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アルス・フォン・マガル

グレスト王国それは世界樹に守られている国。水に困らず職に困らず飢えもしない楽園と称される国…それは表向きの評価…なぜならその世界樹の中には危険な生物が存在していて数多くの迷宮が拡がっているからだ…


「アルス!!早く運べ!!!死んじまうぞ!!」


筋肉質で狼らしき耳を生やし鋭い眼光をしてる大男が声を上げる


「はぁ…はぁ!!…はいっ!!ぐっ…」


息を切らすアルスと呼ばれる白髪の少年…赤と青の非常にきれないな目を持つ者…だが今苦痛と疲労そして大荷物を抱え死にものぐるいで足を左右にうごがしている。


「くそっ!時間ねぇ!!アルス!!捕まれ!!」


狼耳の男が叫び手を伸ばしアルスは捕まるその瞬間宙を舞っている感覚に陥った


「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?…ぐべ…!?」


地面に強烈にたたきつけられるが苦痛の表情を見せる前に投げ飛ばした者の心配をする


「ラグルス先輩!!!」


「うごがぁぁぁぁぁ!!」


ラグルスと呼ばれる者が滑りこんできた…その瞬間地面が揺れ…いや空間が歪む感覚に陥る…意識を保つのに必死で立つことすらままならないほどの衝撃に襲われるが次第にその歪み?が収まったきた


「よかった!!ラグルス先輩!!よかったぁ!!」


アルスが安堵の表情とともにラグルスに抱きつく


「だァ!!もう暑苦しいなぁ!?まぁお前が無事でよかったよアルス…てめぇはもうちっと体力つけねぇとなぁ…しっかし"クラペラム"っつーの…?始めて見たがとんでもねぇな…何回も見たが…"ここまで変わるのかよ?"


ラグルスが驚くのは無理もないさっきまでいたはずの所がある堺を超えたあたりからまるっきり別の景色になったのだからマグマが広がる景色…先程まであった薄暗く足場が悪い洞窟の影は無い


「ええ…クラペラムに巻き込まれたものは歪みに取り込まれて姿を消すとか何とか…よかったですねアンライトムの時計を持ってきていて…」


アンライトムの時計と呼ばれる木の枝の秒針をしている時計…その木の枝が腐り落ち次第に時計も消えてなくなった


「また…買い直しですね…あっ!そうだ!ラグルス先輩!先程はありがとうございました!!ぼくは…助けられてばっかですね…」


アルスは肩を落とし落ち込む


「いんや…一月(ひとつき)の"ノルマ"が終わってねぇつって時間ギリギリまでいた俺のせいだ…それよりも急いで帰るぞ!!クラペラム直後だが、また魔物が出ちまうかもしれねぇ!」


ラグルスはアルスに手を伸ばし立ち上がらせる


「はいっ!急ぎましょう!」


アルスとラグルスは元来た道を急ぎ足で駆けると蒼色の金属でできた小さい門にたどり着く


「開けてくれ!!ラグルス・ジン・ヴォルだ!!」


そう扉に語り掛けるとゆっくりと扉が開かれる

すると奥から眉間に皺を寄せ武者のような顔をした中年の男。腹は出ているがそれは脂肪ではなく筋肉であることが分かる鍛え抜かれていた人が立っていた


「てめぇら!!こんな時間までもぐってたからよ!!死んだと思ったじゃねぇか!!!」


武者のような顔をしていたとは思えない顔を歪ませボロボロと泣き崩れ抱きついてきた


「ご、ごめんなさい!!ゴンゼルさん!!その…くすぐったっ!…あはは!、ちょっ!!」


「だからなんでみんなだきついてくんだよ!?暑苦しいんだよ!?悪かったから離してくれ!」


しばらくして泣き止やみ再び武者のような顔になる


「なぜこの時間になって帰ってきた!!クラペラムの起こる時間はわかっていたはずだ!!


ボロボロと泣き崩れていたと思えない程のお叱りの言葉アルスたちは身が引き締まる


「ご、ごめんなさい!実は"鉱魔石"の数が普段ある量より格段に少なかったんです!!一月ペースで起こるはずのクラペラルで鉱魔石の数はリセットされるはずなのに!」


アルスは中での出来事を語る


「それに、この一月以内に俺たち以外がこの"ダルゴアの迷宮"に入った記録はねぇ…しかも1週間前にここに入って鉱魔石を探し続けて思ったが確実に魔物の数が増えてやがったんだ!それで回収が遅れた…他のとこでもなってんのか?…」


ゴンゼルは腕を組み考えるような仕草をする


「今までそのような事例はない…すぐに上に掛け合い調査隊を出すよう掛け合いすぐに原因を突き止める、そしてアルスとラグルス、ノルマである鉱魔石20個の納品ご苦労だった報酬は下のものに支払わせる…今日は宿に帰りしっかりと休め」


苦悶の表情を浮かべゴンゼルがその場を立ち去る…


「なんだったんでしょうね…今まであんなことなかったのに…!」


アルスは眉間にシワを寄せ今後何が起こるか心配をしている


「さぁな…」


ひと仕事を終えた奴らとは思えない冴えない表情で軽い挨拶を済ませ別々の帰路に着く…


(この世界樹の中に来てからいつぐらいだったのだろう…2年?3年?わからない知りたくない…というかなんで世界樹の下に来たんだっけ…そうだ世界樹の外で暮らしている病気の妹のためにお金を稼ぐんだ!これだけは忘れるな!!くじけちゃァダメだ…頑張らないと…)


なぜアルスは世界樹の迷宮に来たのかそれは妹のため。

たった一人の肉親のためだ…世界樹の迷宮はその危険度から格段に報酬が良いとされるが、他に羽振りのいい仕事がなかったという訳では無い…他にやりたい事がなく手っ取り早くお金を稼ぎたいたったそれだけの理由でここ世界樹の中まで来たのだ。

たしかに世界樹での仕事はこのグレスト王国で1番に報酬がいいとされるが世界樹の中での仕事ということで太陽の光を浴びられず緑もなく"常に高濃度の魔力に当てられるからだ"

それ故、次第におかしくなるのだ。


(明日も仕事だ…早く…寝よう)


アルスはおかしくなっていると自覚しながら…今日も眠る…







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