第2話 助っ人は厨二病?!
登場人物紹介
明智桜子 ちろらし探偵社の所長
猫柳明美 通称ネコミ。新人探偵候補?
矢吹多恵子 今回案件の依頼人
矢吹美奈 今回案件の対象者
*登場人物の名前、その他名称はフィクションです。
ここが矢吹さんの家って、デカくない?!
依頼書の住所に来たが、豪邸…。
表札には確かに『矢吹』って書いてある。
インターホンを鳴らすと、多恵子さんが来てくれた。
「早速おいで下さりありがとうございます。」
何か急に気品ある感じがしたのは私だけだろうか。
「それでは、調査を始めさせて頂きます。」
一応明智所長から探偵捜査の基本は習った、がイマイチ分からんかった…。
娘さんの部屋の前まで多恵子さんが案内してくれたが、何か顔色が悪い。
「こちらの部屋です。後はよろしくお願いします。」
「あのー、中に…。」
一緒に入ろうとしたら、多恵子さん足早に行ってしまった。
何か嫌な予感するんですけど…。
よくよく扉を見ると、えっ!
扉の四隅にお札が貼ってある!!
これってヤバいやつだよねぇ。
私霊感とかないんですけど…。普通ないよね?
しかし、扉の前でたちすくしてても仕方がないので、意を決して扉を開けようとした。
「美奈さん、おじゃましまーす。」
ドアノブに手をかけた瞬間、急に後に引っ張られた!
「えっ、なに?」
「お前、ヤバいな。」
後に見知らぬ男がいた。
誰?あんたの方がヤバくない?
「あなた誰?」
「俺は桜子さんに頼まれた二階堂だ。まあ、シザーとでも呼んでくれ。」
何でシザー?それより、
「所長の知り合いなんですか?」
「桜子さんには借りがあるからな。それより、室内はかなりヤバいな。」
この男、何か道具を準備してる。あっ!
「その片面の眼帯、名誉の負傷ってやつですか?」
黒い眼帯してる。バトルでもしたのか?
「これは雰囲気だ。気にするな。」
なんなんだコイツ?マジでヤベーやつじゃん。
「あのー、室内には美奈さんがいますが…。」
「他にもいる。」
「カレシさんですかね?」
「そんなもんじゃない!」
私オカルト苦手なんですけど。夏によく特番とかする、あっち系か?
「二階堂さんって、霊能力者なんですか?」
「シザーと呼べ!」
こいつ厨二病だ。私より年上っぽいが、何してんの?
「あのー、シザーさん。部屋に美奈さん以外に誰がいるんですか?」
「少なくとも『人』じゃない。」
やっぱ幽霊だ。しかも悪霊っぽい。もう私の手におえる相手でないことは確かだ。
「あのー、私おじゃまなようなんで帰りますね。」
「これからが『お楽しみ』なんじゃないか。一緒に行くぞ!」
ムリムリムリムリ!そういうのはドラマとかだけにして。リアルホラーダメなんですけど。
「じゃ、開けるぞ!」
シザーさん、めっちゃはりきっているんですけど。でも、依頼案件放っておけないし…。行くか!
2人で部屋に入ると中は真っ暗だった。
「美奈さん!美奈さんいますか?」
奥から小さな声で、
「逃げて…。」
奥にいるのは美奈さんだ。でも…、他に何かいる!
「シザーさん!」
「ネコミ!俺の指示通り動け!」
えっ、呼び捨て?しかも何かコードネームみたいになってません?でもかなり緊迫した状況だ。
「どうすれば?」
「これを持って部屋の中央に。そこでかかげろ!」
何か棒みたいなもの渡された。何コレ?
まあ、言われたとおりするか…。
暗い中、真ん中あたりまで移動する。
これかかげるんだよね…。
ふとあのセリフが頭に浮かぶ…。
「我生涯に一編の悔い無し!」
何だか分からん棒をまっすぐかかげ、アホみたいなこと言ってしまった...。
でも、一度言ってみたかったんだよね。
叫んだ瞬間、棒が光り出した!
なっ何ごと?これサイリウムなの?
ついつい左右に降りたくなる、がここは我慢。
「シザーさん!この後…。」
振り返るとシザーさんが部屋に何か振り撒いている。
部屋が明るくなると、奥に女性がいるのが分かった。それに、その横にいるのは…。
「あれが悪霊なの!」
思わず叫んでいたが、シザーさんは冷静に言った。
「悪霊では無く、生霊だ。」
「少なくとも人じゃない!」
でも、そんなのどう対処すればいいの?
一般市民がどうこう出来るもんじゃないですよ?
「まずは確保する。」
いきなりシザーさんが生霊に近づき、何か紐みたいなので巻いてる。
暇なんで渡された棒、よくよく見たら読めない字がいっぱい書いてある!なんじゃこの棒?
どうやら、生霊はシザーさんのおかげで捕縛したみたい。
「後はお前の仕事だ。」
えっ、私除霊とか無理なんですけど。
「私に何が?」
「お前も探偵のはしくれなら、することは分かるよな。」
生霊に事情聴取すんの?嘘でしょー!
でも、やるしかないんだよねぇ。
「あのーシザーさん、生霊って日本語話すんですか?」
「何バカなこと言ってんだ!」
そうだよねぇ。何かコミュニケーションとるしかないよね。
ゆっくりと近づいて、
「あのー、生霊さん?」
「........ 。」
「何か話せます?」
「.........。」
やっぱ会話出来ないじゃん。相手が霊とかじゃもうムリゲーなんじゃない?
その時、頭に声が聞こえた。
『あなた、私がわかるの?』
えっ、誰?
『あなたが生霊と呼んでいる者です。』
なにーーー!テレパシーで会話すんのー!
第3話 予告
美奈さんが部屋から出れないのは生霊のせいだった。でも、どうすればいい?
次回『旧家の生霊』完結編
「生霊とお友達?!」
新キャラ、シザー君も登場し、いよいよ次回このエピソードもクライマックスに。
ネコミは至って普通の人かと思いきや、やっぱり癖強いんですよね。それではまた次回に。