入場:3
女装なんかしたくないのが、ほとんどの男性の願いでしょう。
投稿ペースが遅いのは勘弁下さい。
『もう、なにしてんのよ! もうちょっとまともに出来なかったの!』
『しょうがないでしょ。気付かれちゃったんだから』
『私言ったわよね「気付かれる前に押さえて」って』
『だったらもうちょい注意を惹き付けてくんないと。あれ以上はきついって……』
気が付くと見知らぬ場所で、目の前では望月さんが見覚えのある誰かと言い争っていた。まだ頭がくらくらして焦点が上手く合わない。彼女らは一体何を話しているんだろう。
『それは私に魅力が足り無かったってこと?』
『うーん、そうなんじゃないのか。だってお前まな板じゃあぁぁっ――っと。いきなり危っねーな。おい』
『うるさいわね! 関係ないでしょバカ』
『わかったから殴りかかんなって。だいたい普通なら気付かれなかったって、やっぱり、お前の魅力が少ないんだよ』
『だから、しょうがないじゃないの。彼も"殻持ち"だったんだから』
――殻持ち。
その言葉を聞いた瞬間、俺の中のアラームが大音量で鳴り響き始めた。反射的に立ち上がろうとしたのだが……
「――いって!」
それは出来なかった。逆に立ちあがろうとした勢いで地面に叩きつけられてしまった。どうやら四肢を拘束されていたらい。
その衝撃で望月さん達が、俺が起きたことに気付いたようだ。二言程交わすと男は扉の向こうに消えていった。
「ようやく目が覚めたわね。気分はどうかしら?」
そう言いながら近付いて来た望月の手には何らかの紙があった。
「色々聞きたいだろうけど、まぁまずはこれを見てよ」
すると望月さんは、手に持っていた紙を目の前に押し出して来た。
「一体、何…………はぁ!?」
望月さんが見せた紙、いや、写真の中には一人が写っていた。
それは間違いなく俺だった。
ミニスカートに黒を基調としたフリル付きモノクロのエプロン。ご丁寧にニーソまで着用している。
萌えメイド完全形体の俺がいた。