第5話 ようかん?!レストラン
登場人物紹介
明智桜子 ちろらし探偵社所長
猫柳明美 通称ネコミ、新人探偵。
バディはらっちー。
二階堂 通称シザー、霊能探偵。
らっちー しゃべる探偵犬。
バディはネコミ。
一柳裕子 レストランオーナー
加賀照美 レストランシェフ
有田帆夏 レストランウェイトレス
*登場人物その他名称は全てフィクションです。
いつになくマジな感じで所長に呼び出された私とらっちー。
「所長、何かありましたか?」
『ワシの出番なんかい?』
所長は暫く黙っていたが、話し始めた。
「今のあなた達なら、お願い出来るわね。」
は?今なら大丈夫な案件?どゆこと…。
「このレストランで調査してもらいます。」
依頼書を見ると、最近話題の洋食レストランだった。
「ここ、最近評判の店ですよね。」
『ワシも行けるんか?』
「先方のオーナーには話してあります。らっちーもしっかり調査して下さいね。」
なんか、らっちーめっちゃしっぽ振ってる!
早速レストランに向かう。
「らっちー着いたよ。」
『いい匂いがしとるのう。』
「らっちーヨダレ、ヨダレ…。」
大丈夫かな…。
まずはオーナーさんに挨拶だ。
確か一柳さんだったかな。店に入り取り次いでもらった。
「ようこそ、おいで下さりました。私がこのレストランのオーナー、一柳裕子です。」
「ちろらし探偵社の猫柳とこちらバディのらっちーです。」
『よろしくですじゃ。』
一柳さん、犬が喋っているのに平然としてる。
何かうちの所長と雰囲気似てるな。
「あの、オーナーさんとうちの所長って面識あるんですか?」
「ああ、桜子は同級生よ。」
なにー、めっちゃ親しいじゃん。2人とも何才なんだろ。凄く気になる。
「今回のご依頼はどういう内容でしょうか?」
そうなのだ。依頼書には肝心なことが書かれてなかった。しかも、何か所長意味ありげに笑ってたし…。
「なーんだ、桜子は話してないんだ。」
私ら、所長とオーナーにもてあそばれてんかい?
「うちのレストランに、最近異変が起こっているんです。」
「異変とは?」
「詳しくは、うちのシェフとウェイトレスから聞いた方がいいわね。」
やっぱ、このオーナー所長のダチなんだな...。
客席フロアに行くと、コック姿の人とメイド服姿の人がいる。
お客さんはいないようだ。
「ちろらし探偵社の猫柳とバディのらっちーです。」
『よろしくなんじゃな。』
「きゃ、犬が話してる!」
そうだよな。これが普通の反応だよ。
「一柳オーナーから調査をするように言われたんですが…。」
「あっ、探偵社の方ですね。私は当レストランのシェフ加賀照美です。」
「私はウェイトレスをしている有田帆夏です。」
「早速ですが、何か異変が最近起こっているそうですが。」
2人とも顔を見合わせて、困った感じだったが、加賀シェフが話し始めた。
「このレストランは、元々旧家のお屋敷でしたが少し前にオーナーが買い取ったそうです。」
「どなたのお屋敷だったんですか?」
「私たちは開店直前に雇われたんで、詳しくはオーナーに聞いた方がいいですね。」
ふと横を見ると、らっちーがいない。
らっちートイレでもしたいのかな、って厨房に向かってフラフラ歩いてんですけど!
「らっちー、お腹すいたの?」
『あの厨房、なんかヤバい…。』
らっちーの様子が緊迫してる。
「加賀シェフ、厨房に何が...。」
加賀シェフ顔が真っ青だ。
「有田さん、あの...。」
有田さんはしゃがみこんで話にならない。
厨房に何かある!この異変の元凶は厨房内で間違いない!
「らっちー、行くよ!」
『ネコミどの、参るぞ!』
2人で厨房に向かおうとした時だった。
不意に後ろから、
「お前たち、相変わらず無謀だな。」
聞き慣れたその声。
「シザーさん!」
『シザーどの!』
なんでここにシザーさんが?やっぱ所長の差し金か。
「今回の案件、この前の矢吹家よりもヤバいぞ。」
やっぱり、そうだよね。異変とか言ってる時点で気付くべきだった。
「シザーさん、厨房に一体何が?」
「人じゃないことは間違いないよな。」
『あれは生物の臭いじゃないのう。』
シザーさんはバックからなんやら道具を出している。
「ネコミはこの紙を。」
「らっちーはこの布を咥えろ。」
シザーさんが、何か渡す。なんじゃこれ?
でも、得たいの知れない何かにはこれが無いと対処出来ないんだな。
いよいよ厨房に向かう。
「3人とも気を付けて下さい。」
加賀さんが心配そうに見る。
厨房の扉を開ける。
室内は暗いが、奥にぼんやり光が見える。
その光からは、異様なオーラみたいなものを感じる。
「あの奥にいるんですね。」
シザーさんを見ると鋭い目つきで睨んでいる。
「ヤツは厄介だな。」
何か霊力とかが強いってことかな?
その時だった。
急に部屋の禍々しさが消えた。
えっ倒した?いや、なんもしてないんですけど。
『ヤツは逃げたな。』
「えっ、らっちー分かるの?」
シザーが道具を片付けている。
「解決ですか?」
「いや、相手は移動するヤツだから、また暫くしたらここに現れる。」
『捕えるのは大変そうじゃな。』
えー!マジ厄介なヤツじゃん。だからシザーさん手強い感じの相手だとか言ってたのか。
有田さんも落ち着き、加賀シェフから詳しく事情を聞いた。
「あれが起こり始めたのは10日前くらいからでした。」
矢吹さんの案件と同じくらいの時期だ。
「いつも大体同じ時間になると、厨房の奥が変な雰囲気になるんです。」
有田さんも頷く。
「近づこうとしても、何かに阻まれてしまい、その時間は仕事にならないんです。」
「そんな時、うちのオーナーが、知り合いにそう言う事に詳しい人がいるとあなた方を紹介してくれました。」
「私ただの探偵ですが?」
「えっ、『超常現象研究所』の方々ではないんですか?」
なにー!超常現象?!
どうりで、依頼案件も何か変だなーとか思ってたんだよね。
「ねぇ、シザーさん、どゆこと?」
「所長に聞くんだな。でも、この依頼は解決しろよ。」
厄介な相手との対決、そもそもただの探偵社ではないのか?
ネコミは今モーレツに混乱してる…。
第6話 予告
ちろらし探偵社は超常現象研究所?時間になると出現・消滅を繰り返す異変。
ネコミ・らっちー・シザーはこの難敵をクリアすることが出来るか!
次回 「神出鬼没の敵?ドーナツてるの!」
始まりましたレストラン怪異編。現探偵社フルメンバーで解決に挑みます。所長の親友一柳さんとのかつてのエピソードはそのうちに。