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面白かったこと

 「・・・・・・なんで笑うんですか」

 わざとムッとした顔で芹沢さんを見る。それでも芹沢さんは笑ってくる。

 「ふふ、だ、だって、ふっ、もーだめだ。笑いが、止まんない」

「もー止めて下さい! 恥ずかしいじゃないですか!」

せめて笑ってる理由が分かれば、言い訳ができる。このままだとただ恥ずかしいだけだ。

 「いい加減にして下さい!」

こんな風に口では怒っているが、内心そんなに怒っていない。むしろ芹沢さんと話せて嬉しい。芹沢さんも俺が本気で怒ってないというのをちゃんとわかってるからこんなにいつまでも笑っているのだろう。

 「わかりましたわかりました。笑いもだいぶ収まったので理由を言います」

「どうぞ」

「なんというか、私の質問にさらに自分で疑問が増えたんですかね。よくはわかりませんけど、その時の顔が面白くて。コロコロといろんな表情に変わるんです。それが、ぷっ、面白くて。あー写真でも撮っとけばよかった。そうすれば見せることが出来たのに」

「や、止めて下さい! そんな、自分の顔とか自分で見たくないです!」

「あ、いや、この場合は動画の方がいいかも」

「動画も止めてくれ!」

「じゃあ、どんな顔していたか再現しましょうか? あ、河井さんに拒否権ありませんけどね」

「やらなくていいです!」

 俺の表情がかなり面白かったらしく、しばらく俺をからかっていた。俺は俺でも恥ずかしさでどんどん顔が赤くなっていく。

 からかわれた後は二人とも話題が見つからず、黙ってしまっていた。

 何か話題、と頭の中で考えてみるものの、こういう時に限って見つからない。いや、あるにはあるんだが、その話題で話が続くのかというと、それはない。そんなことより、何故か緊張して心臓がうるさい。

 チラッと隣を見ると、芹沢さんも俺と同じで話題が見つからないんだろう。顔を下に向けて自分の足を見ている。

 さらに時間つぶしに時計を見る。まだ外に出て15分くらいしか経っていない。いや、芹沢さんにとっては「15分も経った」かもしれない。

 そこでいきなり思いつく。この沈黙を破るのにも丁度いいかもしれない。男としてというのもあるが、普通に思ったことだから言ってみる。

「・・・あ、あの。寒くないですか? 俺はもう少しここにいるので芹沢さんは中に戻っていいですよ」

 芹沢さんは俺と同じで上着を着ていない。少し寒いのは俺だけかもしれないが、聞いて悪い方向に進むことはないだろう。

「大丈夫ですよ。寒くないです。それに私、河井さんのことをもっと知りたくなりました。だから他のみんなが解散するまで二人で話しましょう!」

と、彼女はそう言ってニコッと笑った。

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