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第1話 迂回の噂(続き)
街灯の乏しい道を抜けると、ふいに視界が開けた。
右手に見えたのは、見慣れた緑色の看板――コンビニだった。
「ああ、よかった。ここを曲がれば幹線道路に出られる」
安心した彼はハンドルを切り、再び車を走らせる。
数分後。
不意に、視界の右手に同じ看板が飛び込んできた。
――同じコンビニだ。
だがそんなはずはない。
店のロゴも、駐車場に停まっている白い軽ワゴンも、先ほどとまったく同じだった。
「……あれ?」
運転席でつぶやく声は、妙に乾いていた。
“気のせいだ”と自分に言い聞かせてハンドルを握る。
だが、さらに数分後――またもや、右手に緑色の光が浮かび上がった。
今度は、さっきよりも駐車場が暗い。
車も消えていて、まるで誰も寄りついた形跡がないように見える。
それでも、看板は間違いなく同じ店名を掲げていた。
「おかしい……」
額に汗が滲む。
ただの偶然か、それとも。
気づけば、フロントガラスの向こうには、またしてもあの緑色の看板が待ち構えていた。