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毎朝の洗礼

 1話からその存在が謎に包まれていた美少女が遂に登場です。

実は彼女もメインキャラ、さて・・・彼女のキャラが吉と出るか凶と出るか。

今後の活躍からその性格キャラが明らかになって行きますので、楽しみにしていてください。

 ―――――――――朝、風詠高校では新入生が入学してから2週間が過ぎようとしていた。

 通学路には新品の制服に身を包み楽しそうに通う生徒も少なくない、そんな中・・・一際幸せそうに登校する男子生徒が一人。

 風詠高校の校門に入って行こうとしている艶やかな黒髪をした女子高生に向かって走って行くと、明るい声で挨拶をした。


「黒依ちゃ~~~ん! おっはよ~~~!!」


 黒髪の女子高生が振り向くと、にっこりと微笑んで挨拶する。


「君彦クン! おはよう!」


 くりっとした大きな瞳、雪のように白い肌、サラサラのストレートロングの髪の毛は背中の辺りまであり、線の細い黒髪は動く度になめらかなツヤを出しながらサラリと揺れる。

 天使のような微笑みに可愛らしい声で挨拶をされた衝撃と感動で、君彦はそのまま卒倒しそうな位の勢いでクラクラしていた。


(超~~~~~~~~っ、カワイイんですけどぉ~~~~っ!!)


 もはや君彦ビジョンから見る黒依は、後光が差す程の輝きを放つ女神のように映っていた。

 中学の時から全く変わり映えのしない君彦の反応に、足元で呆れ顔をしている猫又。 そんな猫又の反応もお構いなしに君彦は一日で最も楽しいひと時『黒依との会話』を楽しむ気満々である。


「そういえば君彦クン、日曜日にバイトの面接に行くって言ってたよね。面接の結果はもう出たのかな??」


「うん、何か普通に面接した後になぜか厚焼き卵を作ってみろって言われてさ。普通に家で作るみたいに作ったら、何かよくわからないけど採用だって。」


「あれ? 確かお料理屋さんのホール係とか雑用で面接受けに行ったんじゃなかった?」


「黒依ちゃんもそう思うでしょ!? オレも何でかな~って思ってたんだけど、でもオレに作れって言った人・・・お店の店長みたいでさ。ものすごくいかつくて怖そうな感じだったし、お店のコックさんもチーフとかもその人に逆らえない雰囲気たっぷりだったんだ。よく意味がわからなかったけど・・・、でももし厚焼き卵のおかげでバイトの面接通ったんならラッキーだったかもね」


「そうだね、君彦クンのお料理ものすごく美味しいもん! もしかしたら君彦クンのことをコックさんにするつもりでテストしたんじゃな~い?」


 普通に両手で学生カバンを持ちながら歩いて行く黒依とは異なり、君彦は全身に力が入ったように・・・まるで軍隊の行進のようにしゃきしゃきと歩きながら黒依と楽しそうに会話をする、二人がそのまま校舎の中へと入って行こうとした時だった。

 後方から地鳴りのような音が聞こえて君彦は何事かと思いながら後ろを振り向く、すると校門の方から土煙を上げながら何かの集団が校舎に向かって突進してくる光景が目に入る。


「な・・・っ、何だ一体!?」


 驚く君彦に、黒依が校舎の出入り口の端の方へと逃げながら教えてやる。


「あれ、君彦クン知らないの? あたし達が入学してから毎日この時間になると繰り広げられてる光景だよ。1-Bにものすごい美人の生徒がいて・・・、あの集団はその人を毎朝追いかけ回してるんだって」


「1・・・の、B?」


 聞き覚えのあるクラスだった、君彦は顔を引きつらせながら集団の先頭を走っている人物に向かって視線を凝らす。

 ウェーブがかった黒髪を振り乱し、必死な形相で興奮しまくった男集団から逃れようと全力疾走で向かって来る女子高生。

 昨日見た格好とは随分異なるがそれでも殺気に満ちた顔つきだけは決して忘れない、そして彼女にまとわりつくようにしっかりと取り憑いている女の色情霊、それを見れば一目瞭然であった、見間違うはずもない。


「ね~~こ~~ま~~たぁ―――――――――っ!!

 さっさと色情霊こいつを何とかしなさいよ――――――――――――――――――っっ!!」


「し・・・っ、志岐城さんっ!?」


 響子はものすごい脚力で、あっという間に校舎の前で立ち尽くしていた君彦に追いつくや否や、君彦の足元に隠れていた猫又を拾い上げるように手を伸ばす!


『うぉぉおおぉ~~~っ! 乱暴に掴むな、ソフトに優しく抱き上げ・・・っ、ぐはぁっ!!』


 二本足で慌てふためく猫又の両脇を鷲掴みするようにむんずと抱き上げた瞬間、響子に憑いていた色情霊が不快な表情を浮かべるとそのままするりと響子の体から離れて行った。

 色情霊が空へと消えて行った瞬間に、響子を追いかけ回していた男性陣が色情霊の色欲から解放されて我に返って行く。

 彼等の殆どがまるで自分を失っていたかのように、首を傾げながら辺りを見回す。

 目の前にいる響子をちらりと見るも、さっきまでの欲情がなくなっているのでそのままぞろぞろと校舎の中へと大人しく入って行った。

 響子は彼等の変わりようを目の当たりにして、やはり今自分が両手に抱き抱えている猫又が自分の近くにいれば、色情霊による効力がなくなって周囲の男達も平常心を保つことが出来るのだとハッキリ認識する。

 難を逃れた響子であったが、問題は少しだけ残っていた。


「ねぇ・・・、君彦クン。 その人と知り合いなの?」


 きゅっと握った片手を口元に当てて、君彦と響子を交互に見つめながら少し困った表情を浮かべた黒依が質問をした。

 そう・・・、響子が口走った『猫又』とは当然・・・君彦の足元にいる猫又のことを指している。

 しかしこの猫又は霊感の強い人間、もしくは猫又にまたがれて強制的に霊力を付けられた者だけ目にすることが出来るのだ。

 君彦はとっさに響子との関係を黒依に誤解されていると勘違いして、急激に青ざめる。

 慌てる君彦を尻目に、響子は君彦と一緒にいる黒依が一体誰なのか・・・状況が掴めていない様子でぽかんと突っ立っていた。




 別に読まなくても物語に支障がないコーナー。

狐崎こざき 黒依くろえのプロフィール。


狐崎黒依、15歳、12月12日生まれ、B型、156センチ。

趣味は、お菓子作り、洋裁など。

好きな食べ物は甘いもの、嫌いな食べ物はドリアン。

特技は裁縫。

性格は良く言えば人懐こい、悪く言えば八方美人。 人見知りや物怖じすることなく誰とでも仲良くなれる。 反面鈍い所もあり非常にマイペース。 


 君彦とは中学生の時に出会う、その頃から友達となり高校も同じ風詠高校へと進学する。 両親と黒依との三人家族で、中流家庭。


黒依に関することは、今後本編で明かします。





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