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猫又だってキレる

 響子が君彦と黒依について悶々としていると、猫又が机の上に飛んで来て面白げに話しかけて来た。


『よう、お前もしかして黒依にヤキモチとかやいてんのか?』


「はぁ!? 何言ってんのあんた、酔っ払いの親父かその発想」


 出来る限り小声で響子が反論する、回りの生徒には猫又の姿が見えないという面倒なルールがあるせいで響子は変な目で見られない程度に話さなければいけない。

 しかし当の猫又は響子が大きな独り言を話す変人に見られようがどうしようがお構いなしで、顔を洗いながらにやにやしていた。


『まぁ安心しな・・・ってのも変だが、ありゃあ完全に君彦の独走だからな・・・気にすんな。オレ様としてはどっちかっつーとお前の方を応援してやってもいいんだぜ? 色情霊に関してはオレ様が君彦に憑いてる限り害はないし、むしろ抵抗力のある君彦しかお前にゃ望みがねぇかもな』


 生意気なことを口走る猫又を睨みつけながら響子は苦虫を噛み潰したような顔になり、完全否定する。


「だ・か・ら! なんでそうなるのよ! あたしは別にあんなやつ・・・、何とも思ってないんだから! 色情霊を何とかする為にあいつを利用してるだけなんだかんね、その辺勘違いしないでよっ!?」


『ほぉ~~、ま・どうでもいいけど。んなことより実際どうすんだよ、お前・・・毎日こんなこと続けるつもりか? べったりと君彦に付き添ってもそれ以外のプライベートじゃ何の進展もないんだぜ。―――――――四六時中、君彦の側にいるつもりかよ。 つーかそれ以前にオレ様の方がお断りだぜこんな毎日、本当なら今頃屋上でのんびり昼寝してる頃合いなのに・・・』


 ぶつぶつと猫又が文句をたれるが事実を突き付けられた響子の耳には、猫又の言葉が半分程度しか届いていなかった。

 そうだ、結局のところ何の解決策も見出せていない響子は学校以外のプライベートをどうするのか何も考えていないのだ。

 猫又に改めて言われなくてもそんなことはわかっている、だからこそ確実な解決策が見つかるまで君彦達とアイディアを出し合うという方向で乗り切ろうとしていたのだ、しかし・・・。


「そう言うけどね、それじゃあ聞くけど!? 本っ当にあんた・・・色情霊の祓い方を知らないわけ!?」


 聞かないフリをしているのか、響子のツッコミにそっぽを向くような仕草で猫又は毛づくろいをし出した。

 そんなあからさまに不審な態度を取る猫又に、「こいつ絶対何か隠してる!」と疑いの視線を向けているとようやく本日最後の授業が終わり、全員が帰り仕度を始めてしまった。


『お! ようやく終わりか、あ~~~疲れた。普段ならこの時間は昼寝タイムなんだが、慣れない場所だと落ち着いて昼寝も出来やしねぇ。そんじゃオレ様は君彦ん所に戻るぜ、あばよ!』


 そう捨て台詞を吐くと猫又はぴょんっと机を飛び降りて足早にAクラスへ向かおうとしたので、響子は慌てて猫又を追いかけた。

 当然帰り仕度をさっさと済ませてから走って行く。




 Aクラスの方も帰り支度をして部活へ行く者、そのまま残ってダベる者などすっかり放課後の風景になっていた。

 君彦も帰り支度を終えて帰宅しようとした時に猫又が走って来たので思わず声を上げてしまう、先程も説明したが猫又の姿はAクラスでは君彦にしか見えていない・・・。

 なので当然周囲にいた生徒は「また猫又が何か叫んでる」という目で見つめていた。


「お前・・・っ! 志岐城さんは一体どうしたんだよ、一応学校にいる間は志岐城さんの側にいるって約束だったろ!?」


 せっかく愛らしい飼い猫の如く飼い主の元へ舞い戻って来たというのに、まるで厄介者扱いするような君彦の口ぶりに猫又はぶすっとした表情に変わると、拗ねた口調で文句を言った。


『なんだよお前は、しきじょ~しきじょ~って・・・。あ~~やだやだ! オレ様飽きた! もうヤダね、これ以上あの女と一緒にいんの! 明日っからは自由にさせてもらうから、もう付き合ってらんねぇよ。―――――――じゃあな、君彦! アリー・ヴェデルチ~~!』


 本当に怒ってしまったのかと思った君彦は慌てるように猫又を追いかけようとするが、猫又は教室を出て行く生徒達の合間を縫うように素早い動きで走り抜けて行ったので、あっという間に姿が見えなくなってしまった。


「あ・・・っ、ちょっと待てって―――――――――猫又ぁっ!!」


「お~~い、猫又が猫又呼んでるぞ~~っ!」

「あっはははっ!!」


 君彦の叫びを聞いたクラスメイトがからかうように笑い飛ばした、そんな君彦の様子が気になった黒依が心配そうに近付くのと響子がAクラスに飛び込んで来るのと、―――――――――それは殆ど同時の出来事だった。





 こちらの小説では出来る限り主要となる登場人物を、極力少なめにしようと思っています。

どっかの超長編異世界ファンタジー小説のようにどんどん思い付く限りキャラクターを出していったら、その分どんどん話が膨らみ過ぎてしまって収拾がつかなくなってしまいますので・・・(私が)

なのでこちらの小説ではシンプルで書いて行きたいので、ご理解の程よろしくです。


 まぁそれでもすでに私の脳内では現在登場している主要人物も含め、合計11人位登場する予定になってますが・・・(意味ねぇじゃん!)


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