長にガチギレされちまえ!…苗字は普通に田中なんだな。」


という。


しかし、彼の思い通りにはいかなかった。


「あー田中君かー。ならAVとか見てそうだよね。まあ適当に注意しといて」


店長は『いつも通り』という感じだった。


「バイト中にAV見てそうってどんな奴なんだよあいつ…」


ますます亜例苦栖のキャラが分からなくなる坂谷。


「亜例苦栖(あたとえにがす)、またAVかよー」


友達っぽいキャラの奴がやってきた。


「読み方アレックスじゃなかった!亜例苦栖(あたとえにがす)とか名付けたやつ親とち狂ってんだろ」


あまりにもわけのわからないネーミングに坂谷も当惑する。


「え!?田中君下の名前、亜例苦栖(あたとえにがす)っていうんですか!」


さっきの店員も初耳だったようだ。


すると亜例苦栖 本人が


「うん。2年前に改名したんだ。友樹って名前が嫌でさ。」


と答えた。


「おい友樹!とち狂ってんのお前だったのか、親があまりにも不憫だろ!」


坂谷の怒涛のツッコミもむなしく、事務室は通常運航で進んでいく。


「あ、田中君。7号室にこのプリン運んでくれる?」


店長は何事もなく亜例苦栖に仕事を頼む。


「7号室って僕らのとこだね。ちゃんと注文は届いてたんだ。」


白井が嬉しそうに言った。一応プリンは楽しみにしていたようだ。


「了解です店長。あ、ちょっとサービスでトッピングしてもいいですか?」


そう言って厨房にプリンを持ってはいる亜例苦栖。もとい田中友樹。


「ちょっ、亜例苦栖、プリンに余計なことだけはしてくれるなよ…?」


厨房のドアを固唾を飲んで見守る白井。


すると数分後、厨房から出てきた亜例苦栖は…


「名付けてデラックスパフェっす!」


満面の笑みでデラックスパフェを持っていた。


「おい何があったそれ。てかそのメニュー亜例苦栖オリジナルだったのか。」


さすがにこれは白井もツッコまずにいられなかったようだ。



*****



二人は1時間ほど亜例苦栖に仕返しを試みたが、これほどまでの奇人の前では全く歯が立たなかった。


気づけば部屋はデラックスパフェだらけにされていた。


そして、坂谷と白井はやっと気づいた。



「僕らが仕返ししようとしてるのは…」

「とんでもないモンスターなのかもしれねぇ…」


亜例苦栖のあまりのやばさに、何のオチもなくカラオケ屋を後にした二人であった。


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