星と
説明会です
飛ばさないで読んでほしいです
西暦二〇三〇年夏。珍しくもない客が見つかった。
その来客は古来から厄災の前触れとして恐れられており、毎回その美しい尾をなびかせながら地球に訪れていた。
今回の来客は他と比べて汚れの割合が極めて少ないため「汚れのない雪玉」と呼ばれるようになった。
同年一二月二四日のクリスマスイブ。来客は大規模な事故に遭いながら多数の欠片となり訪問してきた。
結果、事故に遭った来客は地球上の至る所に拡散した。
そして来客が持ち込んだ贈り物は、"EstNativitatisクリスマスDonumプレゼントVirusウイルス"と名付けられ、ENDウイルスと言い、通称"ギフト"と呼ばれる様になった。
影響を受けた者は代謝が上昇し、超人的な体力と、圧倒的な自己回復力を得ることができた。
そしてもう一つ、彼らは、自分と外界の繋がりを強める力。危険に気付く為の力を得た。
それを人々は、"神の力"だとか"形而上の殻"だとか言い、最終的には――"神殻"と言い、それを持つ者のことを、"殻持ち"と呼ぶ様になった。
彼らは基本的に「視覚」「味覚」「聴覚」「触覚」「嗅覚」の内、"人類レベル"の最大までとして一つの機能を増幅させる力である。それ故、例えば視覚が良くなったとしても、可視光線以外が見える様になるわけでもなく、聴覚として超音波が聴こえるわけでもない。味蕾や嗅細胞の数が増えるわけでは無い。
とは言え神殻は自然に生きる動物の力を得たかの如く、鋭く、研ぎ澄まされた感覚を与えた。
それは、鋭く尖った鋭覚と呼ばれ殻持ちの代名詞となった。
ただ、代償が無かった訳では無い。初期の殻持ちは高確率でノイローゼになってしまった。理由は単純、能力に圧迫されたのだ。
考えてみてほしい、体調不良から戻ってみればが感度が異常になっているのだ。耳が、目が、鼻が、舌が、皮膚が。
彼らの苦痛を集めた日本の本が僅か一週間後には世界中で販売されるようになったと言えばわかるだろうか?
その後世界初の殻持ちが観測されたのは、訪問から二年後の二千三十二年だった。翌年には日本でも数名が観測され、さらに十年後には全世界で百万人を超えて日本では五万人程が観測された。
――しかし、外見で殻持ちを判断する方法は、体の何処かに現れるという、ある特徴的な擦過傷に限られてしまい、統計は基本的に自己申告による物だった。
結果として、実際に申告しているのは全体の半分程度ではないかと言われている。
申告が少ない理由としては偏見の目が一番だろう。政府は積極的に彼らを受け入れ検査、医療等の準備を施した。
だが、月に一回の検査が義務付けられ、殻持ちでいることが気付かれてしまうケースも多かった。
――その場合、世間は彼らに冷たかった。
超能力とまではいかなくても、一般人とはかけ離れた感覚器官と身体能力を手有しているのだ。偏見の目で観られてしまっても、それは仕方がないことだろうと思っていた。
――俺が殻持ちになるまでは……