第4話 しゃべる犬の冒険?!
登場人物紹介
明智桜子 ちろらし探偵社所長
猫柳明美 通称ネコミ。新人探偵
二階堂 通称シザー。霊能探偵
ザマス婦人 今回の依頼人
らっちー しゃべる犬
*登場人物その他名称は全てフィクションです。
今日も暇だなぁ。
事務所の掃除をしながらふと考えた。
矢吹さんの事件以降、新規の依頼はない。
こんなんで大丈夫なのかな。
そんな時、事務所のドアが開き、ご婦人が入って来た。
「誰かいるザマスか?」
「何かご用件でしょうか。」
婦人はまくしたてる。
「宅のワンコが変になったザマス。もうあんなワンコはいらないので、こちらで対処するザマス。」
えっ、ここ保健所だったっけ?
「ここに住所のメモ置いとくので、すぐ来るザマス。」
そう言うとザマス婦人は帰ってしまった。
こんな時に限って所長いないんだよなぁ。
仕方ない、とりあえず私だけでも行くか。あのザマス婦人厄介そうだな。
メモの住所に着くと一軒家があった。
入口付近に犬小屋がある。この犬かな?
近づくと、何かしょぼくれた感じの犬がいる。
『しょぼくれていて悪かったな。』
えっ、誰?
周りを見るが誰もいない!
霊?いやな予感がする。
『霊じゃない。ワシだよワシ。目の前の犬じゃよ。』
マジ!犬しゃべってる!
いや、またテレパシーみたいな感じか。
「あんたしゃべれるの?」
犬に向かってマジで話す姿はヤバい人に見える…。
『何か話せる感じじゃな。うちのご主人に話しかけたら気持ち悪がられてな…。』
「ザマス婦人に捨てられるの…。」
『仕方ないのう。』
なんかかわいそうだな。
でも、依頼は犬の対処だから、とりあえず事務所に連れてくか。
ザマス婦人に挨拶し、しゃべる犬を引き取った。
事務所に帰ると所長が戻っていた。
「ネコミ、その犬なに?」
ザマス婦人の一件を話すと、色んな所に電話してた。どうやら犬の管理は色々手続きがあるらしい。
「ところで、ネコミ。その犬どうするの?」
「この犬しゃべるんです。でも何で話せるようになったのかな?」
「じゃ、最後まで調査しないとね。頑張ってね。」
いや、犬だからって私だけで調査すんの?
『すまんのう。ワシも理由が知りたい。』
そうだよね。たとえ犬でも不思議な現象は解決しなきゃだよね。
「分かったわ。このネコミが不思議犬の謎を解いてあげる。」
『ワシ、不思議犬じゃなくて、ラッシー。名犬ラッシーから名付けられた。』
「あんた、名犬というより迷犬じゃない?それに、ラッシーとか気取りすぎ。らっちーで十分。」
『あんた、見かけによらず酷いのう。まあ、あんたが名付けてくれたらっちーもまんざらではないのう。』
こうして、新人探偵としゃべる犬の迷コンビが誕生した。
「ところで、ザマス婦人は急にらっちーが変になったって言ってたけど、いつから?」
『一週間前くらいかのう。』
「その時、いつもと違うことした?」
らっちーは暫く考えていたようだが、そのまま寝てしまった…。
「なに寝てんのよ!調査中でしょ!」
『無理言うなよ。人間の年齢なら70才は越えとる。』
ジジ犬かい。大丈夫かな、この先…。
『あっ!思い出した!』
「何か分かった?」
『ワシ、トイレ行きたい。』
もう、このらっちー、何とかならないかな…。
それからもらっちーはグダグダして、何にも進展がなかった。
そんなある日、突然らっちーが閃いたように言ってきた。
『ネコミどの、ネコミどの。』
「何、トイレそこだよ。」
『トイレじゃないんじゃ。不思議のきっかけを思い出したんじゃ。』
「えっ、何なの?」
『ワシ、いつも散歩のコースは決まっているんじゃが、あの日だけは違うコースじゃった。』
「つまり、いつもと違うコースで異変が生じたと?」
『そうじゃ!間違いない......と言いたいが何か自信ない。』
「何からっちーらしいよね。でも、調べてみようか、そのコース。」
こうして、ネコミとらっちーの現場検証は始まった。
ザマス婦人の家かららっちーの記憶を頼りに進む。どうやら途中で急にコースを変えたらしい。
「ザマス婦人がコースを変えた時、何かいつもと違うことした?」
『そうじゃ。あの時、誰かと電話してたな。』
「電話なんて、いつでもしてるんじゃない?」
『ご主人は散歩中は絶対電話せんのじゃ。』
「元ご主人ね。」
らっちーは少し寂しそうだった。
『ネコミどの。』
「どうしたのらっちー。」
『もう、不思議の解明はせんでもよい。』
何からっちーふっきれたみたい。
「なら、帰ろっか。」
『そうじゃな。』
事務所に帰ろうとした時だった。
急にらっちーがある一点を見つめ、
『あそこじゃ!』
えっ?どこ?
キョロキョロ辺りを見ると、あの森!
美奈さんに取り憑いた生霊佐伯さんのいた店もある!
どうやらこの森、ただの場所じゃない。
『ネコミどの。今はまだダメじゃ。時を待つんじゃ。』
「いずれこの森の秘密は解明しなきゃだね、らっちー!」
らっちーの謎は分からなかったが、本人(犬)がそれでいいなら、まっいいか。
「ところで、らっちーこれからどうすんの。」
『野良か…。行く宛もないからのう。』
「じゃ、ウチに来る?」
『ネコミどの、良いのか?』
「その代わり、探偵の仕事手伝ってくれる?」
『探偵犬か…。悪くないのう。』
深夜、ちろらし探偵社事務所にて、明智所長が誰かと電話している。
「分かりました。例のプロジェクト開始します。」
いよいよ動き出す何か。まだネコミとらっちーはこの事実を知らず、のんびり散歩しているのであった。
エピソード2 しゃべる犬 完
第5話 予告
不気味にたたずむ洋館のレストラン。
最近、何か不穏な動きが…。
次回 「ようかん?!レストラン」
ついに、シャーロじゃなかった。らっちーの登場です。ネコミとの犬猫コンビはますますドタバタ要素しかない?ちなみに主人公は猫ですが、作者は犬派なんですよ。