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天才二人でやることか?  作者: 炒り玉子
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プロローグ

…その少年、白井蝶葉(あげは)は頭脳の天才だった。いわゆる、神童。


《生後8ヶ月》

「きゃー!あなた、あげはがクレヨン持ってるわよ!」


「初めてのお絵描きだなぁ。紙でも渡してみるか」


両親はこの日まで彼の天才性を知らなかった。何の変哲も無いただのぐちゃぐちゃ線とかが出来上がると想定してカメラを用意していた父親は、数分後驚愕することになる。


「おい、なんか書いてるものがおかしくないか?」


父があげはのお絵かきを覗き見る。

そこには稚拙な文字でたくさんの記号が書かれていた。


「きゃー!あなた、あげはがフェルマーの最終定理解いてるわよ!」


彼の伝説はここから始まった。



《小学二年生》

白井は普通の小学校に入学したが、もちろん彼にとって小学校の授業など退屈の極みだ。そのため授業中は毎日、宇宙の起源を小学校の机から探っていた。


「おい、白井。お前がどれだけ頭いいかしらないが俺の授業を聞かないとはどういうつもりだ。あとで指導室に来い!」


ある日、皆に恐れられている担任の先生に白井は呼び出されることとなった。


白井は平気な顔だったが、周りの児童たちのざわめきは止まらない。


「やばいぞ…おせっきょー室に行ったやつはみんな泣いて帰ってくるってきくぜ?」

「あの『てんさい』の白井でもさすがにべそかくぞ…」


そして、1時間後。


「みんな!あいつ大泣きで出てきたぞ!」


指導室をのぞいていた1人の児童が走って皆に伝えに走ってきた。


「まじかよ!あの白井が?」


「いや、せんせーがだよ!」


校舎を30代男性のむせび泣く声が響き渡る。


「なんでも白井が『てつがくてき』にせんせーの『じつぞん』を『ひてい』したんだってよ!」

「どういうことだ?」

「わかんね!」


ちなみに、白井は小3の春ごろに宇宙の謎は解明し終えた。



《中学1年》

中学にはいった白井の部屋を母親が「思春期な類の本でもないかしら」と掃除していた時、謎の段ボールに大量の札束が入っているのを発見した。


「あげは!これは何のお金なの!悪いことは許しませんよ!」


母親が帰宅したあげはを問い詰めると、あげはは小声でCIAをハッキングして活動予算を拝借したことを白状した。


「詳しいことはわかんないけど、謝って返してきなさい!」


母親は怒鳴りつけてその日のあげはの夕食をもやしだけにした。


後日、CIA職員全てのパソコンに「sorry」と表示され長官のパソコンに100万ドルが送付され、都市伝説となった。



そしてそんな彼は、人生で最もバカな男子高校生になった……





…その少年、坂谷海斗は運動の天才だった。あるいは、猛獣。


《胎児 四ヶ月》

彼は母親の子宮の中からすでにその才能の頭角を表していた。


「このくらいの時期になると赤ちゃんがお腹をポコポコ蹴ってくるらしいわよ?」


お腹をさすりながら母親が言う。


「そうなのか…もう俺も親になるんだな。パパとママって呼び合わないとな。パパだよ〜かいと〜」

「うふふ、私もママね。話しかけたらかいとが蹴って返事するかもよ?初めてのキック記念日よ」


しかし、彼の“それ”はポコポコなどという可愛いものではなかった。


「ヘグゥゥ!」


母親が突然呻き声を上げて吹き飛んだ。


「ママ!?」


彼のはじめてのキックは母親に全治二週のけがを負わせた。



《小学1年生》

彼の並外れた運動能力は各スポーツ協会から声がかかり、坂谷はまんべんなくそのスポーツの試合に出ることになった。


だが彼にとってスポーツの小学生大会など赤子の手をひねるようなものだった。彼も小1の赤子なのだが。


空手の大会に出れば、相手の小学生を重トラックに轢かれたような大怪我を負わせて会場を出禁になった。


「え、オレなんか悪いことしたの?」


坂谷は終始困惑していたらしい。


ちびっこ相撲の大会に出た時には、坂谷は試合すらできなかった。なぜかというと、四股を踏む段階で土俵を踏み壊してしまったからだ。


「あのおっちゃんおもっきし四股踏めっていったじゃん!」


土俵を裸足で踏み壊した坂谷の足は全くの無傷だったという。


棒高跳びの大会に出た時は棒の使い方が分からず跳びすぎ、大気が薄いところまで届いたらしい。その話の信憑性は微妙だが、本人は


「なんかわかんないけど、落ちたとこにお客さんがいなかったら死んでたなぁ」


と言っていた。観客が1人大怪我を負ったのは事実でその会場も出禁になった。


現在、坂谷の入れない場所は日本全国にある。



《中学2年》

結局どのスポーツも「できすぎてダメ」という特殊な状況になってしまった坂谷は、中学に入るとすっかりグレてしまった。そして驚異的な強さの坂谷は中2ですでに番長となっていた。


「うるぁぁぁ!坂谷っちゅうんはどこのどいつじゃぁ!あぁん?」


ある日、坂谷率いるヤンキー集団がたまっていた場所に他校のヤンキーが殴り込みにやってきた。


「どうするんすか坂谷番長!」


舎弟の1人が慌てて坂谷に聞く。


「ちょっと待てって伝えろ」


坂谷がそういうと従順な舎弟は、


「ちょっと待ってろやぁぁ!あぁん!?」

と律儀に伝えた。


すると、その横を偶然石焼き芋のトラックが通る。あのテーマソング「石焼き芋〜秋季特別.ver〜」を携えて。


「おい、芋買ってくる。」


正直抗争などどうでもいい坂谷はその香ばしい匂いに誘われてその場を離れようとする。


「ちょっと、兄貴!」


舎弟数人が止めようとしたが、坂谷が


「あれだけは外せねえんだ!」


というと舎弟たちはすぐさま他校のヤンキーの方を振り返り、


「あれだけは外せねえって兄貴が言ってんだよぉぉ!ああん!?」


と叫んだ。ちなみに従順な舎弟たちは坂谷より全然年上だ。


もちろん他校のヤンキーは全力で追いかけてくる。


「おい逃げるんじゃねえぞゴルァぁ!坂谷ぃ!」


坂谷はそんなヤンキーの方は向きもせず一発だけ顔面にパンチを入れて走り去る。


その何気ないパンチはヤンキーを吹き飛ばし、視界の外へ消し去った。


「さっすが兄貴!」


こうして彼のヤンキー伝説はさらに増えてしまった。




そして、男子高校生になった2人が…出会った。



*****



「準備いいか?僕の計画通りやれば絶対成功する。いいな坂谷」


白井が無線で坂谷に最終確認をする。


「OK、俺たちに失敗の4文字はねえ」


白井のおかげでヤンキー業界から足を洗った坂谷がドヤ顔で言う。


「お前ひらがなで行くタイプだったのな」


今回、この天才2人が挑むのは…


「「絶対に女子更衣室を覗いてみせる!!」」

ここまで読んでいただいて本当にありがとうございます。最後まで読んでいただけると幸いです…

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