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第2話 同じコンビニ
三度目のコンビニを過ぎた時、彼の手のひらはじっとりと汗で濡れていた。
信じたくはない。だが確かに、看板も、建物の形も、ガラス越しの陳列棚までもが“同じ”だった。
「……一本道のはずだ。おかしい」
声に出すことで、現実感をつなぎ止めようとする。
だが五分後、また視界に緑色の光が浮かんだ。
今度は四度目だ。
看板の文字は同じだ。だが――コンビニの窓ガラスには、誰かがこちらを見ているような黒い影が映っていた。
ぎょっとして振り返るが、車内には誰もいない。
それでも、バックミラー越しの後部座席に、わずかに残像が揺れた気がした。
アクセルを踏む。
道を抜ければ大通りに出られるはずだと、必死に自分に言い聞かせる。
……十分後。
またもや右手に、あの緑の看板。
そして、駐車場に停まっていたのは――自分が乗っているのと同じ車だった。