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天才二人でやることか?  作者: 炒り玉子
3/10

2話 のぞきは犯罪です(中編)

「良し、この学校の電気制御回路だいたい乗っ取ったぞ!」


坂谷の提案から十数分分後、白井は早くもハッキングを成功していた。


ハッキング自体は数分で終わったのだが『雰囲気作り』とこの倉庫までわざわざパソコンを運んでくるのに時間がかかった。


坂谷に運ばせれば一瞬だったがどこかしら壊れて到着するオチが見え透いていたので白井が運んだのだ。


「出来たのか!すっげーな!」

「出来たんだがな、1つ聞いてほしいことがある」

「なんだ?」


白井は少し溜めて、残念そうに


「女子更衣室に監視カメラなんかない」

と、至極当たり前のことを言った。


だが坂谷はぱっくりと口をあけて動かない。


「まあ…考えてみたら当たり前のことなんだけどな?うん、坂谷?」


坂谷はずっと呆然としている。


「でも、大丈夫だ。策はある」


坂谷はそれを聞いてようやく正常に動き出した。


「早くその方法教えろよ!」


すると白井は少し溜めて言う。


「…女子更衣室に忍び込んでカメラつける。」


坂谷は再び少しフリーズする。

あまりちゃんと呑み込めていないようだ。


「…それ、意味なくね?」


「気づくのおせえよ」


せっかく学校中の電子機器をハックしても直でつけに行くならほぼ意味がない。


「いや、まあ学校中の電子機器が僕らの味方だからちょっとは役に立つんじゃない?ハッキングも。」


白井が軽く説得すると、リスクと欲求を天秤にかけ終わった坂谷は


「しゃーねーな。いってきてやるか」


と立ち上がる。


「まぁまて。お前ひとりで行ったら更衣室から火の手が上がるオチが目に見えてる。まずは策を聞け。」


白井が少しキメ顔をする。


「まずだな、ただ体操服に着替えている所撮るだけじゃリスクと釣り合わない。コスパが悪い。」


説明している白井だが、おそらくクリスマスパーティ「クリパ」やハロウィンパーティ「ハロパ」しか知らない坂谷の頭の中ではコスモスパーティーが開催されているだろう。


「狙うのは1時間後の17時、水泳部女子が水着に着替えるところだ!」


再びキメ顔をする白井。一応書いておくともちろんこれは犯罪行為である。


坂谷はがぜんやる気が出てきたようだ。


「うっしゃ!俺たち天才二人が集まればなんだって可能だぜ!」


青春感を出しているが、一応書いておくとこれは犯罪行為である。



*****



数分後、坂谷は更衣室のある体育館の入り口辺りで白井の指示を待っていた。無線の連絡機で白井とつながっているのだ。


「準備いいか?僕の計画通りやれば絶対成功する。いいな坂谷」


「OK、俺たちに失敗の4文字はねえ」


「お前ひらがなで行くタイプだったのな」


「「絶対に女子更衣室を覗いてみせる!!」」


坂谷は堂々と体育館にずかずか入っていこうとする。


「おい、ちょっと待て。普通に入ろうとしてないか?」


止める白井。


「は?逆にどこから入るんだよ」


と、本当に何もわからない時の顔をする坂谷。


「…どこからツッコんでいいかわかんないし、かける言葉が見当たらない」


「だから!指示をくれよ指示を。何のためにこのよくわかんねえ機械耳に詰めてんだよ」


白井は頭を抱える。


「すまん。このとんでもない脳筋にちょっとでも期待した僕が間違ってた。悪かった。」


「へへ、わかりゃあいいんだよ」


坂谷は思い切りディスられていることには気づいていないようだ。

「えーっと、指示①.体育館の二階までよじ登って。そこに女子更衣室あるから。」


ドレッシングが棚にあるから取って、ぐらいのテンションで鬼畜な指示を出す白井。


「しゃーねーな」


坂谷がパキパキと指を鳴らし、ジャンプ力で二階までよじ登る。


「ついたぞ。中入ったほうがいいか?」


ドレッシング取ったけど醤油もあるよ、どうする?ぐらいのテンションで鬼畜な指示をこなした坂谷。


「うん、指鳴らした意味は?まあいいや、指示②.女子更衣室今誰もいないから入って。」


「はい。侵入成功。うわ、すげえ。女子更衣室の壁ってってこんなおっきな鏡付いてんだな!まあいいや。で、次の指示は?」


面白いようにことがスムーズに進む。


「指示③.左の隅の天井にちっさい穴開けて。その渡した金づちで」


「ごめんちゃんと話聞いてなくて指で穴開けた。別にいいよな?」


白井はもうこの程度では驚きもしない。


「別にいいよ。指示④.そこにある電気のコードを切って、さっき渡したカメラにつなげて。」


「やりかたわからんから適当に切るぞ。」


「ああ、いいけど赤のコードだけは絶対…」


「…赤切った」


坂谷がいい終わらないうちに、職員室に非常ベルが鳴り響いた。


「しまった!」

白井が迅速に職員室のベルをハックしてOFFにしたため、1秒ほどで音は消えた。


「先生絶対今のきいたよな…まずい…」


ため息をつく白井。


「なあ、絶対切っちゃダメって言いかけたのって青だよな?え?」




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