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天才二人でやることか?  作者: 炒り玉子
2/10

1話 のぞきは犯罪です(前編)

《数時間前》


5月。高校に入学して3週間ほど経ち、だんだんクラスの雰囲気もほぐれてきた今日この頃。


白井と坂谷は入学するちょっと前の春休みごろに色々あって(ここはおいおい語られるであろう)知り合っていたため、もう長年の親友のような空気を漂わせている。


とはいえ「俺たちズッ友!」の雰囲気というよりは「犯罪仲間」のそれだが。


「坂谷、今日放課後時間あるか?」

「また良い計画があるみてえだな。乗るぜ。でも、一昨日俺がさそったときは忙しいとかなんとか…」

「まあ、一昨日はちょっと用事があった」


まぁそういうのがかっこいいと思ってる中だけとも取れる。というか多分そう。


「聞いて驚くなよ?僕は昨日職員室の監視カメラをクラッキングした。いわゆるハッキングだ」

「くらっきんぐ?はっきんぐ?」


坂谷は運動能力は天才的だが、バカである。


「なんだよそれ、楽しそうじゃねーか!なんで俺も呼んでくれねーんだよ」


おそらく坂谷の脳内では白井が職員室でパーティ用クラッカーを持ってハイキングをしていると思われる。


「ま、まあそれは良いとしてだな」


白井の聡明な頭脳なら今の坂谷の脳内は容易に想像できたが、あえて訂正はしなかった。


「その時に僕は凄いもんを見つけたんだよ!」

と、白井は鼻息荒く言う。


「あの若い女教師の下着か?」


「いや、そういう類だと汚っさん先生の黄ばんだシャツしかなかったけど」


それを聞いて坂谷は露骨にがっかりして帰ろうとする。


「おい、待て待て。お前女にしか興味ないのかよバカ。最後まで聞け!」


白井が必死で坂谷を制止するが、力に関してはもやしのような白井の腕力では坂谷は止めれようもない。



まあ坂谷はなんだかんだで残ってくれたわけだが。



*****



「この開かずの第三倉庫の鍵が、職員室の監視カメラに映ったわけだよ。」


2人は学校の寂れた第三倉庫の前にそれっぽくたたずんでいる。


「まじか!すっげえなあかずのそうこの鍵か!ずっとなかったもんな!」


この倉庫の鍵は数年前から失くされており、以降開かずの倉庫となっていた。


ちなみに坂谷は「赤酢の倉庫」だと思っている。やはりバカだ。


「よし、じゃあ開けるぞ…」


白井が鍵をさし、錆びたドアノブをひねると重々しい音がして倉庫のドアが開いた。


…まぁいわゆる普通の汚い倉庫だった。


「ん?赤酢ねえじゃんか」

「いや赤酢はないだろ」


赤酢が大量に貯蔵されている倉庫だと坂谷は思っていたようだ。


「まあいいや、ここで今度は一体何しでかすんだ?白井!」


坂谷は興奮気味に聞いてくる。


「いや、別に見つけただけだけど。何するかとかはない」


「んだよ、じゃあただの汚ねえ倉庫じゃねえか」

途端に冷める坂谷。


「は?こういう秘密基地感がいいんだろ!」


白井は必死に良さを説明しようとしている。


「正直鍵なんかなくても俺が殴れば開いたしな?」


身もふたもない事を言う脳筋坂谷は容赦ない。


「何だよもう!坂谷のバカ!」


世紀の天才のはずの白井がボキャブラリー不足になる程だ。



そこで坂谷は何かに気づいたようだ。


「あれ?白井お前、監視カメラを乗っ取ったんだったっけ?なら…」


ハッキングとハイキングの違いについては数分前説明したので坂谷は理解してくれていたようだ。


「なら…?なんだ?」


「女子更衣室とか覗けるよな!!」


やはり脳筋バカの考えることは浅ましい。これには流石の白井も…


「な、何言ってんだお前…いや…悪くないな…!」


いや、案外白井は乗り気だった。




…こうして、計画は動き出した。

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