番号
オチなし
ここは、広い。とても広い、世界の隅まで続いてる場所だ。
目の前には襖と板の間で構成された薄暗い部屋が見える。
そう、まるで幽霊が出るといえるような、陰鬱な。
(、、、、、、、いや、出る。私には分かる)
正しくは幽霊ではないのだろうが。
アレを、なんと言えば正確なのかは恐らく誰にも分からないだろう
私はここから逃げなければいけない。
でなければ、死ぬ、確実に。
この部屋にずっといれば、見つかるだけなのだ。
(死にたくない。)
私は襖を開け、動き始めた。
何箇所か部屋を進みながら、内部の確認をしたが
特に必要なものは見つからなかった。
さらに進み続けれると
さらに暗い部屋に長身の男がいた。
暗いのだが不思議と男だけはよく見えた。
髪は黒色、肩まで伸ばし放しだった。
暗めの薄手の着物は男の雰囲気に合っていた。
(この男は敵ではない。そう、分かる。)
男と会話を試みると
彼はアレは沢山居る。それぞれ別の物なので対処法も違う。
この部屋にはしばらく居ると教えてくれた。
私はまた進み続けた。
男がいた部屋から三部屋目に入ると
顔に何か当たった。
服だ
見渡す限り服が至る所に吊り下げられ
満遍なく部屋を埋め尽くされている。
まるで衣装部屋だ。
しきつめすぎて、移動には邪魔だ。
服をかき分けながら無理矢理すすむ。
めくっても服、服で前が分からない。
服をまた、めくったとき鬼の面が見えた。
(まずい)
急転換し、部屋を戻る。
無理矢理服をかき分けてきたので、
跡が残り、ルートは分かる。
(大丈夫、間に合う。)
衣装部屋を抜けた先を駆けぬた。
後ろを見る必要はない
後ろから追ってきているから。
先ほどの部屋に戻ると男はいた。
男はなにもいわず、ただ準備をし始めた。
少しして黒い霧状のものが部屋に充満しだし
どんどん色が黒くなり身体となり、
その中から鬼の面がでて頭になった。
男は呪文を唱え、私は見ているだけだった。
呪文を唱えると鬼の面は苦しみだしのたうち回るように
身体を動かした。次第に身体が薄くなり、背景がぼんやり見え
透明になり、消えた
男は何でもできるわけじゃないぞと
怒るでもなく、注意を促した。
その言葉は私をちょっと不安にし、
移動せず男と一緒に居たいとも思ったが
男といても死なないわけでもない。
やはり逃げ続けるしかないのだ。
私には他に手段がない
私は衣装部屋以外の他の場所に行こうと思い、
別の襖から行動し始めた。
4つほど部屋を進んだ時
ポツンと小さな机の上に電話が置いてあった。
ピンクの公衆電話だ。今では滅多にお目にかかれない。
(繋がるのだろうか?)
受話器を手に取り、耳に当て、電話をかけようとするが、
番号が分からない。何もいい案もなければ番号も思い出せない。
一旦受話器を元に戻し、ふと机に目にやると
机の板下にもう1段あり、そこにメモ帳と小銭があった。
中身をパラパラとめくると、何個か電話番号が書いてあった。
(どれにかけるべきか、いやどれにかけないべきか?)
なんとなく、どれかは外れのはずだという確信があった。
外れを引けばアレが来るだろう。
さっきの奴は足が遅かっただけだ。
運が良かった。
正直こんな罰ゲームみたいなことしたくもない。
しかし、どれかは選ばなければ。
再度ページを捲ると1つの番号に目が止まった。
なんだか、懐かしい気がする。思い出せないが。
メモ帳を机に置くと受話器を取り、十円玉を三枚入れる。
指で番号をその通りに動かした。
呼び出し音が鳴る。
ふと先ほどの男の事を考えた。
何故か顔が分からない
思い出せないのだ、姿は分かる。
顔も分かっていたはずなのに、
記憶の中の彼は顔が黒い霧で見えにくい。
(この番号は正しかったのだろうか?)
何十コール目だろうか?
相手はいっこうに出ない。
嫌な予感がする。
何か足音が聞こえた。
(あぁ、駄目だ。)
あれだ。
追いつかれてしまった。
後ろを見なくても分かる。
いる。
もう遅い。
振り返れない。
(外れだったのだろうか)
振り返ったら死ぬ。
振り返るな。
振りーー
オチなし




