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作者、『雨、時々ラプソディ』を振り返る。

 深夜、仕事から帰宅した私は、鞄を床に置いてソファーへ倒れ込んだ。


 最近は、実は小説を書き始めるくらいの余裕があった。でも、小説を書いて寝不足になり、「忙しくて寝不足でふらふらなんですぅ」を装っていたのに。


 なぜか、その余裕がバレたらしい。仕事が空から降ってくるようになった。拾い上げて持ち帰るが、窓からスターダストしてしまいそうだ。


 私に足りないのは演技力だったか、と溜め息をつきながら、携帯を開く。画面を見つめている間は眠くならない。


 ブルーライトはやばいやつ、と思いながら、私は第12部分を振り返った。

 

 初めて。ちょっとだけ褒めるが、レムは大変良いキャラクターだと思う。他の小説にも出せそうな、扱いやすさがある。それでいて、個性がないわけでもない。


 歩は見惚れすぎだけど。会話を忘れないで、と言おうか迷ったくらいに。それはさておき。


 レムのようなキャラクターなら、最初の方でちらっと登場させておいても良かった。そして、この場面では、歩に世界のことを教えてあげたいけど、ここまでしか言えない葛藤を出してあげたかった。


 唐突に、レムに喋らせるしかなくなったのは構成力の問題で、この場面だけで解決できるものではなかった。


 うーむ。全体を振り返ってみると、やはり納得しているわけでもない。でも、ここまで来た。


 未完の小説は、『雨、時々ラプソディ』で終わりを告げていた。この先からは元原稿がない。


 でも、終わりは近いと私は思っていた。


 元原稿からすると、まだまだヒントをどっさり出していかないと、世界から抜け出すことができない大長編になりそうな雰囲気があった。


 が、変更に変更を重ねてきた今。歩に必要なものは「独りで考える時間」のみだと思う。


 書きたいものが、頭の中にはある。ただ、それは。何度となく書いてきたのに、1度も選んだことのない展開だった。


 有栖川夜に出会ってからの10年越しの挑戦。逆に10年かけなければ、キャラクターを自分のものにすることも、文体を変えずに続きを書くことも、ままならなかった。


 未完の小説はもう二度といただくまい、と私は思った。続きを考えるだけで済めば良い。が、大方は最初から改稿していかないと書けないことを知る。


 しかも完結させられなかったら、書いてきた意味がない。元原稿をかき回しただけになってしまう。ここが、正念場だった。今の筆力を試す意味でも。


 つまずきそうになるのは、いつも時刻は夕方であることだ。必ず、夕日を描写しなければならない。情景描写は好きな方だが、夕日にバリエーションとなると…….。


 夜を待つ世界、は意外に作者泣かせの設定かもしれなかった。

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