第二ウェーブ①
「ピクシーと冒険者とのキルレシオは、だいたい五対一くらいか」
オレは妖精たちの鑑定結果からザックリとした戦力比を導いていく。
まずはピクシー四天王のすみれ——
個体名称 :すみれ
種族分類 :妖精種 ピクシー 四天王
魔力値 :169(↑129)
理力値 :0
アビリティ:浮遊C +109(↑31)
雷魔法F +1999(↑572)
帯電体質F +1999(↑648)
感電耐性F +1999(↑923)
音波耐性D +199(new)
——と、ものすごく末尾9が気になる結果に。
あからさまに『なにかのキッカケがあれば!』みたい表記だった。
ただ、まだ間違いなくカンストではない。それはオレのステータスからも明らか。
ではどうぞ——
個体名称 :米田堀フトシ
種族分類 :妖精種 ぽっちゃりピクシーの大魔王
魔力値 :149(↑144)
理力値 :6319
アビリティ:浮遊F +39(↑31)
雷魔法F +19(15)
帯電体質F +1999(↑928)
電撃耐性F +2789(↑7)
音波耐性D +199(new)
——うん。配下であるはずのピクシー四天王に、魔力値で負けている。あと理力値は変化なし。
それは置いておくとして、やはり電撃耐性Fが二〇〇〇代に突入しているから、カンストはまだまだ先。なんなら万の桁もあり得る。
ちなみに、すみれ以外のピクシー四天王もステータスの差はあまりない。若干、つつじ&れんげペアは『浮遊C』の伸びがよかったくらいだ。
それはつまり、数字には表れない要素もたくさんあるということ。当たり前の話か。
◇
冒険者パーティーの侵入から、およそ一ヶ月が経過。
この期間で、まだまだ元通りとは言えないまでも妖精の個体数は以前の五割ほどまで戻った。
これはピクシーも例外なく。そして、新参たちのステータスも、これまでの歩みが反映された数値になっていた。
以下は一例——
個体名称 :なし
種族分類 :妖精種 ピクシー
魔力値 :87
理力値 :0
アビリティ:浮遊C +99
雷魔法F +1460
帯電体質F +1251
感電耐性F +976
音波耐性D +199
——これから前後することはあっても、ほぼ二桁未満の差。
そして、新たな仲間はピクシー四天王それぞれに面倒を見てもらっている。
とはいっても明確な上下関係などはなく、先輩後輩に至らないくらいの緩やかな指揮系統。どちらというと、先任者に対する新加入したピクシーなりのリスペクトを示しているって感じかな。
さてさて、だいぶ防衛力の強化は図れてきた。
まだまだ満足の域まで達してはいないが、侵入者に対して打てる手が逃げ一択でなくなっと言ってもいい進捗具合だろう。あくまで冒険者が相手という前提でだが。
これから先、王国や冒険者ギルドなどの仮想敵組織がどう動くのか……。それ次第。
その予測をするに当たり、オレの内にある前世の価値観は邪魔にしかならない。
現代社会の常識などという範疇に留まらず、人類史を含めた地球人としての感覚すべてがだ。
だって、ドラゴンを一刀両断できる人間なんていなかったろ。ピクシーみたいに無限湧きする生物も。
好ましくない例になるが、妖精に関しては、アメーバみたいな単細胞生物とかが割と近いのかな。
なんにせよ結論は『オレの常識で決めつけてはいけない』これに尽きる。
その証拠が——襲来した。凝りずにまた冒険者パーティーだ。
「前回の倍⁉︎」
「そー。格好は似たような感じ。けっこう強そうだったよー」
オレはフェアリーの知らせに頭を抱えてみせた。
まだまだピクシーもコボルトもケットシーも、その個体数を完全には回復できていない。そのうえ、妖精と冒険者とでは圧倒的なステータス差がある。
だというのに、第二ウェーブは四人パーティーが四組もとは……。
ククッ、なぁんてな。
いくら生命の軽い世界観とはいえ、二組で全滅したから次は四組ってか。もう少し考えが至らんものかねぇ。
「組には別れてるっぽいけどー、あんまり離れてなかったかなぁ」
分散していないのは、もしや撤退も視野に入れている? ただ単にビビっいてるだけという可能性もあるが……、やめだ。決めつけはやめておこう。
「どちらにしても好都合。まずはコボルトの咆哮で出番を挫く。すぐのち、オレたちピクシーとケットシーも加わり一撃離脱。一発殴ったら直ちに退くから」
「そのあとアタシらの出番、でしょ」
よくわかってるじゃないか。
「ムキになって追ってくるよう、せいぜい刺激してやれ」
「いひひっ。アンタって性格わっる〜い」
オマエもな。
「では——行動開始!」




