表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/108

響子と無愛想男

 ――――――朝、響子はいつものように学校へ登校していた。以前なら出来るだけダサく見えるように腰まで伸びた長い髪を三つ編みにしていたのだが、どんなに外見をダサくしても色情霊のせいで全く効果がないことがわかって以来ずっとウェーブがかった髪をそのままにして学校に通っている。

 色情霊の力が絶好調に発揮されていた頃、登校時間も他の生徒より早めにマンションを出ていた。なぜなら登校途中で色んな男達に言い寄られたり痴漢まがいなことをされたりで、それらを振り払っていると完璧遅刻してしまうからだ。しかし君彦と猫又に出会ってからは気のせいか以前までの周囲の男達の発狂ぶりが少し鎮静化されているので、普通に登校しても間に合うようになっている。


 学校近辺に近付くにつれて響子に興奮し後を付けて来る男達が一人、また一人と増えながら響子は徒歩で登校していたのがいつの間にかダッシュになっている。いくら鎮静化されているとはいえ、やはり完全に目立たないようにするには無理があった。

 響子は鬱陶しそうに全速力で駆け抜けて行き角を曲がった瞬間――――――、安全確認をせずほぼ直角に方向転換したせいでゆっくり歩いて通学していた男子生徒にぶつかってしまう。かなりの勢いで走っていたがその男子生徒は190近い長身で体型も結構がっしりとしていたこともあって、響子にぶつかっても体勢を崩して倒れることもなく逆に響子の方がぶつかった衝撃で跳ね返り尻もちをついた。


「いったぁ~~っ!」


 男子生徒の背中に顔面をぶつけた響子が顔をさすっていると、反応が鈍いのか・・・ぶつかった男子生徒がワンテンポ遅れてから振り返り、響子に向かって手を差し伸べて来た。


「―――――大丈夫か?」


 年齢の割に低く渋い声で言葉をかけて来る男を見上げる響子、黒髪の短髪に少し日に焼けた肌、目つきが非常に悪い三白眼で表情は全く変わることのない無愛想であった。ぶつかって来たのは響子なのだが長身の無愛想男が手を差し伸べている姿に、あからさまに拒絶的な眼差しで無視する響子。

 自分で立ち上がってセーラー服のスカートに付いた砂を払い、そのまま声をかけることもなく通り過ぎようとした。そうこうしている内に後方から響子を追いかけていた男共が追いついて来たので、響子は舌打ちしながら再び走ろうとした―――――その時だ。


「おい、ちょっと待て」


 一本調子な低い声で響子に話しかける、当然男性不信の響子がその無愛想男の相手をするはずもなく無視して逃走の続きをしようとした時――――――、突然男が響子の肩を掴み背中を軽い力で叩いた。

 男に触れられたことで頭に血が上った響子が理性を失ったように振り返って、自分に触れた男を殴り飛ばそうとしたが―――――なぜかそんな気が一瞬にして吹き飛んでしまっている。


(え? ――――――これってどういうこと!?)


 まるでずっと重くのしかかっていたものが取れたような感覚になって、男の方を振り返ったまま呆けていた。わけのわからない展開に響子が言葉を失っていると、後方から追いついて来た男に気付いて再び逃げようとしたら無愛想男に再び声をかけられる。


「色情霊なら祓ったから大丈夫だ」


「――――――え!?」


 信じられない言葉を聞いた気がした、目を丸くして固まっていると自分めがけて追いかけていたはずの男達が普通に歩き出し・・・自然なテンションで響子の前を通り過ぎて行く。展開に全くついて行けない響子が自分を通り過ぎて行った男達と、自分の背中を軽く叩いた無愛想男とを交互に見つめて絶句している。

 すると無愛想男は響子に一言だけ声をかけた、変わらずの一本調子な低い声で――――――。


「完全に祓ったわけじゃないから時間が経てばまた元に戻る、だが今日一日位は色情霊に付きまとわれることはないはずだ。――――――じゃあな」


 それだけ言うと無愛想男は響子に名乗ることもなく、そのまま歩いて行ってしまった。響子が走って追いかければもっと色々聞くことが出来たはずだが――――――、それが出来ない。彼が何者なのか全くわからないし、学ランを見れば同じ風詠高校の生徒であることはわかるが自分に全く興味を示すことなく、しかも色情霊の取り憑かれていることを見抜き、なおかつその厄介な色情霊をあっさり祓ったと言うその男の突然な登場に、響子は思考能力が完全に停止してしまって行動に移すことが出来なかったのだ。


「あいつ―――――、一体何者なの!?」


 何事もなかったかのように学校に向かって歩いて行く男の後ろ姿を目で追いながら、響子は一瞬幻か幻覚でも見たかのような錯覚に陥った。そして目をこすって何度も確認する。


 その男の側に寄り添って歩くように―――――、とても大きな犬が男と一緒に歩いている姿が見えたような気がした。



 今回ちょっと文章的にわかりにくいかもしれません、調子が悪かったってのもあるかもしれませんが・・・唐突な展開ですが、うまく伝わってくれたらいいのですが。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ