練習1
試し書き
「落...ち..た.....あ.........あ」
それさえ奪われてしまったら、僕はどう生きるのか、自分の理想がいとも簡単に打ち砕かれ、そこには自分が負けたという事実しか残っていない。
これからどうしよう...親になんて言えばいいんだ
周りのノイズを遮断し、重い脚を無理矢理動かし霞んだ空を見ながら帰路へと向かい、周りの歓声から離れていく。
いつも以上に静かなまち。
「やり直せればな‥」
無力感に苛まわれ、言葉が溢れる。
なぜおちたのか?、考えてみればぼくは自分を天才だと思っていた。
教育熱心な親に育てられ、小学校で神童と言われ、中学では名門私立中にトップで入り周りから期待されていた。
自分を天才だと思い空虚な自信に満ち溢れ、勉強なんてしなくても余裕っしょ!と当時考えてた。
中学からゲームとアニメ三昧の堕落しきった生活にはまってしまった。
もちろん親はそんな自分を非難したよ、でも僕は才能があると思ってたから親の意見なんて聞く耳すらなかったんだよ、最低な野郎だよね。
中学の頃はそれでも成績は普通よりかは良かったんだよ、でも高校に上がってから今までの貯金がゼロになった。
学内順位も150位‥200位…最終的に320人中315位まで落ちた。
でも僕は自分を天才だと思っていた、努力を放棄してるだけでスペックは高いと思ったんだ、だって勝負すらしてなかったからね
だけど現実は甘くなかったんだ。
高校三年生から勉強しても全然伸びなかった。
そこで初めて自分が天才ではないことを自覚したんだ。
いや違うな、自分を偽ってた、本当は頭では理解してたんだ。
逃げたんだ僕は。
自分が天才ではないことを、ただ認めたくなかっただけなんだ
直前にちょっと頑張れば受かるだろうと自分を無理矢理言い聞かせてた。
だって僕にはそれしかなかったんだ、仕方ないだろ?
「‥‥」
考えるのはやめよう、とりあえず予備校でも探そう。
ぐちゃぐちゃなカバンからスマホを取り出し、画面上に水摘が落ちてきた。
「雨?
空を見上げ雨が降ってないことを確認しスマホを注視しながら歩きだした
「なんだ...涙か」
真っ暗な画面上に自分の泣いてる姿がなんだか情けなく映し出されていた。
親からのLineや電話がたくさん来てる..いまは話したくないや
「プルルルル!!!!!」
友達から電話がきた。
ノイズが遮断されなくなった。
けたたましい音や、動揺した人の声が急に聞こえるようになり、まるで現実世界に引き戻された感覚だ。
騒がしいな、そう思った瞬間体が吹き飛ばされてしまっていた。